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燃料電池に使われる白金の代替触媒として、本発明は触媒性においては現在白金の1/4程度ではあるが生成コストや化学的安定性で優れている。
燃料電池触媒
固体高分子形燃料電池(PEFC: Polymer Electrolyte Fuel Cell)、リン酸型燃料電池(PAFC: Phosphoric Acid Fuel Cell) 等の燃料電池においては、一般的にアノード側とカソード側の両方で白金が触媒として使用される。しかしながら、貴金属である白金は高価であり埋蔵量にも限りがあるため、燃料電池の触媒における白金の使用を排除する、あるいは低減することが望まれている。従って、白金に代替できる触媒の開発が求められている。
白金代替触媒として、鉄フタロシアニン、含窒素カーボン(カーボンアロイ)、窒素ドープカーボン等が注目されているが、現在のところ、触媒性の高さと化学的安定性という点で白金には及ぶものは出てきていない。
C12A7 (12ca0・7AL-03)は、マイエナイトという天然鉱物としても存在しアルミナセメントの成分でもある無機物質である。C12A7の結晶は、内径0.4 nm 程度のケージ(籠)状の骨格が、互いに面を共有して繋がった構造をとり、 単位格子内の12個のケージのうち2つに、酸素イオン02-を内包している。特許 文献1、2は、C12A7を高温処理して結晶ケージ内のO-アニオンを電子erに置 換しエレクトライド化して得られる結晶[CarkALzg064] + (4e-)を記載している。 特許文献3は、特定のC12A7化合物を固体電解質燃料電池の電極材料として用 いる可能性について言及しているが、本発明者の知る限り、実際にこれを燃 料電池の触媒として使用し発電したことを示す文献は存在していない。
先行技術文献
特許文献
特許文献1:国際公開第2005/000741号
特許文献2:国際公開第2007/060890号 特許文献3:特開2003-128415号公報
本開示は、白金を必要としない燃料電池用触媒、およびその触媒を含む燃料電池を提供する。
本発明者は、C12A7(理想化学式は[CanaA 12:0gz]+0-))のOP-アニオンをフッ素アニオンで置換したもの(C12A7 :F-と表記される; 理想化学式は[CareALzg064 ]4+(4F-))や、塩素アニオンで置換したもの(C12A7:Clと表記される)等、ハ ロゲン置換C12A7が、燃料電池の燃料極(アノード)または空気極(カソード )において触媒能力を有し、従って白金の代替触媒として活用できることを 見出した。さらに、これらハロゲン置換C12A7に特定条件の熱処理を行うこと により、触媒作用をさらに高めることができることを見出した。本発明はこれらの発見に基づくものである。
本開示は以下の実施形態を含む。
[1] C12A7の酸素アニオンがハロゲン (X) アニオンで置換された構造を有するC 12A7:X-を含む、燃料電池触媒用組成物。
[2] 前記ハロゲンアニオンがフッ素アニオンであるC12A7 :F-を含む、[1]に記載の燃料電池触媒用組成物。
[3] 前記ハロゲンアニオンが塩素アニオンであるC12A7:Cl-を含む、[1] または[2]に記載の燃料電池触媒用組成物。
[4] 前記C12A7:X-と混合された炭素材料をさらに含む、[1]~[3] のいずれかに記載の燃料電池触媒用組成物。
[5] 前記炭素材料がカーボンブラックである、[4]に記載の燃料電池触媒用組成物。
[6] アノード、アノード側触媒層、電解質、カソード側触媒層、およびカソー ドをこの順で積層して含み、前記アノード側触媒層および前記カソード側触 媒層のうちの少なくともいずれか一方が、[1]~[5]のいずれかに記載 の燃料電池触媒用組成物を含む、燃料電池。
[7] 前記電解質は、プロトン交換固体高分子膜、またはリン酸水溶液である、 [6]に記載の燃料電池。
[8] C12A7:X-を、窒素雰囲気下1000~1300°Cの温度で20時間以上熱処理する工程 を含む、[1]~[5] のいずれかに記載の燃料電池触媒用組成物の製造方 法。
[9] CaCO3Al2O3、およびCaX。の混合物を焼成することにより前記C12A7:X-を調製する工程をさらに含む、[8] に記載の製造方法。
さらに本開示は以下の実施形態を包含する。
[1] C12A7の酸素アニオンがハロゲン (X) アニオンで置換された構造を有するC12A7:X-無機材料を含む、燃料電池触媒用組成物。
[2] 前記ハロゲンアニオンが、フッ素アニオン、塩素アニオン、またはフッ素 アニオンと塩素アニオンとの組合せである、[1]に記載の燃料電池触媒用 組成物。
[3] 前記ハロゲンアニオンがフッ素アニオン (F-)と塩素アニオン(Cl)との 組合せであり、F- : Cl-のモル比が1:1~3:1である、[2] に記載の燃料電池 触媒用組成物。
[4] C12A7の酸素アニオンがハロゲン (X) アニオンで置換された構造を有するC12A7:X-が部分的にエレクトライド化されたものである無機材料。
[5] [4]に記載の無機材料を含む、燃料電池触媒用組成物。
[6] 前記無機材料と混合された炭素材料をさらに含む、[1] ~ [3]または [5] のいずれかに記載の燃料電池触媒用組成物。
[7] 前記炭素材料がカーボンブラックである、[6] に記載の燃料電池触媒用組成物。
[8] アノード、アノード側触媒層、電解質、カソード側触媒層、およびカソードをこの順で積層して含み、前記アノード側触媒層および前記カソード側触 媒層のうちの少なくともいずれか一方が、[1] ~ [3] または [5] ~ [ 7] のいずれかに記載の燃料電池触媒用組成物を含む、燃料電池。
[9] C12A7:X-を、窒素雰囲気下1000~1300°Cの温度で20時間以上熱処理する工程 を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の燃料電池触媒用組成物の製造方法。
[10] C12A7:Xと、カルシウムまたはチタンから選択される金属とを、同じ反応器内に配置して真空封入する工程、および、前記金属が蒸気化する温度に前記 反応器を加熱する工程を含む、[4]に記載の無機材料または[5]に記載 の燃料電池触媒用組成物の製造方法。
本実施形態の燃料電池触媒用組成物は、希少元素を使用する必要がなく、安価な原料から製造でき、燃料電池のアノード、カソードのいずれにおいて も触媒として働き、化学的にも安定である。従って燃料電池への実用化に適している。
C12A7のエレクトライド化は長時間の焼成過程が必要で技術的に難しいのに対し、本開示のハロゲン置換C12A7およびその派生材料は比較的容易に製造で きる。また、本開示の実施形態による燃料電池触媒用組成物は、エレクトライド化C12A7を上回る触媒活性を示すことができる。
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