乳化分散剤及びこれを用いた乳化分散方法並びに乳化物

2022.10.17 By 神奈川大学

材料工学

技術概要

界面活性剤を必要としない物理原理に基づく乳化法。従来、乳化不可能であった乳化が可能になる。

用途・応用

熱安定性や経時安定性に優れた乳化

背景

 従来、機能性油性基剤または機能性顆粒を水に乳化分散させる場合には、機能性油性基剤の所要HLBや顆粒表面の性質に応じて界面活性剤を選択し、乳化分散を行っていた。ま た 、 乳 化 剤 と し て 用 い ら れ る 界 面 活 性 剤 の 所 要 HLB値 は 、 O / W 型 エ マ ル シ ョ ン を 作 る場合とW/O型エマルションを作る場合とのそれぞれに応じて使い分ける必要があり、しかも、熱安定性や経時安定性が十分でないため、多種多様な界面活性剤を混合して用いていた。

課題

 しかしながら、界面活性剤は、生分解性が低く、泡立ちの原因となるので、環境汚染などの深刻な問題となっている。また、機能性油性基剤の乳化製剤の調製法として、HLB法、転相乳化法、転相温度乳化法、ゲル乳化法等の物理化学的な乳化方法が一般に行われているが、いずれも油/水界面の界面エネルギーを低下させ、熱力学的に系を安定化させる作用をエマルション調製の基本としているので、最適な乳化剤を選択するために非常に煩雑かつ多大な労力を有しており、まして、多種類の油が混在していると、安定に乳化させることは殆ど不可能であった。

 そこで、この発明においては、機能性油性基剤と水、または機能性顆粒と水などの界面に対して、熱安定性や経時安定性に優れた乳化分散系を形成すること、また、機能性油性基剤の所要HLB値又は機能性顆粒の表面状態に関わりなく、乳化分散させることが可能な乳化分散剤、及び、これを用いた乳化分散法並びに乳化物を提供することを主たる課題としている。

手段

 従来の界面活性剤を用いた乳化法では、油と水との界面に界面活性剤が吸着し、その界面エネルギーを低下させることを乳化・分散法の基本としていたので、その界面張力を低下させるために多量の乳化剤を必要とするものであった。これに対して、本発明者らは、新 規 な 乳 化 技 術 を 開 発 す る た め に 鋭 意 研 究 を 重 ね た 結 果 、 油 /両 親 媒 性 化 合 物 /水 系 の 中 で独立相として存在する両親媒性化合物のナノ粒子をファンデルワールス力によって油性基剤表面に付着させることで乳化を行なう三相乳化法を見出し、また、このような乳化法によ れ ば 、 油 性 成 分 の 所 要 HLB値 に よ ら ず 、 油 性 成 分 /水 界 面 の 界 面 張 力 の 大 き さ が 乳 化 剤 のナノ粒子の付着に重要であることを知見した。さらに、本発明者らは、この三相乳化エマルションは通常のO/W型やW/O型などの二相乳化エマルションに比べて非常に高い安定性を示すことを見い出し、これらの知見に基づき本発明を完成したものである。

 即ち、前記課題を達成するために、この発明に係る乳化分散剤は、自己組織能を有する両親媒性物質により形成される閉鎖小胞体を主成分とすることを特徴としている(請求項1)。

効果

 以上述べたように、この発明に係る乳化分散剤を用いることで、機能性油性基剤と水、または機能性顆粒と水などの界面に対して、熱安定性や経時安定性に優れた乳化分散系を形成することが可能となる。このため、従来の炭化水素系界面活性剤では安定した乳化物を形成することが困難であったが、本発明の乳化分散剤を用いれば、長期間に亘り、幅広い温度領域で乳化安定化を図ることが可能となる。

 また、一種類の乳化分散剤を用いて、被乳化油剤の所要HLB値又は機能性顆粒の表面状態に関係なく、油脂成分を乳化分散させることが可能となるので、炭化水素系油剤やシリコン系油剤の乳化も可能となる。このため、乳化剤を選択する煩わしさや労力を最小限にすることができ、また、多種類の混在している油を同時に乳化させることも可能となる。

 さ ら に 、 乳 化 に 必 要 な 乳 化 分 散 剤 の 濃 度 は 、 従 来 型 の 界 面 活 性 剤 の 1/10~ 1/1000で 済 むので、環境に与える負荷を著しく低減できる。 

 

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特許情報

特開2006-239666

JPA 2006239666-000000