レニウムとその他の金属とを含む溶液からレニウムを選択的に回収する方法

2022.10.17 By 神奈川大学

材料工学

技術概要

溶液の前処理と光化学反応を組み合わせることにより、短時間で希少金属であるレニウムを回収できる。(都市鉱山利用)

用途・応用

都市鉱山からのレニウムの回収

背景

 希少金属の一つであるレニウムは、石油の改質や有機化合物を製造する際における触媒をはじめ、耐熱合金や電子材料等といった分野において幅広く用いられる。しかしながら、レニウムは、その産出量が少なく、さらに近年の世界的な需給の逼迫のために入手が困難になりつつある。そのため、レニウムを含む鉱物からレニウムを効率的に回収するための技術開発や、レニウムを含む産業廃水や回収製品等からレニウムをリサイクルするための技術開発が求められている。

 このような背景のもと、例えば特許文献1には、レニウムを含む溶液にアルカリを添加して不要な成分を沈殿除去した後に、当該溶液における酸の濃度を所定の範囲に調整し、硫化剤を添加してレニウムを含む硫化沈殿物を生成させ、これを回収するレニウムの分離方法が提案されている。

 また、特許文献2には、レニウムを含む溶液に、硫酸アンモニウム等のアンモニア化合物を添加して冷却することでNH 4 ReO 4 の沈殿を生成させ、これを回収するレニウムの回収方法が提案されている。

 また、特許文献3には、過レニウム酸イオンを含む溶液に非共有電子対を有する原子を持つ置換基を備えた化合物を加え、その溶液に紫外線を照射させて過レニウム酸イオンの還元体を析出させ、これを回収するレニウムの回収方法が提案されている。

【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】特開2011-58016号公報
【特許文献2】特開2010-168629号公報
【特許文献3】特開2013-221171号公報

課題

 上記特許文献1及び2記載の方法によれば、レニウムを含む溶液からレニウムを分離することが可能であるが、より簡便な手順で、且つより効率的にレニウムの分離を行う手段が求められている。上記特許文献3記載の方法によれば、アルコール等の化合物を溶液に添加して紫外線を照射するという簡便な手順で効率的にレニウムを回収できるが、本発明者の調査によれば、本法では紫外線の照射を開始してからレニウムが析出し始めるまでのリードタイムとして10時間程度の時間が必要になることが判明している。本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、レニウムを含む溶液から、簡便な手法で、より短時間にレニウムを分離させることのできる方法を提供することを目的とする。

 また、レニウムは、上記のように産出量が少なくレアメタルに分類される金属であり、例えばモリブデン鉱からモリブデンを産出する際など、他の金属を得る際に少量の副産物として得られることが殆どである。このため、レアメタルであるレニウムを得るには、常に、主となる別の金属から少量のレニウムを分離するという難しい操作が必要になるのが実情である。このような状況に鑑み、本発明の別の側面では、レニウムとその他の金属とを含む溶液からレニウムを選択的に回収する方法を提供することを目的とする。 

手段

 本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、上記特許文献3に記載される手順で過レニウム酸イオンを含む溶液にアルコール等の化合物を加えて紫外線照射を行うと、時間の経過とともにその溶液の中にケトン化合物が溜まっていき、溶液中のケトン化合物の濃度がある程度高くなった段階になって初めて過レニウム酸イオンの還元体が析出し始めることを見出した。すなわち、紫外線の照射を開始してから過レニウム酸イオンが還元体となって析出を始めるまでの上記リードタイムは、ケトン化合物が溜まるのに要する時間と推察された。このような知見のもと、本発明者は、紫外線の照射を開始する際に予めケトン化合物を溶液中に添加し、その上で同様の操作を行ったところ、リードタイムをゼロ、あるいは著しく短縮できることを見出した。さらに、本発明者は、こうした回収手段を用いる際に、処理対象となる溶液のpHを適切にコントロールすることにより、溶液中にモリブデン等の共存金属が存在する場合であっても主として過レニウム酸イオンの還元体を析出させたり、主として共存金属の化合物を析出させたりすることが可能なことを見出した。本発明は、これらの知見に基づいてなされたものであり、以下のようなものを提供する。

 (1)本発明は、過レニウム酸イオンを含む溶液に、脂肪族第二級アルコール又は脂肪族第二級チオアルコールである電子供与剤、及びケトン化合物を添加する添加工程と、上記添加工程を経た上記溶液に紫外線を照射することにより、当該溶液に含まれる過レニウム酸イオンの還元体を析出させる紫外線照射工程と、上記紫外線照射工程により析出させた過レニウム酸イオンの還元体を上記溶液から分取する分取工程と、を含 み 、 前 記 紫 外 線照 射 工 程 に お け る 紫 外 線 の 照 射 を 、 前 記 溶 液 の p H が 6 . 3 以 上 で あ る 条 件 下 で 行 う こ とを特徴とするレニウムの回収方法である。

  ( 2 )上記電子供与剤は、脂肪族第二級アルコールであることが好ましい。

  ( 3 )上記電子供与剤は、2-プロパノールであることが好ましい。

  ( 4 )上記ケトン化合物は、アセトンであることが好ましい。

効果

 本発明によれば、レニウムを含む溶液から、簡便な手法で、より短時間にレニウムを分離させることのできる方法が提供される。また、本発明によれば、レニウムとその他の金属とを含む溶液からレニウムを選択的に回収する方法が提供される。

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特許情報

特許5987244

JPB 005987244-000000