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電解エッチングによる細孔の形成に先立ち、エッチングの出発点となるシリコン基体表面の窪みの形成を、ポーラスアルミナをマスクとしてドライエッチングで行なうので、、シリコン基体やモールドの破損、損傷を生ずることなく安定した生産が可能で、面積の大きいものであっても容易に生産できる。
Liイオン二次電池
電極
微細な細孔を有する多孔質材料として知られる陽極酸化ポーラスアルミナは、円柱状の微細な細孔が膜面に対して垂直に直行したホールアレー構造を有する。通常の陽極酸化ポーラスアルミナでは、細孔がランダムに配列した構造であるが、最適化された条件下で陽極酸化を行えば、細孔配列を次第に規則化させることが可能である。細孔配列の規則化は、ポーラスアルミナ膜が成長する皮膜下面で起こるが、アルミナ膜を選択的に除去することで、残されたアルミニウム地金の表面に、規則細孔配列に対応した窪みの配列を得ることができる。アルミニウム地金を再度陽極酸化することで、これらの窪み位置で細孔が発生し、膜の表面から細孔が規則配列したポーラスアルミナを得ることができる(非特許文献1)。また、陽極酸化に先立ち、規則的な突起配列を有するモールドを用いてアルミニウム表面に機械的に窪み配列を形成する、所謂インプリントプロセスを行えば、各窪みが陽極酸化初期の細孔発生の開始点として作用することから、細孔が理想配列した陽極酸化ポーラスアルミナが製作でき、触媒、センサー、電子・光学デバイス等への応用がはかられている(非特許文献2)。
このような多孔質材料として、ポーラスシリコンも電子デバイス等への応用が期待できることから、細孔が規則配列したポーラスシリコンの製法として、上記のようなインプリントプロセスを用いて、シリコン表面に機械的に窪みを形成した後に電解エッチングを施し、窪みを起点として微細な細孔を形成してポーラスシリコンを得る手法が提案されている(非特許文献3)。また、別法として、シリコンの表面にアルミニウムを蒸着させた後、陽極酸化を施して、アルミニウムを微細な細孔を有するポーラスアルミナに変換させ、このポーラスアルミナをマスクとし、電解エッチングすることによりポーラスシリコンを形成することも提案されている(非特許文献4)。
シリコンは、リチウムイオン二次電池の現行の負極である炭素系材料と比較して理論容量が10倍以上高いことから、充放電容量の大幅な向上が期待される材料である。しかし、充放電に伴う体積の膨張と収縮が激しく、その際の微粉化によりサイクル特性が低下してしまう問題がある。上記のような細孔配列の規則性に優れたポーラスシリコンを負極とすると、体積の膨張・収縮が緩和される可能性があることから、サイクル特性の向上が期待できる。
しかしながら、上記のようなシリコンの製造方法において、インプリントプロセスを用いた場合、インプリント時に印加する圧力が非常に大きくなり、シリコン基体の破損や、シリコンへのインプリントで使用される、高価なSiC製のモールドの劣化が生じ易いことから、大量生産には不向きである。さらに、プレス圧が面積に比例する上、面精度も必要とすることから、大面積での生産が困難という問題がある。また、アルミナ膜をマスクとしてシリコン基体を電解エッチングする非特許文献4の方法では、フッ化水素酸の電解液中でアルミナ膜が容易に溶解され消失してしまうことから、アスペクト比の高い細孔を形成できず、例えばリチウムイオン二次電池に用いた場合、多孔質構造の利点が十分に発揮できないという問題ある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【 非 特 許 文 献 1 】 Ja p a n e s e J o u r n a l o f A p p l i e d P h y sics, 35, 126-129 (1996).
【非特許文献2】Applied Physics Letters, 71, 2770-2772 (1997).
【 非 特 許 文 献 3 】 A d v a n c e d M a t e r i a l s 、 1 7 、 1 2 9 3 - 1 2 9 5(2005)
【非特許文献4】Electrochemistry Communications、7、953-956 (2005)
したがって、本発明の目的は、シリコン基体の破損、損傷を生ずることなく安定に生産でき、かつアスペクト比が高い細孔が得られ、面積の大きいものであっても容易に生産できる高規則性ポーラスシリコンの製造方法を提供すること、さらに、この製造方法により得られた高規則性ポーラスシリコンを用いて、高性能のリチウムイオン電池を提供することにある。
上記課題は、本発明の(1)「ポーラスアルミナ膜をシリコン基体表面に固定してドライエッチングを行い、前記シリコン基体の表面に前記ポーラスアルミナ膜の細孔と同じ配列の窪みを形成し、次いで前記シリコン基体を陽極としてフッ化水素酸を含む水溶液中で電解エッチングを行い、前記窪みを選択的に溶解して、細孔を形成することを特徴とするポーラスシリコンの製造方法」、
( 2 ) 「 前 記 ポ ー ラ ス シ リ コ ン の 細 孔 が 、 1 以 上 の ア ス ペ ク ト 比 (細 孔 深 さ / 細 孔 径 の 比 )を有することを特徴とする前記(1)に記載のポーラスシリコンの製造方法」、
(3)「細孔配列を規則化させたポーラスアルミナをシリコン基体表面に固定してドライエッチングを行うことを特徴とする前記(1)または(2)に記載のポーラスシリコンの製造方法」、
(4)「ポーラスアルミナ膜の平均細孔間隔が80nmから250nmの範囲にあることを特徴とする前記(1)乃至(3)いずれかに記載のポーラスシリコンの製造方法」、
(5)「ドライエッチングが、イオンビームによって行われることを特徴とする前記(1)乃至(4)のいずれかに記載のポーラスシリコンの製造方法」、
(6)「ドライエッチング後、シリコン基体表面に固定したポーラスアルミナ膜を除去し、次いでシリコン基体を陽極としてフッ化水素酸を含む水溶液中で電解エッチングを行うことを特徴とする前記(1)乃至(5)のいずれかに記載のポーラスシリコンの製造方法」 、
(7)「前記電解エッチングにより細孔を形成した後、シリコン基体の裏面を除去して、前記細孔を貫通孔化させることを特徴とする前記(1)乃至(6)のいずれかに記載のポーラスシリコンの製造方法」、
(8)「前記(1)乃至(7)のいずれかの方法で製造されたポーラスシリコン」、
(9)「前記(1)乃至(7)のいずれかの方法で製造されたポーラスシリコンを電極としたリチウムイオン電池」、
により達成される。
本発明のポーラスシリコンの製造方法によれば、電解エッチングによる細孔の形成に先立ち、エッチングの出発点となるシリコン基体表面の窪みの形成を、ポーラスアルミナをマスクとしてドライエッチングで行なうので、従来のインプリントプロセスの課題であった、シリコン基体やモールドの破損、損傷を生ずることなく安定した生産が可能であり、面積の大きいもであっても容易に生産できる。また、電解エッチングに際し、ポーラスアルミナをマスクとする必要がないため、アスペクト比が高い細孔の形成が容易であり、貫通孔を有するポーラスシリコンも、電解エッチング後に、シリコン基体の底部を除去するだけで形成できるため、容易に生産できる。
細孔が規則配列した陽極酸化ポーラスアルミナは容易に作成することができる。これをマスクとしてシリコン基体のドライエッチングを行うことにより、ポーラスアルミナの細孔の配列を忠実に反映した窪みがシリコン表面に形成されるため、アスペクト比が1以上の細孔が規則配列したポーラスシリコンを容易に得ることができる。
さらに、ドライエッチングにイオンビーム方式を用いると、ポーラスアルミナマスクの細孔底部で露出したシリコン基体にエッチング源が到達しやすいことから、ポーラスアルミナの細孔配列に対応する窪みを正確にシリコン基体に形成することができ、このようにアスペクト比が1以上の細孔が規則配列したポーラスシリコンは、特にリチウムイオン電池に用いた場合、体積の膨張・収縮が緩和され、サイクル特性が向上するので、性能の高いリチウムイオン電池を容易に得ることができる。
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