動画のネット流出を防止可能なP2P配信技術

2022.10.20 By 東京電機大学

情報

技術概要

管理サーバーが、オリジナルコンテンツの複製を持つクライアント名を管理し、クライアント間で複製コンテンツを転送させるハイブリッド型P2Pコンテンツ配布システムにおいて、動画や音楽などのコンテンツが第3者に流出した際の流出元特定が可能。

用途・応用

・p2p動画配信サービス
・動画不正コピーの防止
・医療動画や,授業の動画など視聴者を制限したい動画配信サービス

背景

 不正なコンテンツのネットワーク内への流出を防ぐために、コンテンツを暗号化し、再生する権利のあるクライアントのみに暗号鍵を付与する技術が提案されている。特許文献1のシステムは、万が一暗号化した動画ファイルが第三者に流出しても、復号のために必要な暗号鍵を入手できないため、不正な再生を防止することができる。しかし、DRM(Digital Rights Management)技術を適用していても、再生した動画ファイルの画面や音声を別のソフトウェアでキャプチャされたりビデオカメラで録画されたりすると、暗号鍵がなくても第三者により再生可能となり、流出元も特定できない問題がある。

 一方で、コンテンツの流出元を特定可能にするために、動画ファイルの中に、人の目や耳では識別できないが専用の復号装置では識別できるディジタル情報を埋め込むことで、不正コピーを抑止する電子透かし技術が実現されている。電子透かし情報を埋め込むためには、コンテンツを配信する配信サーバは、配信先のクライアントごとに、動画ファイルをデコードし、埋め込むデータを画像や音声情報で変調して冗長し、再びエンコードする必要がある。このため、コンテンツを配信する配信サーバにおける負荷が大きく、動画ファイルを同時視聴できるクライアント数が制限される問題があった。

課題

 本開示は、配信サーバに負荷をかけずに、コンテンツの流出元を特定可能にすることを目的とする。

手段

 本開示は、管理サーバが、オリジナルコンテンツの複製をもつクライアント名を管理するハイブリッド型P2P(Peer to Peer)コンテンツ配布システムである。

 本開示のコンテンツ配信システムは、複数の断片データに分割されかつ各断片データに複製IDが透かしで埋め込まれたコンテンツを保持する複数の受信済みクライアントと、受信済みクライアントに保持されている断片データと当該断片データに埋め込まれている複製IDとを対応付ける複製ID管理表、及び、断片データに埋め込まれている複製IDの組み合わせで構成される配布IDと受信済みクライアントとを対応付ける配布ID管理表を参照し、新たなコンテンツの配信要求元である配信要求クライアントに対して新たな配布IDを付与し、新たな配布IDを構成しうる複製IDの埋め込まれた断片データを保持する受信済みクライアントに関する情報を取得先情報として前記配信要求クライアントに通知する管理サーバと、受信済みクライアントのうちの管理サーバから通知された取得先から断片データを取得して結合することで、新たな配布IDを構成しうる複製IDの埋め込まれた断片データの結合されたコンテンツを再生する前記配信要求クライアントと、を備える。

 本開示のコンテンツ配信システムでは、前記取得先情報は、コンテンツ及び断片データの識別子を含む仮のアドレスであり、管理サーバは、新たな配布IDを構成しうる複製IDの埋め込まれた断片データを保持する受信済みクライアントの現実のアドレスを、前記仮のアドレスに関連付けて記憶し、配信要求クライアントを通信網に接続するスイッチは、前記仮のアドレス宛でありかつ新たな配布IDを構成しうる複製IDの埋め込まれた断片データを要求する旨の断片要求を配信要求クライアントから受信すると、前記管理サーバから仮のアドレスに対応する現実のアドレスを取得して宛先アドレスを現実のアドレスに書き換え、宛先アドレスを書き換えた断片要求を、受信済みクライアントの現実のアドレスに向けて送信し、新たな配布IDを構成しうる複製IDの埋め込まれた断片データを受信済みクライアントの現実のアドレスから受信すると、送信元アドレスを前記仮のアドレスに書き換え、送信元アドレスを書き換えた断片データを、前記配信要求クライアントに向けて送信する態様を採用しうる。

 本開示のコンテンツ配信システムでは、配信要求クライアントを通信網に接続するスイッチは、新たな配布IDを構成しうる複製IDの埋め込まれた断片データを要求する旨の断片要求を配信要求クライアントから受信すると、送信元アドレスを自装置のネットワークアドレス内の仮のアドレスに書き換え、送信元アドレスを書き換えた断片要求を、受信済みクライアントに向けて送信し、宛先アドレスが自装置のネットワークアドレスでありかつ新たな配布IDを構成しうる複製IDの埋め込まれた断片データを受信済みクライアントから受信すると、宛先アドレスを配信要求クライアントの現実のアドレスに書き換え、宛先アドレスを書き換えた断片データを配信要求クライアントに向けて送信する態様を採用しうる。

 本開示のコンテンツ配信システムでは、前記コンテンツは、画像データ及び音声データを含み、前記コンテンツにおいて前記断片データに分割されている時刻が画像データと音声データとで異なっている態様を採用しうる。

 本開示のコンテンツ配信システムでは、前記断片データの少なくとも1つに、前記配布IDの冗長符号が含まれる態様を採用しうる。

 本開示のコンテンツ配布方法は、複数の断片データに分割されかつ各断片データに複製IDが電子透かしで埋め込まれたコンテンツを保持する受信済みクライアントと前記複製IDの組み合わせで構成される配布IDとを対応付ける配布ID管理表と、受信済みクライアントに保持されている断片データと当該断片データに埋め込まれている複製IDとを対応付ける複製ID管理表と、を管理サーバが備えるコンテンツ配布システムの実行するコンテンツ配布方法であって、前記管理サーバが、配信要求クライアントから新たなコンテンツの配信要求を受けると、前記配布ID管理表を参照し、配信要求クライアントに対して新たな配布IDを付与する配布ID付与手順と、前記管理サーバが、前記複製ID管理表を参照し、新たな配布IDを構成しうる複製IDの埋め込まれた断片データを保持する受信済みクライアントを選択するクライアント選択手順と、配信要求クライアントが、受信済みクライアントのうちの管理サーバから通知された取得先から断片データを取得して結合することで、新たな配布IDを構成しうる複製IDの埋め込まれた断片データの結合されたコンテンツを再生するコンテンツ再生手順と、を順に備える。

 本開示の管理サーバは、複数の断片データに分割されかつ各断片データに複製IDが電子透かしで埋め込まれたコンテンツを保持する受信済みクライアントと前記複製IDの組み合わせで構成される配布IDとを対応付ける配布ID管理表と、受信済みクライアントに保持されている断片データと当該断片データに埋め込まれている複製IDとを対応付ける複製ID管理表と、配信要求クライアントから新たなコンテンツの配信要求を受けると、前記配布ID管理表を参照して配信要求クライアントに対して新たな配布IDを付与し、前記複製ID管理表を参照して新たな配布IDを構成しうる複製IDの埋め込まれた断片データを保持する受信済みクライアントを特定する情報処理部と、新たな配布IDを構成しうる複製IDの埋め込まれた断片データを保持する受信済みクライアントに関する情報を取得先情報として、配信要求クライアントに通知する送信部と、を備える。

 本開示の管理サーバのコンテンツ配布方法は、情報処理部が、配信要求クライアントから新たなコンテンツの配信要求を受けると、複数の断片データに分割されかつ各断片データに複製IDが電子透かしで埋め込まれたコンテンツを保持する受信済みクライアントと前記複製IDの組み合わせで構成される配布IDとを対応付ける配布ID管理表を参照し、配信要求クライアントに対して新たな配布IDを付与する配布ID付与手順と、情報処理部が、受信済みクライアントに保持されている断片データと当該断片データに埋め込まれている複製IDとを対応付ける複製ID管理表を参照し、新たな配布IDを構成しうる複製IDの埋め込まれた断片データを保持する受信済みクライアントを選択するクライアント選択手順と、送信部が、新たな配布IDを構成しうる複製IDの埋め込まれた断片データを保持する受信済みクライアントに関する情報を取得先情報として、配信要求クライアントに通知する送信手順と、を順に実行する。

 なお、上記各開示は、可能な限り組み合わせることができる。

効果

 本開示によれば、配信サーバに負荷をかけずに、コンテンツの流出元を特定可能にすることができる。

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特許情報

特許第6801871

JPB 006801871-000000