表面プラズモン共鳴センサ装置

2022.10.20 By 新潟大学

電気・電子工学

技術概要

検出器との一体化及びセンサ装置の小型化の両方を実現可能な表面プラズモン共鳴センサ装置を提供する。

用途・応用

電子デバイス、有機・バイオエレクトロニクス、有機・バイオフォトニクス

背景

 一般的に、金属に存在する自由電子は、正の電荷を持つ粒子と負の電荷を持つ粒子とし て金属中を自由に動き回っている。自由電子が集団的に振動して、金属中ではプラズマ波と称する粗密波が生じる。表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance: SPR)は、金属表面に生じるこの粗密波の量子化したもの(表面プラズモン)が光波によって励起される現象をいう。SPRを利用したセンサは、尿や血液をセンシングするためのバイオセンサや、ガス濃度のセンシングのための環境センサなどに利用可能である。

 従来から、本発明者は、透過型のSPR法を用いて、センシング基板の裏側からの輻射光強度及び波長をコントロールする手法を開発してきた。また、本発明者は、基板の裏側から表面プラズモン輻射光を利用したセンサを開発した。この種のセンサは、ナノスリットアレイを用いた透過型SPRセンサである。さらに、本発明者は、グレーティング基板を利用したSPRセンサと検出部とを一体型にしたバイオセンサも開発した。

【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】特許第5920734号公報
【非特許文献】
【非特許文献1】Nanoplasmonic biochips for rapid label-free detection of imidacloprid pesticides with a smartphone Lee et al. Biosens. Bioelectron., 2016, 75, 88-95.
【非特許文献2】A smartphone based surface plasmon resonance imaging (SPRi) platform for on-site biodetection Guner et al. Sensors. Actuators B, 2017, 239, 571-577. 

課題

 金属薄膜上での表面プラズモン共鳴励起は、入射光のエネルギーを金属表面近傍で数十倍以上に増大させることが可能であり、近年、表面プラズモンの増強電界を用いた光・電子デバイスの高機能化・高効率化が図られている。しかし、これまでの表面プラズモン共鳴センサは、プリズムを用いた高価で大型なシステムであり、研究用以外に用いることが難しい。近年、小型の表面プラズモン装置も開発されてきているが、より簡便にセンシング可能なシステムが望まれている。

 本発明者が先に発明した非特許文献1に開示されるセンサ装置は、検出器にカメラ付きの携帯端末を用いて、大掛かりな検出装置を用いないセンサ装置であるが、検出器との一体化に改善の余地がある。また、本発明者が先に発明した非特許文献2に開示されるセンサ装置は、反射型表面プラズモン励起技術を利用したものであるため、さらなる小型化の要請がある。

 本発明は、検出器との一体化及びセンサ装置の小型化の両方を実現可能な表面プラズモン共鳴センサ装置を提供することを目的とする。

手段

(1)上記目的を達成するための一実施形態に係る表面プラズモン共鳴センサ装置は、透光性を有するセンサ部材と、センサ部材と重ねて配置される透光板と、透光板と重ねて配置されると共に透光板を透過する光を通過させるアタッチメントと、アタッチメントを通過する光を、レンズを通してカメラ付き携帯端末のカメラに導くレンズ部とを順に備え、センサ部材は、微細な凹凸構造を周期的に内表面に形成した凹部と、当該凹凸構造を維持して前記内表面を被覆する金属膜とを備え、透光板とセンサ部材の凹部の開口側とを重ねた状態において、測定対象物を凹部内に保持可能であって、センサ部材の透光板と反対側から照光すると、センサ部材を透光して金属膜の表面に存在する測定対象物に起因して強度または波長を変化させた光を、透光板、アタッチメント、レンズを順に通過してカメラに入光するようにしている。

(2)別の実施形態に係る表面プラズモン共鳴センサ装置では、さらに、センサ部材は、金属膜以外の主な部分を、シリコーン系エラストマーにて構成されているのが好ましい。

(3)別の実施形態に係る表面プラズモン共鳴センサ装置では、また、アタッチメントは、透光板と重なる面を、カメラの入光面に対して20度以上30度以下の傾斜角の範囲とする傾斜面とするのが好ましい。

(4)別の実施形態に係る表面プラズモン共鳴センサ装置では、また、センサ部材は、測定対象物を保持する凹部に通じる内部流路を有し、内部流路の入口を凹部の開口面と反対側に備え、センサ部材を透光板に重ねた状態において、入口から液状の測定対象物を供給すると、測定対象物は内部流路を流れて凹部に到達可能であるのが好ましい。

(5)別の実施形態に係る表面プラズモン共鳴センサ装置では、さらに、内部流路を凹部の長さ方向に離間して複数個備え、測定対象物を1つの内部流路の入口から凹部に向けて供給すると、凹部から別の内部流路の入口から凹部内の空気を追い出し可能な構造とするのが好ましい。

(6)別の実施形態に係る表面プラズモン共鳴センサ装置では、また、アタッチメントとレンズ部とを着脱自在に構成し、アタッチメントとレンズ部との接続部分に、密着性を有するゴム状弾性体を介在させているのが好ましい。

(7)別の実施形態に係る表面プラズモン共鳴センサ装置では、また、レンズ部は、カメラへの接続部位に密着性シートを備えるのが好ましい。

効果

 本発明によれば、検出器との一体化及びセンサ装置の小型化の両方を実現可能な表面プラズモン共鳴センサ装置を提供することができる。

問い合わせ・詳細資料閲覧

特許情報詳細や資料のダウンロード等については無料会員登録後に閲覧していただけます。

本研究に関するご質問や、話を聞いてみたいなどご興味をお持ちになりましたら、是非お気軽に以下のフォームにお問い合わせください。

特許情報

特願2017-226029

JPA 2019095343-000000

特許第5920734号

JPB 005920734-000000

特許第5181386号

JPB 005181386-000000