一方の物理学賞では、なぜ歩行者は常に他の歩行者と衝突しないのかという研究が受賞しており、動力学賞とは真逆の観点の研究が受賞ました。物理学賞の授賞式(53:20から)の中で、トロフィー授与を行ったマーティン・チャルフィー教授(2008年ノーベル化学賞受賞)は、「携帯電話を使用している人は、使用していない人よりもより衝突しますか。」と質問し受賞者は「いい質問です。調べたいですが、電話を使用している人と使用していない人を区別する方法がありません。」と答えています。実際その答えは、動力学賞の研究が解明しているように思えます。
経済学賞(35:17から)
政治家の肥満度が国の汚職の良い指標になるかもしれないことの発見
Pavlo Blavatskyy
“Obesity of Politicians and Corruption in Post‐Soviet Countries,”
本研究では、ポストソビエトの国であるArmenia, Azerbaijan, Belarus, Estonia, Georgia, Kazakhstan, Kyrgyzstan, Latvia, Lithuania, Moldova, Russia, Tajikistan, Turkmenistan, Ukraine and Uzbekistanの首相の顔写真から、ニューラルネットワークを使用してその人物のBMIを算出し、腐敗認識指数との相関を調べました。
調べたのは2017年の写真と腐敗認識指数で、その年に複数人が首相のポジションにいた場合には、長く在籍したほうのデータを採用し、写真は公式行事でとられた暗くないパスポートサイズの写真が使用されました。結果、BMIが高いほど腐敗認識指数も低く、太った政治家が多いほど、政治における汚職が酷いという結果になりました。
授賞式では、リチャード・ロバーツ教授(1993年ノーベル生理学・医学賞)が、「ポストソビエトの国だけでなく、 欧米各国についても調べましたか」と尋ねるとPavlo教授は、「いいえ」と答えています。日本に近いあの国のトップを見れば、この相関は世界中に当てはまることが容易に想像できます。
論文中では、首相の顔写真付きで表が掲載されており、腐敗認識指数が上位の国の首相から(論文5ページ)はさわやかな印象を受け、下位の国の首相(論文6ページ)からは、悪そうな印象を受けシュールに感じました。首相の体型や人相と汚職が相関しなくなることを望みます。
イグ・ノーベル賞の世界展
福岡市科学館では、9月9日から11月3日まで、イグ・ノーベル賞の世界展を実施しています。これは2018年に東京で開催された企画の福岡版で、IMPROBABLE RESEARCHの編集長Marc Abrahams氏の協力を得て制作される、イグ・ノーベル賞公式の展覧会です。
展示会では、受賞研究の紹介や体験コーナーなど「イグ・ノーベル賞」の軌跡を追いながら、笑って、考えさせられるユニークな研究の数々を楽しむことができるそうです。イグノーベル動力学賞2021を受賞した研究成果とトロフィー?も早速紹介されているようです。九州在住の方は、コロナ対策をとってぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
イグノーベル賞が終われば、ノーベル賞の季節となります。コロナウィルス関連のトピックで日々のニュースが占められている中、明るい話題がノーベル賞関連のニュースからもたらされることを期待します。