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バイオ系研究所で働くテクニシャン(技術員)でありながら漫画家として活躍するAyaneさんによる「ラボりだな日々」(※ラボりだ…ラボから離脱すること。ラボから帰ることの意を持つ造語)。
第34回のテーマは「研究室の地震対策と『真の備え』」です。





こんにちは!
ラボりだな日々、第 34 回のテーマは「研究室の地震対策と『真の備え』」です。
地震が多い日本では、防災対策はどこにいても大切です。
その中でも、研究室は少し特殊な環境です。試薬、ガラス器具、大型機器、冷蔵・冷凍保存しているサンプルなど、災害時に気をつけなければならないものがたくさんあります。
今回の漫画では、実験中に大きな地震が発生した際、落下防止バーや棚の固定といった物理的な対策がしっかり機能し、さらにスタッフたちが慌てず冷静に行動する様子が描かれています。
Ayaneの職場は大きな地震を経験した地域でもあり、その後も「あ、また揺れてる?」と感じるような地震を何度も経験してきました。研究室で仕事をしていると、地震は決して遠い場所のニュースではなく、かなり身近なものとして感じられます。
「地震対策は起こる前にできてないと意味ないからな」
このセリフに、研究室の安全管理の大切なところがかなり詰まっています。
今回は、研究現場における防災と「真の備え」について少し考えてみましょう。
実験室には危険がいっぱい
一般的なオフィスと違い、実験室にはさまざまなリスクがあります。
薬品棚には試薬びんが並び、ベンチや棚にはガラス器具や消耗品、精密機器、大型装置などが置かれています。普段は何気なく使っているものでも、大きな揺れで落下・転倒すれば、けがや機器の破損、薬品の飛散などにつながる可能性があります。
だからこそ、漫画にも登場したような、試薬びんの落下を防ぐバーや、背の高い棚・大型機器の固定といった対策はとても大切です。
「落下防止バー、よぉーしッ!」
「棚の固定、よぉーしッ!」
一見地味な確認ですが、こうした備えがあるかないかで、いざというときの被害は大きく変わります。
「起こる前」の対策がすべて
地震が起きて激しく揺れている最中にできることは、実はそれほど多くありません。まずは自分の身を守ることが最優先です。
だからこそ、被害を最小限にするためには、地震が起こる前の対策が重要になります。
・転倒防止の固定具は緩んでいないか。
・薬品棚の落下防止バーは、出し入れした後にきちんと戻されているか。
・避難経路となる通路に段ボールや荷物が置かれていないか。
・高い場所に重いものや割れやすいものを置いていないか。
こうした確認は、忙しい実験の合間ではつい後回しになりがちです。
しかし、いざというときに自分と周りの人、そして積み上げてきた大切な研究を守ってくれるのは、こうした日頃の地道な備えなのです。
(落下防止バーについては、普段実験するときにちょっと邪魔になるときがあるので外している場面をたまに目撃しますが、危険なのでやめましょう)
停電や非常時の対応も知っておく
地震のあとには、停電や断水が起こることもあります。
研究室では、冷蔵・冷凍保存しているサンプルや試薬、稼働中の機器、培養中の細胞など、電気や水に依存しているものが多くあります。停電が長引けば、フリーザーやインキュベーターの温度管理にも影響が出るかもしれません。
もちろん、すべてのトラブルを完全に防ぐことはできません。
しかし、事前に「停電したら何を確認するのか」「非常用電源の対象はどれか」「問題が起こった場合、誰に連絡するのか」を知っているだけでも、初動は大きく変わります。
ラボで行われる停電時の点検や、非常時の対応訓練には、できるだけきちんと参加しておくことが大切です。
忙しいときは「また説明か……」と思ってしまうこともあるかもしれません。
しかし、万が一の事態に直面した際、何をして、どこへ連絡し、どの順番で確認するのかを知っているかどうかは本当に重要です。
・非常時の連絡先。
・確認すべき機器やサンプルの優先順位。
・設備担当者や責任者への連絡手順。
・避難経路や集合場所。
こうした情報は、普段から研究室内で共有しておきたいところです。
一番大事なのは「心構え」と「冷静な行動」
物理的な対策と同じくらい大切なのが、現場にいる一人ひとりの心構えです。
大きな揺れが来たとき、人はとっさに普段と違う行動をしてしまうことがあります。落ちそうな試薬びんを思わず手で受け止めようとしたり、揺れている最中に機器を確認しに行こうとしたりするかもしれません。
でも、まず大切なのは自分の身を守ることです。
・頭を守り、揺れている最中は無理に移動しない。
・危険なものから離れる。
・揺れがおさまってから周囲の状況を確認する。
・必要なら速やかに避難する。
漫画の最後のコマでは、スタッフ同士が「そっち大丈夫?」と声をかけ合い、「実験室異常ナシ」と冷静に状況を確認しています。
この、慌てず、でも状況を軽視せずに動く姿こそが、まさに真の備えなのだと思います。
安全な研究環境があってこそ
素晴らしい研究成果も、安全な環境という土台があってこそ生み出し続けることができます。何事も「命あっての物種」なのです……が、積み上げてきた実験データやサンプル、測定環境も、できる限り守っていきたいですよね。
日々の実験や締切に追われていると、安全管理や防災対策はつい後回しになりがちです。けれど、地震対策は、起こってからでは間に合いません。
起こる前に整えておくからこそ、有事の際に意味があります。
物を守る。
サンプルを守る。
研究を守る。
そして何より、人を守る。
そのための備えを、日々のラボ生活の中で少しずつ確認していきたいですね。
それではまた次回、「ラボりだな日々」でお会いしましょう!