適応障害とは?診断されたらどうする?|精神保健福祉⼠が解説!

2024.08.29

適応障害、という病気についてみなさんは深く知っているでしょうか?

昨今のストレス社会において、適応障害やうつ病などといった精神的な病気を身近に感じる人もいるかもしれません。また、会社において適応障害と診断されて休職することになってしまった人を知っているかもしれません。

今回は、その適応障害という病気が一体どのようなものなのか、そして自分が適応障害と診断されたら、周りに適応障害と診断された人がいたらどのようにかかわればよいのかを解説していきます。

適応障害とは?

適応障害とは「特定可能なストレス因子によって引き起こされる、著しい苦痛を伴い日常生活に支障をきたす感情面、行動面の症状」と定義されます。

ここで一つ一つかいつまんでみていきましょう。

まずは、「特定可能なストレス因子」という部分についてです。例えば会社で言えば特別強く叱責をしてくる上司や過剰な業務量などが思い当たるでしょう。学校生活におけるいじめ、家庭環境における不適切な養育環境なども該当されます。

 

そして「日常生活に支障をきたす感情面、行動面の症状」について、掘り下げていきます。感情面の症状で言えば抑うつという症状が思い当たります。今まで楽しいと感じていたことが楽しく感じられなかったり、何に対してもやる気が出なかったり、悲しい感情に支配されるなどの症状が当てはまります。ネガティブな状態から全く抜け出せない、というイメージを持っていただければ大丈夫です。

また、行動面で言うと仕事に集中できない、眠れない、起きられない、身体が思うように動かないなどの症状が当てはまります。これらの症状が「日常生活に支障をきたす」ですので、判断水準はそこを見るとよいかと思います。

例えば悲しい感情に支配され、涙が出てしまう。そのせいで、仕事ができなかったり学校に行くことができなくなっている。眠れない症状が続き、集中できないので車を運転することが難しい。身体が動かず入浴ができず、外に出ることができない。

これらのような状態は日常生活に支障をきたすと言えるでしょう。

 

適応障害と診断されたらどうする?

自分で精神的な状態が気になってしまう、もしくは上司や先生から勧められて心療内科を受診して、適応障害と診断されてしまった場合、どのようにすると良いのでしょうか。

端的に話をすると、対症療法としての薬物療法を活用しながら現在の環境を改善するというのが一般的な治療法となります。薬物療法は、その症状に応じて例えば眠れないという症状に対して睡眠導入剤を処方するなどの方法がとられます。

今回は、後者の環境の改善という部分について掘り下げて解説していきます。環境改善は、職場の部署を異動する、もしくは休職する、退職するなどといったように明らかにされているストレス因子から物理的に離れる、という方法が一般的です。

どちらもそう簡単に行えるものではなく、周りに与える影響や自分自身の身体に起こる副作用をはじめとする影響も考えなければならず、簡単なものではありません。

今回は、自分自身でできる比較的簡単な「適応障害と診断されたらするべきこと」を解説します。

まずは、自分の状態を誰かに話す、ということです。

自分の辛い状態を誰かに話すことは容易ではありません、まして精神的な不調を言葉にするのは言葉で表現するにも難しいですし、どんな捉えられ方をするだろうかと考えてしまうとなかなか言い出せないものです。

しかし、それを内に溜め込んでしまうと誰にも相談できない悩み事が増えていきネガティブな思想に支配されてしまいます。信頼できる人に話をすることで、悩みを共有できることによる精神的な負担の軽減も期待できますが、自分がモヤモヤを感じている内容について、言葉に出すというプロセスによって整理されます。

そのため、漠然とした正体の知れない不安が明確になり、なにをどう対処すれば良いのかわかりやすくなります。こちらはオープンダイアローグの理論が役に立つと思いますので、参考にしていただければ幸いです。最下部の参考文献にリンクを記載いたします。

 

次に、一日の感情の動きについて振り返ることも有効とされています。

漠然と日々を過ごしているとネガティブな感覚に敏感な時はネガティブな要素ばかりが頭に浮かびます。そして今日も嫌なことばかりだったな…という印象で一日を終えてしまうと、小さな良いことに目を向けられなくなってしまいます。

細かく振り返ってみると嫌なことばかりだったという日は少ないはずです。小さな良いことにも目を向けられると、悪いことばかりではない、という方向に意識を変えることができます。


いずれにせよ、自分自身の感情に目を向ける。対話を通して自分の感情に気づく。今の自分を客観的に俯瞰する。ネガティブな思想に閉じ込められないようにすることで自分が本当は何がしたいのか、そして自分の中のモヤモヤは何なのか、を探ることが、自分でできる適応障害への対処法になります。

周りの人が適応障害と診断されたら

それでは、周りの人が適応障害になってしまったらどうすれば良いでしょうか。先ほど診断された本人が周りに話す、というような話をしましたが、周りの人は適応障害と診断された人にたくさんしゃべってもらうことが一番大切です。

そして、たくさん話してもらうためのコツは、否定をしないで理解しようとすること。診断された人は、自分の気持ちや境遇について、本当は誰かに理解してほしいという気持ちを持っている人が少なくありません。

ただ、否定されてしまうことが怖いので話せないでいる人がたくさんいます。周りの人が支える、と言った時にアドバイスをしたくなることもあるかもしれませんが、アドバイスは最小限に抑える、もしくは医師や上司などに任せればよいことかもしれません。

それよりも、医師や上司よりもたくさんの時間を使って、たくさんしゃべってもらいましょう。その中で、聴く技術というものもありますが、上記したオープンダイアローグのガイドラインにも記載されているので、参考にしてください。

まとめ

大前提として、適応障害と診断された場合は心が正常に働くことは難しく、ネガティブな方向に考えが傾いてしまいます。

また、そこから一人で脱出するにも難しく、薬や周りの人の力を使って状況を改善していかなければならないのですが、自分自身でもセルフケアとして「周りに話す」「自分自身を見つめる」という方法をとることができます。

 

そして周りの人は、ただそばにいて話を聴くことがその人の支えになる、ということを覚えておくだけでも良いのではないかと思います。

参考文献等

※1 適応障害 - 10. 心の健康問題 - MSDマニュアル家庭版 (msdmanuals.com)

※2 オープンダイアローグ対話実践のガイドラインウェブ版(第1版).pdf

永⽥ 良介(ながた りょうすけ)

保育⼠、社会福祉⼠、精神保健福祉⼠。
主に、児童期における精神的な悩みや疾患などを主に取り扱う実践家。