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皆さんは、お豆腐はお好きですか?
麻婆豆腐に冷ややっこ、すき焼きに湯豆腐などなど、豆腐は1年を通して私たちの食生活に欠かせない存在です。では、そんな豆腐は何からできているのかご存じでしょうか?
それは「大豆」です。大豆はタンパク質を多く含むことから、最近ではお肉の代わりに用いられることも多い、マメ科の植物の種です。この大豆から取られる豆乳に、にがりを加えることで豆腐が出来上がります。では、どうして豆乳ににがりを加えると、液体であった豆乳が豆腐に変わるのでしょうか。今回は大豆から豆腐を作ることで、その仕組みに迫ります! 自由研究にもピッタリですよ。
CONTENTS
大豆から取られる豆乳は、牛乳と同じく白い色をしています。これは、目に見えるほど大きくないけれど、塩や砂糖の分子よりも大きめの粒であるタンパク質が、沈まずにぷかぷか浮いており、これに光が当たって散乱するから白く見えるのです。こういったものをコロイドと呼んでいます。では、牛乳と塩、片栗粉を比較してコロイドを観察してみましょう。
①透明のコップ3つに水を100 mLいれましょう。
②それぞれのコップに塩、牛乳、片栗粉を少しずついれます。
③割りばしでしっかりとかき混ぜましょう。
3つを水に入れてかき混ぜると、それぞれに違いがあります。塩はかき混ぜると、粉がだんだんと無くなっていき、完全に見えなくなりました。しかし、牛乳はまぜてもまぜても、透明になることは無く、白いままです。片栗粉は混ぜると、初めは牛乳との違いがあるようには見えません。
左:牛乳 中央:片栗粉 右:塩
しかし、時間が経つと、このように粉が底の方に溜まっていきました。
塩は水に入れてかき混ぜると、水溶液となります。水溶液とは、塩の粒がとても小さな状態で、水の中に散らばって透明に見えている状態です。これを水に溶けていると言います。では、片栗粉はどうでしょうか。片栗粉はどれだけかき混ぜても白く濁ったままです。片栗粉は塩とは違い、粒が大きく、あまり水には溶けません。なので、時間が経つと粉が沈んでしまうのです。それでは、牛乳はなぜ、片栗粉と同じように白く濁って見えるのに沈まないのでしょうか。
それは、牛乳の粒がお互いに電気的に反発して浮いているからなのです。
牛乳の主成分である脂肪分には、カゼインというタンパク質がいくつもくっついており、カゼインに包まれた状態になっています。この包まれたものをミセルと呼んでいます。これは、カゼインは水と仲良しな親水性の部分と、水とは仲が悪いが油とは仲が良い疎水性の部分の両方を持っており、油と仲良しな疎水性の部分が、牛乳の脂肪分に向かってくっつくからなのです。その結果、表面は親水性となり、お互いの粒同士は仲良くないので、お互いにはくっ付かず、反発して水の中でぷかぷか浮いていることになります。
では、同じようにコロイドである豆乳に、にがりを入れると固まるのはどうしてなのでしょうか?考えながら豆腐を作ってみましょう。
準備するもの
大豆250 gを1 Lの水に一晩つけておきましょう
準備するもの
① 一晩つけておいた大豆を水と一緒にすべてミキサーにかけて、クリーム状にします。
これくらい↓になれば大丈夫です。水が少なすぎるとうまくミキサーがかからないので、大豆と一緒に水は多めに入れるのがポイントです。
② 事前に水1 Lを鍋で沸かしておき、ミキサーにかけてクリーム状になった大豆をそこに入れます。強めの火で加熱していきましょう。この時、焦げてしまわないようにへらなどでしっかりとかき混ぜながら加熱します。
また、かき混ぜながら表面の泡を、お玉を使ってボウルなどに取り除いていきましょう。
泡を取り除いていくと、液体の部分がだんだんと見えてきます。また、6~8分ほど加熱していくと、豆腐の良い香りがしてくるので、火を止めます。この時にどこまで泡なのか心配になりますが、思い切って表面を取り除いてください。
③ 次は布で加熱した液体を綿100%の布でこしていきます。ザルに布を被せ、その下に加熱用の鍋を置いておきます。
注意:加熱した液体はとても熱いので、軍手をした上からゴム手袋をつけましょう。
量が多いので、何回かに分けて液体をこしていきます。
布から漏れないようにしっかりと手で絞りましょう。手袋を二重にしていても少し熱いので、無理の無い範囲で絞ってください。
絞り終わったカスがおからです。このおからも、もちろん食べることができるので、調理などして食べてみてください。そのままでは味があまりないので、あまりおいしくは無いですw おからはその日のうちに食べるようにしましょう。
全て絞り終われば、おからと白い液体に分かれます。この液体が豆乳です。
準備するもの
作った豆乳
にがり
おおさじ
① 豆乳をかき混ぜながら中火で5分程度加熱しましょう。70~80℃くらいまで温めます。表面に湯葉ができた場合は取り除きます。
② 豆乳が温まったら、火を止め、にがりをおおさじ1杯、へらを伝わせながら全体に行き渡るように入れていきます。
にがりを入れて、優しくかきまぜていくと、分離してきます。もし、分離していなければ、追加でにがりを少し足しましょう。入れすぎると苦くなってしまうので注意してください。
蓋をして10分程度待ちましょう。
準備するもの
作った豆乳
にがり
おおさじ
① プラスチックのケースにカッターを使用し、水を出す穴を空けていきます。
※カッターを扱うときは十分に注意しましょう。
② 穴を空けたプラスチックの容器にキッチンペーパーをひき、にがりで分離させた豆乳を流していきます。
量が多いので、少しずつ入れていきます。表面をお玉でしっかりと押さえながら、液体を取り除きは入れ、取り除きは入れを繰り返していきます。
③ あとはキッチンペーパーでくるみ、重しをのせ、冷蔵庫に1日置きましょう。水分が抜けて固まるのを待ちます。穴から水分が出てくるので、容器の下にキッチンペーパーをひいて袋に入れておくと良いです。
④ 冷蔵庫から出して食べてみましょう
先ほどもお話したように豆乳はコロイドです。ここににがりを加えると、分離して豆腐ができました。どうして豆腐ができたのでしょうか。
豆乳は主にグリシニンというタンパク質がプカプカ浮いています。このグリシニンはマイナスの電気を帯びているので、お互いに反発しあって浮いているのです。そこに、塩化マグネシウムを主成分とする にがり を加えると、プラスの電気を帯びているマグネシウムイオンが、反発していたグリシニン同士を繋げてくれます。だから豆乳ににがりを加えると、固まって豆腐になるのです。豆乳のような親水コロイドに、マグネシウムイオンなどの電解質を加えると、豆腐のように集まって固まることを塩析と言います。
にがり以外でも固めることができるので、どんなもので固まるのかをいろいろ試してみたり、スーパーで売っている豆腐と比較したりすると、自由研究の幅が広がると思いますので、いろいろ試してみてはいかがでしょうか。
大豆から豆乳を作り、豆腐を作るとなると、大きめの鍋やミキサーなどの機材が多くかかってしまったり、大豆を一晩水につけておく作業が必要となってしまうので、豆乳は市販のものを使い、そこから豆腐を作れば、操作が難しくなく人数が多くてもできると思います。また、1日で実験を終わらせたい場合、豆腐を固める際に、ガーゼなどで絞って固めても豆腐は作ることができますので、ご活用ください。