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このHPを始めてからすでに8年が経過したが、考えてみると、心臓の生理学についての論文は紹介したことがなかったように思う。これは、生理学分野の進展が遅いからではなく、単純に私が一般生理学が苦手なだけだ。しかし、今日紹介するデンマーク、コペンハーゲン大学からの論文を読むと、生理学が臨床に直結する学問として、新しいテクノロジーを取り入れながら発展しているのがよく理解できた。
タイトルは「Functional cross-talk between phosphorylation and disease-causing mutations in the cardiac sodium channel Nav 1.5(心筋の電位依存性ナトリウムチャンネルNav1.5の疾患関連変異とリン酸化の機能的相互作用)」だ。
まず、電位依存性ナトリウムチャンネルについて少し解説する必要がある。心臓の収縮は電位依存性の、ナトリウム、カリウム、カルシウムチャンネルが動員されることで、規則正しい鼓動を刻んでいる。その中のNav1.5は、心筋の活動電位のトリガーになっている分子だ。
驚くことに、500種類もの突然変異が知られており、心室細動の原因になるブルガダ症候群や、QT延長症候群の原因になるが、多くの変異は無症状で経過することが多い。それでも急死などの原因になるのではないかと疑われている。特に難しいのは、この分子が様々なシグナルによりリン酸化され、特性が変化することで、突然変異もNav1.5がリン酸化された条件で調べる必要がある。
この研究では、Nav1.5の1495番目のチロシンをリン酸化チロシンに変化させ、リン酸化された時、遺伝子変異がチャンネル機能にどのような影響があるかを調べている。この研究の最大のハイライトは、Nav1.5を2本のタンパク質に分けて翻訳させ、それをタンデムタンパクスプライシングと呼ばれるメカニズムを用いて一本にまとめるときに、すでにリン酸化したチロシンを挿入するという、私にとっては初耳のテクノロジーを使って、リン酸化Nav1.5を細胞表面に発現させることに成功している。
これにより、Nav1.5の突然変異と、リン酸化が集まるチャンネル機能への影響を正確に評価できる。また、Nav1.5は構造が詳しく解析されているので、これを用いて分子レベルで何が起こっているのかシミュレーションを行っている。
結論をまとめると以下のようになる。
以上、何よりもprotein splicingと呼ばれる方法に感心して選んだが、生理学はそのまま臨床に直結しており、重要性を認識できる素晴らしい研究だと思う。