愛犬との絆を深める非言語コミュニケーション「イヌパシー」で心拍から感情を読み解く

2021.08.05 監修 株式会社ラングレス

本稿では、犬の感情を読み取るハーネス型ウェアラブルデバイス「イヌパシー」をご紹介します。

イヌパシーは愛犬との言語を超えたコミュニケーションの実現に成功し、犬と飼い主双方の喜びを創出することに貢献しました。イヌパシーの開発はどのように始まったのでしょうか?また、ストレスのない使用感を実現した技術的背景はどのようなものだったのでしょうか?

飼い主の気付きから見えてくる、イヌパシーと非言語コミュニケーションの可能性、将来性について考えます。

開発は「愛犬をもっと知りたい」から始まった

愛犬が、何かに怯えている。その理由が分からない。

「人と人」は言語を介して思いを伝えることができます。人類が高度な社会を形成できた最大の要因です。しかし、「犬と人」ではそれができません。どうすれば愛犬に安心して過ごしてもらえるのかを知りたい。Langualess社CTO 山口譲二氏はこうした思いから、心拍の微細な変動を測定することで、愛犬の感情を可視化するデバイスの開発をスタートしました。

開発当初はLangualess社もなく、個人での手探りの活動でした。心拍センサーに関する技術もありません。最初は人用の心拍センサーを使っていましたが、最終的に犬専用のセンサーを作ることになりました。

完成した「イヌパシー」はハーネス型のウェアラブルデバイスです。犬の感じる「リラックス」「ドキドキ」「ハッピー」「興味」「ストレス」の5つの感情をLEDライトの色で表現します。

イヌパシーは2016年の発売以来、ユーザーからのフィードバックを元に改良を続け、ユーザーを増やし続けています。

軽量化・ノイズキャンセリング技術で犬のストレスを軽減

イヌパシーの原理は犬の心音を読み取り、リズムを解析する、というものです。

これまでにも心拍から犬の感情を可視化するデバイスは存在しました。しかし、従来は心臓の電気信号を読み取っていたため、毛を剃る、ジェルを塗るといった処置が必要でした。これでは犬が大きなストレスを感じてしまいます。

イヌパシーは体内の音のみを収音するマイクと、高度なノイズキャンセリングで雑音を排除するシステムを採用しました。風の音や筋肉が収縮する音など、一切の余計な音を排除し、心音だけを抽出することに成功したのです。こうした技術により、毛皮の上から装着するだけで正確な心音測定が可能となり、剃毛が不要となりました。

加えて、徹底的な軽量化にも取り組みました。心音をモニタリングするための複雑な波形処理プログラムを、極小のマイコン上で行えるように改良を施したのです。イヌパシーの重量はハーネス部を含めてもわずか100g。軽量化は犬のストレスを大きく低減しました。

また、イヌパシーは専用のアプリと連携することで、より詳細な感情を知ることができ、日々の感情を記録することもできます。どのようなときに喜び、どのようなときにストレスを感じているのか分かるので、愛犬への理解をより一層深めることが可能です。

記録されたデータは、イヌパシーの更なる改良に役立てられています。今後は、機械学習も取り入れたユーザーデータの活用・分析により、読み取れる感情の細分化に取り組んでいくことを構想中です。

イヌパシーで得られた気付きと喜び

開発者の元々の目的であった「愛犬が何に怯えているのか知りたい」という疑問は、イヌパシーによって明らかになりました。どうやら広い空間の中にいると落ち着きがなくなることが分かりました。個室に籠っている間は良いものの、扉やカーテンが開き、突然外の様子が見えるのが苦手だということが分かり、それを避けるように対処することができました。

 

他にも、散歩中に他の猫や犬に吠える際、吠えているときの感情が猫と犬で異なることが分かりました。また、犬の中でも反応は様々で、好きな犬、嫌いな犬がいることも分かりました。吠えている相手に敢えて近づけると、一緒に遊びだすこともありました。犬の感情を可視化することで、今までなかった多くの気付きが得られます。

開発者がユーザーから聞いた話として、犬がイヌパシーに愛着を持って、装着しようとすると喜ぶようになったケースもありました。イヌパシーを付けている間は、飼い主がより自分の気持ちを分かってくれることを犬も理解しているようなのです。イヌパシーは犬と人、双方の喜びを創出することにも貢献します。

ホームセンターのペット商品コーナーに愛犬と一緒に行き、おやつを選ばせる、という使い方もできます。イヌパシーを見て、愛犬が好きなおやつかどうかを判断するのです。

将来的には、犬やその他のペットに留まらず、ウシやクジラなどにも応用が検討されています。動物園の動物にデバイスを装着し、モニタリングする仕組みも面白いのではないかというアイデアも出ました。水族館や動物園で飼育されている動物の感情を読み取ることができれば、動物の体調管理は今よりも簡単になるでしょう。動物の感情を可視化することで見えてくる使い方は多種多様です。

まとめ

動物の感情についてはまだまだ分からないことが多く存在します。ペットがより一般化した現在、動物の感情を知りたいという関心は益々高まっています。イヌパシーは最新の技術を利用して、動物の心理に近づく大きな一歩を踏み出しました。

動物と人で、言語を介さず気持ちを伝えあい、絆を深められる未来はすぐそこに来ているのかもしれません。

 

 

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