プラスチックの種類と特徴、長所と短所をもとに用途も徹底解説!【2026年最新版】

2026.08.19

研究室のプラスチック製品、PEとPPの違いは?耐熱・耐薬品性は?100種近いプラスチックの中から、研究室でよく使う樹脂を早見表と用途別ガイドで徹底比較。2026年のPFAS規制動向もあわせて解説します。

身近だけど奥が深いプラスチック

日常の生活用品には数多くのプラスチックが存在しますが、理化学機器分野でも使用される容器や器具の多くは材質がプラスチックです。
ただ、プラスチックと言っても種類は100近くあり、それぞれに長所や短所があります。
本記事ではプラスチックの長所や短所、製品例をご紹介します。
※本記事で紹介するのはあくまで一般的な内容であり、短所を改善したプラスチック原料が材料メーカーより販売されているものもあります。各製品の具体的な仕様に関しては販売店や製造メーカーにご確認ください。

まず、プラスチックは熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂に分けられます。
熱可塑性樹脂は熱により軟化させることが出来、再度成形することが可能なプラスチックです。
それに対して熱硬化性樹脂は一度冷えて固まってしまうと、熱を加えても軟化させることが出来ず、形状を変えることが出来ないプラスチックとなります。 よりご理解いただくために、よく熱可塑性樹脂はチョコレート、熱硬化性樹脂はクッキーやパンケーキに例えられます。

両者の違いを整理すると、以下のようになります。

【早見表】研究室でよく使うプラスチック7種を比較

各素材の詳しい特徴は次章以降で解説しますが、まずは全体像をつかみたい方向けに、研究室で頻出する熱可塑性樹脂7種を一覧で比較してみました。

「まずは価格を抑えたい」ならPEやPP、「透明性と耐熱性を両立したい」ならPCやPMP、「薬品への耐性を最優先したい」ならフッ素樹脂、というように、優先したい性能から逆引きすると選びやすくなります。

それでは次に熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂に分類されるプラスチックについてみていきましょう。

熱可塑性樹脂に分類されるプラスチック

プラスチック製品の頭には「P(ポリ)」がつくものが多いのですが、これは「ポリ=たくさんの」という意味です。
例えばエチレンがたくさんつながったものをポリエチレンといいます。
ポリエチレン(PE)・・・比較的安価で耐薬品性にも優れるため最も汎用的に使用されるプラスチックの一つ。身近なものですと、コンビニ袋がPEで作られています。高密度(HIGH DENSITY)と低密度(LOW DENSITY)のものがあり、前者を「HDPE」、後者を「LDPE」と呼びます。HDPEは白色のものが多く、LDPEはHDPEよりも薄い白色です。
【長所】・・・耐候性、耐薬品性、耐油性に優れる/比較的安価/柔軟性に優れる
【短所】・・・透明性があまりない/PPに比べ耐熱性に劣る/剛性があまり高くない(柔らかい)
【製品例】・・・汎用容器(1-4658-**)/洗浄瓶(1-4640-**)/廃液回収容器(5-085-**)

①ポリエチレン(PE)製品例(1-4640-**)

 

 

ポリプロピレン(PP)・・・耐薬品性に優れ、耐熱性も良好なため、PEと同様汎用的に使用されるプラスチックの一つ。 PEと比較すると透明性が高いのが特長です。
【長所】・・・耐薬品性に優れる/PEと比較して耐熱性に優れるため熱に強く、透明性にも優れる/機械的強度に優れる
【短所】・・・耐候性があまりない
【製品例】・・・汎用容器(5-002-**)/遠沈管(1-3500-**)/ピペットチップ(3-6629-**)

②ポリプロピレン(PP)製品例(1-3500-**)

 

※PEとPPはどちらを選ぶべき?

オートクレーブ(高圧蒸気滅菌)にかける可能性がある器具はPPを選ぶのが基本です。PEは耐熱温度が低く、変形するおそれがあります。一方、柔軟性や薬液へのなじみやすさを重視する場合はPEが適しています。


ポリ塩化ビニル(PVC)・・・いわゆる塩ビ。可塑剤を加えるか否かによって軟質と硬質に区別されます。ビニール袋、ビニールハウスなど、「ビニール」とつくおおよそがPVCです。安価な上に丈夫で加工性に富み、接着も簡単に行えます。
【長所】・・・耐薬品性に比較的優れる(酸、アルカリに強い)/耐候性と耐水性、耐久性に優れる
【短所】・・・耐熱性・耐衝撃性はあまり高くない
【製品例】・・・薬品庫(1-1630-**)/配管部材(3-8159-**)/ドラフト筐体(3-2048-12)

③ポリ塩化ビニル(PVC)製品例(1-1630-**)

ポリスチレン(PS)・・・耐衝撃性はあまり高くありませんが、比較的安価で透明性に優れ、サンプルの観察が容易なため多く利用されています。
【長所】・・・透明性に優れる/比較的安価/寸法の誤差が出にくい
【短所】・・・耐衝撃性があまり高くない/PEやPPに比べ耐薬品性に劣る/PPに比べ耐熱性に劣る
【製品例】・・・シャーレ(3-1491-**)/サンプル保存瓶(9-892-**)/ディスポピペット(1-2247-**)

④ポリスチレン(PS)製品例(3-1491-**)

 

ポリカーボネート(PC)・・・透明性に優れ、耐衝撃性も非常に高いです。耐熱性にも優れ、①~④が汎用プラスチックと呼ばれるのに対し、PCはエンジニアリングプラスチック(高機能なプラスチックの一群)と呼ばれています。
【長所】・・・耐衝撃性が非常に優秀/透明性に優れる/耐熱性能も高いため熱に強い
【短所】・・・耐薬品性はあまり高くない/比較的高価
【製品例】・・・真空デシケーター(2-931-**)/安全用衝立8-4036-**)

⑤ポリカーボネート(PC)製品例(2-931-**)

 

ポリメチルペンテン(PMP)・・・三井化学株式会社の登録商標であるTPXという名称が有名。透明性と耐薬品性を兼ね備えています。
【長所】・・・透明性に優れる/耐薬品性に優れる/耐熱性に優れる
【短所】・・・耐寒性はあまり高くない
【製品例】・・・メスシリンダー(1-2051-**)/ビーカー(1-4627-**)

⑥ポリメチルペンテン(PMP)製品例(1-2051-**)

 

ポリアミド(ナイロン)・・・かなり丈夫な素材で、空気も通しにくいです。PAと略されます。
【長所】・・・耐摩耗性、耐寒冷性、耐衝撃性に優れている。
【短所】・・・乳白色なので透明性の面で劣る

フッ素樹脂・・・耐熱性、耐薬品性、耐摩耗性、耐候性など、多くの優れた特徴を持っています。PFA、PTFE、ETFE、PVDF等の種類があります。
【長所】・・・耐熱性に非常に優れるため、かなり熱に強く、また耐薬品性の面でも非常に優秀
【短所】・・・汎用樹脂と比較すると非常に高価
【種類別の特徴例】
PTFE・・・フッ素樹脂の中で一番多く使用されている代表材質。
      耐熱性、耐薬品性、電気特性、非粘着性など様々な優れた特性を持つ。
      高温状態で流動性を示さないため、PPやPEのように溶かして成形することは難しい。
PFA ・・・PTFEに匹敵する特性を持ち、PTFEに比べ透明度が高い。高温状態で流動性があるため
     汎用樹脂のPPやPEと同様に溶かして成形することが可能。     
ETFE・・・PTFEやPFAに比べると耐熱性に劣るが、耐衝撃強度や耐摩耗性等の機械的特性には
     優れている。高温状態で流動性があるため、汎用樹脂のPPやPEと同様に溶かして成形
     することが可能。
PVDF・・・機械的特性に優れ、特に引張強度が優れている。フィルムなど薄いものに加工可能。
      アズワン株式会社では袋状のサンプリングバッグに使用。

【製品例】るつぼ(7-636-**)/サンプル容器(4-5342-**)/コック(1-2701-**)/
     サンプリングバッグ(1-6664-**)


⑦フッ素樹脂製品例(1-6664-**)


⑦フッ素樹脂製品例(4-5342-**)

 

熱硬化性樹脂に分類されるプラスチック

フェノール樹脂
【長所】・・・電気絶縁性、耐酸性、耐熱性、耐水性に優れている。熱にかなり強いため燃えにくい。
【短所】・・・耐アルカリ性に難あり

ユリア樹脂
【長所】・・・透明性が高く、絶縁性、成形性に優れている。
【短所】・・・フェノール樹脂より耐水性が低く、耐久性にも難ありで老朽化の可能性がある。

メラミン樹脂
【長所】・・・透明性が高く、絶縁性、耐水性に優れており、耐熱性も高いため熱に強い。硬度もとても高いとされている。
【短所】・・・熱水により分解が促進されやすい

不飽和ポリエステル樹脂
【長所】・・・絶縁性、耐薬品性に優れており、耐熱性も高いため熱に強い。さらに低圧成形が可能で、硝子繊維で強化したものはさらに高度が増すと言われている。
【短所】・・・このプラスチックには特筆すべき短所がありません。

エポキシ樹脂
【長所】・・・絶縁性、耐薬品性に優れており、耐熱性も高いため熱に強い。
【短所】・・・少し高価。

ポリウレタン
【長所】・・・絶縁性、耐水性に優れており、老化性が低く、柔軟性に富んでいる。
【短所】・・・エポキシ樹脂などに比べて柔らかい

【2026年最新トピック】フッ素樹脂とPFAS規制の動き

フッ素樹脂(PTFE、PFA、ETFE、PVDFなど)は耐熱性・耐薬品性に優れ、研究現場で欠かせない素材ですが、近年はPFAS(有機フッ素化合物)規制の動向が業界内で注目されています。

  • 欧州では、フッ素樹脂を含む幅広いPFASを対象とした制限案がREACH規則のもとで検討が進んでおり、対象となる用途には数年単位の猶予期間を設ける案が議論されています。
  • 日本国内では、すでにPFOSやPFOAといった一部の「特定PFAS」の製造・使用が禁止されていますが、PTFEやPFAなど研究用途で使われるフッ素樹脂そのものは、現時点では規制の主眼である特定PFASとは区別されています。
  • とはいえ、水道水基準や排出規制の強化など、PFAS全体を取り巻く規制環境は今後も変化が見込まれるため、フッ素樹脂を使用した器具・設備を選定・調達する際は、メーカーの最新情報を確認することが重要です。

規制の詳細や最新動向は変化が速い分野のため、購入・選定の際は必ずメーカーや行政の公表情報をあわせてご確認ください。

用途別・プラスチックの選び方

「結局どれを選べばいいの?」という方向けに、優先したい条件別のおすすめをまとめました。

  • ・とにかくコストを抑えたい → PE、PP、PVCなどの汎用樹脂
  • ・中身が透けて見える必要がある(観察・計量用途) → PS、PC、PMP、PET
  • ・強酸・強アルカリなど薬品への耐性を最優先したい → PP、フッ素樹脂(PTFE・PFA)
  • ・オートクレーブなど高温での滅菌・加熱が必要 → PP、PC、PMP、フッ素樹脂
  • ・繰り返し可動する部品や歯車など摺動性が必要 → POM
  • ・機器の筐体や外装として衝撃に強くしたい → ABS、PC

 

よくある質問(Q&A)

Q. PEとPPの違いは何ですか?

A. PPの方が耐熱性・透明性に優れる一方、PEの方が柔軟性に優れます。オートクレーブ滅菌が前提の器具にはPPが選ばれることが一般的です。

Q. オートクレーブ(高圧蒸気滅菌)にかけられる樹脂はどれですか?

A. PP、PC、PMP、フッ素樹脂などは比較的高い耐熱性を持ちますが、実際の耐熱温度は製品ごとに異なります。必ずメーカーが公表する耐熱温度・使用条件を確認してください。

Q. 汎用プラスチックとエンジニアリングプラスチックの違いは何ですか?

A. 明確な定義はありませんが、一般にPE・PP・PVC・PSなど日常的に大量生産される樹脂を「汎用プラスチック」、PCやPOM、フッ素樹脂のように耐熱性や機械的強度など特定の性能に優れた樹脂を「エンジニアリングプラスチック」と呼ぶことが多いです。

Q. 一番薬品に強いプラスチックはどれですか?

A. 一般にフッ素樹脂(PTFE、PFA等)が最も幅広い薬品への耐性を持つとされています。ただし薬品の種類・濃度・温度によって適性は変わるため、使用する薬品ごとに耐薬品性データを確認することをおすすめします。

まとめ

プラスチックには様々な種類が存在し、長所や短所、それぞれ特性が異なります。価格も大きく異なりますので、使用するシーンに合わせたプラスチックの選定が必要です。

「安さ重視ならPE・PP」「透明性ならPC・PMP」「薬品への耐性ならフッ素樹脂」というように、優先したい性能から逆算して選ぶのがポイントです。あわせてPFASなど規制動向も変化していく分野ですので、最新情報も適宜チェックしながら選定することをおすすめします。

今回の記事が皆様のプラスチック選定のお役に立てれば幸いです。