ヒューマノイドにおける歩行技術の“いま”を俯瞰:全体像・トレンド・有望技術

2026.02.24

はじめに

こんにちは!ビッグデータ解析企業のVALUENEX です。当社は、特許や論文といった膨大なテキスト情報を独自技術で可視化し、その全体像を「俯瞰図」という形で情報の地図としてまとめることで、事業や研究開発の方向性を見出す支援をしています。
今回は特許情報を俯瞰することで見えてきたトレンドを紹介します。テーマは「ヒューマノイドにおける歩行に関する技術」です。スマホや車と同じように、ロボットも「歩く」という人間らしい動きができると、活躍できる場所が一気に広がります。本レポートでは、2005年~2025年の日本公開特許1,025件を対象に、重心制御や脚部構造、センサ、アシスト機構など歩行ロボットを支える技術要素がどう発展してきたかを読み解きます。
では、これらの技術はどのような状況なのか。これからヒューマノイド歩行技術を俯瞰して見ていきましょう。

全体俯瞰

図1:ヒューマノイド歩行技術の全体俯瞰

 

図1はヒューマノイド歩行技術の全体像を表した俯瞰図です。この俯瞰図では直近20年間のヒューマノイド歩行に関連する公開特許公報(以下、特許)1,025件それぞれが青いプロットで表現されており、特許の内容が近いもの同士を近くに配置しています。特許が密集している箇所は密集度合いに応じて赤色、黄色や緑色で強調して表現しており、これらを領域として囲った上で、領域内を説明するキーワードをラベルで示しています。
メジャーな領域として、歩行安定化の軌道生成や足裏接地タイミング検出に関わる【zmp, 軌道, 足平】、装着型支援機構に関する【膝関節, 支援, 装着者】、大腿と下腿フレームの機械設計に関する【フレーム, 下腿, 股関節角度】が示されています。その他の領域では、地面との接触のインタフェース設計やパラメータの制御、さらには神経振動子CPGを用いた周期運動生成、位相差制御などによる歩行リズムの設計技術があります。ヒューマノイドには該当しませんが、人間が搭乗するタイプの機構に関する技術も見られます。

主要プレイヤー

表1の通り、ヒューマノイド歩行分野では、トヨタ自動車(180件)と本田技研工業(155件)が特許件数で突出し、続いてソニーとエクォス・リサーチ(各44件)、三星電子(31件)が続きます。トヨタは歩行安定性と機械構造に関する取り組みが多く、エクォス・リサーチは膝関節支援に集中するなど、各社の注力している領域が差別化されている傾向が見られます。
トヨタやホンダなどの自動車メーカーは長期にわたり継続的に出願が見られます。電機メーカーはプレイヤーごとの増減が大きく、パナソニックは2020年代に入ってからの動きが見られず、ソニーは再成長の動きが示されています。

表1:主要プレイヤーの時系列変化

時系列トレンドとキーワード

図2:2020年以降の俯瞰図

 

図2は図1の俯瞰図から2020年以降の特許だけを表示してプロットした俯瞰図になります。2020年~2025年は【膝関節, 支援, 装着者】の伸長と【ワイヤー, 張力, アシスト】の増加が示される一方、【zmp, 軌道, 足平】は初期の盛り上がり後に減少、【車輪, 走行, 移動ロボット】は低調と見られる。全体として、人の運動支援やロボットの関節制御に関する技術への注目が顕著になっています。

表2:Top10キーワード(年代別)

各年代で使われているキーワードTop10の推移をみると、初期は「zmp」「歩容」「接地」など歩行のバランス制御や安定性に関する技術が中心でした。近年は「下腿」「膝関節」「検出」、さらに「フレーム」「アシスト」「屈曲」などが増えており、具体的な脚部の構造や計測・認識技術への関心が高まっています。
ハードウェアに加えて、ソフトウェアを融合した高度な動作最適化や人工知能要素の導入が進展していることも特許情報から読み取れました。

まとめ

歩行の安定化や軌道生成が成熟する一方、近年は装着者支援と関節制御の伸びが見られました。主要プレイヤーはトヨタやホンダが継続的に牽引し、ソニーは再び力を入れています。キーワードも安定化制御から、詳細な各部の機構強化へと移行しています。
今回はヒューマノイド歩行の技術を俯瞰してみました。皆さんも情報の地図を手に技術の“いま”を俯瞰してみませんか。
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