π共役系高分子電解質を用いたリン酸化合物の検出

2024.08.08 By 上智大学

化学

技術概要

DNAやRNA、アデノシン三リン酸などのリン酸化合物は生体内において重要な役割を果たす。本発明は、ポリフルオレンやポリチオフェンからなるπ共役系高分子であるブロック共重合体によるリン酸化合物検出剤、及びそれらを利用するリン酸化合物の検出方法の特許である。高分子構造の精密な制御により、リン酸化合物の識別を可能とした。

用途・応用

ブロック共重合体、リン酸化合物検出剤、及びリン酸化合物の検出方法

背景

生体内にはATPやDNA等の多くのリン酸化合物が存在しており、リン酸化合物の検
出は、医療分野ばかりではなく工業分野においても必要とされている。工業分野では、特
に、微生物の生産するリン酸化合物、あるいは微生物の栄養源となるリン酸化合物などを
計測する検出技術が求められている。

 これまでに、ATPaseによるATPの脱リン酸化後の電位変化、及びATP存在下
における特定化合物の吸収波長変化からATPの検出を行う技術が報告されている(引用
文献1及び2)。しかし、前者は、直接的な検出ではないという点、後者は、吸収波長変
化が小さいという点が欠点となっていた。

 一方で、アニオン性のリン酸化合物を静電気的相互作用により吸着する性質を有するカ
チオン性のホスホニウム基を伴うチオフェン重合体が、DNA等の検出剤として有用であ
ることが報告されている。ここでは、チオフェン重合体が強い自己組織性を示すことから
、その凝集性の変化を利用することでDNAの認識を行っている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】

【特許文献1】特開平4−131096号公報
【特許文献2】特表2013−533903号公報
【特許文献3】特開2015−158425号公報

課題

 本発明の課題は、リン酸化合物の検出に有用な新規ブロック共重合体を提供することで
ある。

手段

本発明者は、上記目的を達成するため、優れた発光特性を示すフルオレンブロック単位
と強い自己組織性を示す5員複素環ブロック単位からなるブロック共重合体において、フ
ルオレンブロック単位と5員複素環ブロック単位の両方にカチオン性の置換基を導入し、
得られたブロック共重合体のリン酸化合物の分子認識能を分光特性等の観点から評価した
結果、分光特性の変化により溶液中のリン酸化合物の検出が可能であることを見出し、本
発明を完成するに至った。

 すなわち、本発明は以下の通りである。
 [1] 式(I):

【化1】

(式中、
  R 1 〜 R 8 は、それぞれ独立して、−Y−R 1 1 、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子
数1〜10の炭化水素基、−NR 1 2 R
1 3 、−OR 1 2 、−SR 1 2 、−COR 1 2 、
−SO 2 R
1 2 、−NR 1 3 COR 1 2 、−CONR 1 2 R
1 3 、−OCOR 1 2 、−C
OOR 1 2 、−NR 1 3 CSR 1 2 、−CSNR 1 2 R
1 3 、−SCOR 1 2 、又は−C
OSR 1 2 を示し、R 1 〜 R 8 のうち少なくとも1つが、−Y−R 1 1 であり、
 Yは、主鎖の原子数が1〜30個のスペーサー構造を示し、
  R 1 1 は、カチオン性窒素含有基、又はカチオン性リン含有基を示し、
  R 1 2 は、炭素原子数1〜10の炭化水素基を示し、
  R 1 3 は、水素原子、又は炭素原子数1〜10の炭化水素基を示し、
 nは、2〜100を示し、
 n個のモノマー単位は、それぞれ、同一又は異なっている。)
で表されるブロック単位と、
 式(II):

【化2】

(式中、
  R 9 及びR 1 0 は、それぞれ独立して、−Y−R 1 1 、水素原子、ハロゲン原子、炭素
原子数1〜10の炭化水素基、−NR 1 2 R
1 3 、−OR 1 2 、−SR 1 2 、−COR 1
2 、−SO 2 R
1 2 、−NR 1 3 COR 1 2 、−CONR 1 2 R
1 3 、−OCOR 1 2 、
−COOR 1 2 、−NR 1 3 CSR 1 2 、−CSNR 1 2 R
1 3 、−SCOR 1 2 、又は
−COSR 1 2 を示し、R 9 及びR 1 0 のうち少なくとも一方が、−Y−R 1 1 であり、
 Xは、S、O、又はNR 1 4 を示し、
 Y、R 1 1 、 R 1 2 及びR 1 3 は、式(I)と同様であり、
  R 1 4 は、水素原子、又は炭素原子数1〜10の炭化水素基を示し、
 mは、2〜100を示し、
 m個のモノマー単位は、それぞれ、同一又は異なっている。)
で表されるブロック単位と、を含むブロック共重合体。
 [2] n/mが3以下であることを特徴とする[1]に記載のブロック共重合体。
 [3] nが15以上であることを特徴とする[1]又は[2]に記載のブロック共重
合体。
 [4] mが8以上であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載のブロッ
ク共重合体。

[5] 式(I)で表されるブロック単位と、式(II)で表されるブロック単位が直
接結合していることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載のブロック共重合体。
 [6] R 1 〜 R 6 が、水素原子であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに
記載のブロック共重合体。
 [7] R 7 及びR 8 が、それぞれ独立して、−Y−R 1 1 であることを特徴とする[
1]〜[6]のいずれかに記載のブロック共重合体。
 [8] R 9 及びR 1 0 の一方が、−Y−R 1 1 であり、他方が、水素原子であること
を特徴とする[1]〜[7]のいずれかに記載のブロック共重合体。
 [9] [1]〜[8]のいずれかに記載のブロック共重合体を含むリン酸化合物検出
剤 。
 [10] リン酸化合物を含む溶液中の[1]〜[8]のいずれかに記載のブロック共
重合体の蛍光スペクトル又は紫外−可視光吸収スペクトルを測定すること、それにより得
られる蛍光強度又は紫外−可視光吸収スペクトルの波形若しくは吸光度により上記リン酸
化合物を検出することを含むリン酸化合物の検出方法。

効果

本発明によれば、リン酸化合物の検出に有用な新規ブロック共重合体を提供することが
できる。

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特許情報

第7125107号

特願2018-156672

JPB 007125107-000000