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我が国のワクチン接種完了者はついに50%を突破し、今や米国を追い抜こうとしている。何千万という人が接種を受けると、様々な副反応が発生するのが当然で、それを正確に分析するのが医学の勤めだ。
我が国ではアデノウイルスベクターを用いるワクチンが使用されないのではと思っていたら、8月終わりぐらいから使用が始まったので、今日は英国の43施設から共同で8月6日、The Lancetにオンライン発表された、アストラゼネカワクチン接種後に起こった静脈血栓症の詳しい解析報告について、紹介することにした。
タイトルは「Cerebral venous thrombosis after vaccination against COVID-19 in the UK: a multicentre cohort study (英国でcovid-19ワクチン接種後に見られた脳静脈血栓症:他施設コホート研究)」だ。
すでにアデノウイルスベクターを用いたcovid-19(ad-V)で、VITT(ワクチンによる免疫性血栓性血小板減少症)と呼ばれる特有の副反応が発生することを紹介し(https://aasj.jp/news/watch/15740)、早期に発見して濃縮免疫グロブリン投与などを行えば、治療可能であることを紹介した。
ただ、血栓性の病変が脳静脈に広がれば話は別で、命に関わる。もともと脳静脈に血栓が起こること自体まれで、血液の出口が詰まるため、急速な脳浮腫が発生する。動脈が詰まる脳梗塞と異なり、凝固異常症が背景に存在し、経口避妊薬の副反応として起こるケースは一般にもよく知られている。
この研究に参加した英国の施設では、今年の4月から約2ヶ月間に、ワクチン接種後、脳静脈血栓症で入院した99例の患者さんについて、VITTを併発している群70例と、併発していない群20例に分けて、臨床的に検討している。
さらに詳しい内容については、是非論文を読んで欲しいと思うが、Ad-V接種後1週間以降1ヶ月以内で、頭痛、嘔吐を訴える患者さんは、VITT併発脳静脈血栓症を疑い、命に関わるので、CTを含む適切な検査と治療を行える施設に搬送し、外科的介入も含めた治療を行うことが重要であるというメッセージだ。
もちろんVITTの発生自体は極めてまれだが、我が国でもおそらく100万人以上の単位でアストラゼネカワクチンが使用されると想定されるので、常に対応を準備しておくことが医療側の義務で、間違っても見落とすことは許されない。