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すでに紹介した様に、ガンの突然変異を解析して、個人用ガンワクチンを使う治療が確立しつつある(https://aasj.jp/news/watch/20340)。
ただ、これのさらに上をいくテーラーメイド治療が発表され、驚いた。カリフォルニアのPACT Pharma社が11月16日、Nature にオンライン発表した論文で、ネオ抗原を特定するだけでなく、それに対するT細胞受容体(TcR)、それを導入したT細胞を調整してガン治療を行う究極の免疫治療の治験だ。
タイトルは「Non-viral precision T cell receptor replacement for personalized cell therapy(個人用細胞治療目的のウイルスベクターを使わない正確なT細胞受容体交換)」。
前置きは抜きにして、この治験のプロトコルを列挙する。
以上から分かる様に、ネオ抗原どころか、クリスパー(しかも相同組み替えまで用いて)を用いたガン特異的キラー細胞まで作ってのけている。
驚くのは、この全ての過程を平均163日、5ヶ月で終わらせていることだ。また、今後改良を重ねることでさらにスピードアップできるようだ。
結果だが、10億個に増幅して移植したネオ抗原特異的T細胞は末梢血の20%までを占める様になる。また、移植後バイオプシーできた患者さんで、全てガン組織に移行している。
他にも、末梢血とガン組織で様々なパラメーターを調べているが、省略していいだろう。結論としては、安全で皮下IL2注射で体内で増幅維持させることができる。
気になるガンに対する効果だが、以上のプロトコルを進めている間に、ガン抗原が変化したり、HLAが消失したりする患者さんもいる。とはいえ、半数以上の患者さんでガンを抑える効果が見られたことも示している。
最終的な評価や、CAR-Tやワクチン療法との比較は今後の課題だが、この複雑なプロトコル自体を全ての患者さんでやり遂げていることが驚きだ。
このプロトコルでは、ネオ抗原免疫を組み合わせることも可能なので、あとは時間とコストだけの問題になる。
ガン免疫治療もついにここまで来たことを実感できる重要な貢献だ。