クロロフィル光触媒による石油系油の分解

2022.08.16 By 信州大学

環境

技術概要

本発明は、植物や藻類から粗抽出したクロロフィルを用いて、環境中に流出した石油系油などの難分解性物質を数時間で分解・浄化する事を可能にする。クロロフィルの光触媒能によって、難分解性物質の多くは低分子化され揮発し、残りは水溶性物質に変換され微生物の作用によって速やかに二酸化炭素にまで分解される。

用途・応用

油分解

背景

 石油採掘工程では、石油の産出とともに地層から大量の石油含有水が排出される。このような石油含有水を随伴水という。随伴水には、水と分離している粒子の大きなものやエマルジョン状の微細なものまで多くの石油系油分が含まれている。随伴水は、油田への還流処分のほか環境放出がされるが、環境放出時には、随伴水に含まれる油分の環境汚染が問題となっている。また、石油の精製工場や備蓄基地などの敷地内や周辺部、またガソリンスタンド跡地では、石油成分により土壌が汚染され問題となっている。

 こうした環境汚染の対策として、特許文献1に記載されているように、石油分解菌を用い た バ イ オ レ メ デ ィ エ ー シ ョ ン (bioremediation、 生 物 に よ る 環 境 修 復 技 術 ) が 注 目 さ れている。バイオレメディエーションは、石油系油分を含む随伴水や石油汚染土壌に石油分解菌を添加して石油系油分を分解処理する方法である。バイオレメディエーションは、酸化剤や凝集剤などの薬剤を使用する処理方法に比べると、省資源であり、安価で環境負荷の少ない手法である。また難分解性として知られる石油を完全に分解することができる利点がある。

 しかし、特許文献1や非特許文献1に示されるように、石油分解菌による分解処理には、数週間という長い時間がかかる欠点がある。非特許文献2には、その原因として、石油に生物難分解性の有機化合物が含まれ、そのモノオキシゲナーゼ(酸素分子を基質として酸 素 1原 子 を 化 合 物 に 導 入 す る 酵 素 ) に よ る 酸 化 反 応 が 律 速 段 階 と な っ て い る こ と が 示 されている。

 この律速段階を改善する方法として、例えば、特許文献2には、二酸化チタンを用いた光触媒を利用して石油系油分を部分酸化し、その後、微生物によって二酸化炭素まで分解することが開示されている。

 しかしながら、特許文献2に記載されている二酸化チタンによる光触媒では、二酸化チタンが被覆された物体の表面でのみ酸化反応が進行し、処理水の液全体で効率的に石油系油分を酸化させることが難しいという欠点がある。また、土壌に散布した場合、二酸化チタンは水などに溶解せずまた分解もしないため、環境破壊を誘引するおそれがある。

【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】特開2014-61489号公報
【特許文献2】特表平6-502340号公報
【非特許文献1】門倉ほか、「石油分解菌の安全性評価」、土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月),P.677-P.678
【 非 特 許 文 献 2 】 Nilanjana Das and Preethy Chandran, “M icrobial Degradation of Petroleum Hydrocarbon Contaminants: An Overview”, SAGE‑Hindawi Access to Research,Biotechnology Research International, Volume 2011, Article ID 941810, 13pages.

課題

 本発明は、上記事情に鑑み、随伴水や石油汚染土壌等に含まれる油について、環境を破壊することなく、かつ高効率、短時間で分解・酸化を促進する方法を提供することを目的とする。

手段

 随伴水や石油汚染土壌等に含まれる油には、生物難分解性の脂肪族炭化水素や芳香族化合物が含まれている。この生物難分解性の脂肪族炭化水素や芳香族化合物を高効率に酸化する方法として、クロロフィル類による光触媒反応を利用することが考えられる。クロロフィル類は、時間と共に微生物や光によって分解し、薬品等を使用しないで分解できるため、環境放出されても環境破壊のおそれが小さい。

 そこで、発明者は、脂肪族炭化水素や芳香族化合物の油を含む水や土壌にクロロフィル類を混入してこの油とクロロフィル類とを接触させ、その後光を照射することよって、光触媒反応により油の酸化を促進できることを見出した。 

効果

 本発明に係る油の分解処理方法によれば、石油含有水や石油土壌汚染に含まれる生物難分解性の脂肪族炭化水素や芳香族化合物の油について、クロロフィル類の光触媒反応を利用することによって、酸化を促進し分解できる。そして、これにより、またアルコール分解菌との組合せにより、環境破壊を生ぜず、高効率にかつ短時間に生物難分解性の脂肪族炭化水素や芳香族化合物の油を分解でき、石油含有水や石油土壌汚染等の環境汚染の問題を解消することができる。

問い合わせ・詳細資料閲覧

特許情報詳細や資料のダウンロード等については無料会員登録後に閲覧していただけます。

本研究に関するご質問や、話を聞いてみたいなどご興味をお持ちになりましたら、是非お気軽に以下のフォームにお問い合わせください。

MktoForms2.loadForm(“//mk.as-1.co.jp”, “118-QIN-675”, 1351);

特許情報

特許6665365

JPB 006665365-000000