放射線加工ゲルを用いた吹付和紙

2022.08.02 By 日本原子力研究開発機構

材料工学

技術概要

手漉き和紙の原料液に放射線照射で改質した高吸水性ハイドロゲルを添加することで適度な粘性をもたせ和紙の質感と風合いを損なうことなく、和紙の立体オブジェや和紙被覆の壁板等の建設資材を製作できます。

用途・応用

工芸品・インテリア

背景

 近年、伝統工芸品など日本の古いものが見直されており、電気照明器具のランプシェードとして和紙材料を用いた商品が好まれる傾向がある。和紙材料を用いたランプシェードとしては、竹ひごなどの骨組みを形成し、この骨組の外周表面に、透光性被覆材である和紙材料を貼り付けて構成したものが従来より知られているが、骨組みとして竹ひごを用いるものでは、造形可能な形状が限定されてしまうこととなる。そこで、より柔軟な造形を可能とするために骨組みとして紐部材を用いる技術が、例えば、特許文献1(特開平5-156594号公報)に開示されている。この特許文献1には、破壊可能な素材からなる、所望の立体形状を有する原型1の表面に、表面が毛羽立った、複数の紐状部材2を交差させて配置し、この表面に、植物繊維3及びネリを含む紙料液を付着させ、上記紐状部材2と植物繊維3を乾燥して、上記原型1の外観に対応する和紙成形体を形成した後、上記原型1を破壊して上記和紙成形体の内部から取り出すことを特徴とする、和紙成形体の製造方法が開示されている。
【特許文献1】特開平5-156594号公報

課題

 従来の技術では、紐状部材などの骨組みとなる部材を予め組んでおき、このような骨組み部材に対して紙料液を付着させることによって強度を確保し、もって和紙成形体の立体形状を維持するようにしている。しかしながら、このような骨組みを組むための工程においては、原型の表面に、表面が毛羽立った複数の紐状部材を交差させて配する必要があり、製造には専門的技能者の多大な労力がかかるものであり、これが大量生産のネックとなったり、コストアップの要因となったりして問題となっていた。

手段

 上記のような問題点を解決するために、請求項1に係る発明は、和紙原料と水と粘剤とを含む紙料液を調整する紙料液調整工程と、前記紙料液にハイドロゲルを分散しハイドロゲル分散紙料液を調整するハイドロゲル分散紙料液調整工程と、前記ハイドロゲル分散紙料液を型上に堆積させる堆積工程と、前記型上に堆積された前記ハイドロゲル分散紙料液を乾燥し和紙立体形状物とする乾燥工程からなることを特徴とする和紙立体形状物の製造方法である。

効果

 本発明の和紙立体形状物の製造方法によれば、骨組みを組むための工程などを行うことなく、ハイドロゲル分散紙料液を直接、型上に堆積させることによって和紙立体形状物を製造することが可能となるので、専門的技能者が必要でなく、製造が簡単であり、コストを抑制しつつ大量生産を実施することができるようになる。また、本発明の和紙立体形状物の製造方法において用いるハイドロゲルが分散された紙料液は、立体形状をなす型に堆積したときにおいて、堆積されたときの状態を維持しようと特性を有するものであるために、本発明の和紙立体形状物の製造方法によれば、シームレスな和紙立体形状物を、手間をかけることなく製造することが可能となる。また、本発明の和紙立体形状物は、製造コストが抑制されるために、安価に提供することが可能となる。

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特許情報

特許第5386741号
特許第5376337号

JPB 005386741-000000