LINE公式アカウントから最新記事の情報を受け取ろう!
短時間で大量処理が可能な放射線照射により、プラスチック基材を着色します。所要の青色光カット率が確実に得られ、色素粒子による視界の鈍化がありません。
サングラス、CRT用グラス
レ ン ズ と は 、 三 省 堂 大 辞 林 に よ れ ば 「 光 を 屈 折 さ せ て 発 散 ま た は 集 束 さ せ る た め の 光学素子である。通常は、両側面を球面と球面または球面と平面とした透明体である。用途によっては、片面または両面を球面ではなくした非球面レンズも利用される」とあるが、ここでは、単に光を透過させるもの、あるいは反射させるもの、さらには、眼鏡レンズに利用される乱視補正用のレンズ等を含めてレンズとして説明する。
レンズに着色する方法としては、レンズとなる成形品の少なくとも一部分を、染料を含有した染色浴液中に所定時間浸漬することによって該成形品に染料を浸透させて染色を行なう方法がある(特許文献1)。
しかし、この方法では、レンズ内に染料が分散された状態で存在するために、レンズへ入ってきた光がこの染料によって拡散して光の透過率を低下させ、レンズを通して見たときに、全体として肉眼で見たときよりも暗く感じる現象が発生していた。また、この着色方法は、染色浴液を利用していることから、染色浴液中への染料の分散ムラ、更には、成形品を染色浴液に浸漬したときの染料の浸透ムラが発生する等の品質上の問題が発生することがあった。そのため、左眼用と右眼用のレンズを対にしての着色処理方法をとらざるを得ないものであった(着色ムラ防止)。同時に、染色浴液に使用する染料が混在した液の排水処理、また、染色工程中の温度制御等に利用するエネルギーのロス等の問題があった 。
また、別の方法として、太陽光のような紫外線を含む光が照射される屋外ではレンズが速やかに着色してサングラスとして機能し、そのような光の照射がない屋内においては退色して透明な通常の眼鏡として機能する眼鏡、いわゆるフォトクロミック性を持ったプラスチックレンズの製造に関し、光重合開始剤を使用する方法がある(特許文献2,非特許文献1)。
しかし、この方法は、フォトクロミックス性を持ったレンズであることから、常時、一定に着色したレンズが得られない、かつ、所定の着色を施すことが困難であった。また、フォトクロミックス性を重視するために、レンズを透過する光の透過率についての考慮がなされていないものであった。
一方、レンズの材料となる熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の合成樹脂は、製造過程あるいはその利用する過程で、電離性放射線を照射されると色付くことが知られている(特許文献3)。しかし、この放射線照射は、樹脂に積極的に着色を施して利用するためのものではなく、発色することを邪魔な存在として取扱い、着色を防止する工夫がなされている。
また、基材の表面に形成したコーティング(発色剤を含む樹脂組成物)を放射線に曝露することにより発色させる着色方法が知られている(特許文献4)。
しかしながら、この着色方法は、発色させる樹脂組成物を基材の表面にコーティングすることが必要であり、基材そのものを着色することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】特表2005-508459号公報
【特許文献2】特開2004-285141号公報
【特許文献3】特開2010-059295号公報
【特許文献4】特表2007-532707号公報
【非特許文献】
【非特許文献1】Web文献:色の変わる分子 ~クロミック分子~
http://www.chem‑station.com/yukitopics/photochromic.htm
本発明の課題は、着色した光透過性プラスチック部材および光透過性プラスチック部材の着色方法において、短波長の光が吸収でき、簡単な処理工程管理で所定の色に斑なく均一に着色し、更には、着色処理にまつわる廃水処理、エネルギー消費等の問題点を無くすことにある。
本発明の第1の手段は、光透過性プラスチック部材において、電離性放射線の照射で着色することにより短波長の光を吸収できたことを特徴とするものである。
本発明の第2の手段は前記第1の手段において、前記短波長の光が波長480nm以下の光であることを特徴とするものである。
本発明の第3の手段は前記第1の手段において、前記プラスチック部材が、(チオ)ウレタン系樹脂の原料モノマーをベースとした樹脂組成物、アリル系のモノマーをベースとした樹脂組成物の少なくとも一つにより構成されていることを特徴とするものである。
本発明の第4の手段は前記第3の手段において、前記(チオ)ウレタン系樹脂の原料モノマーが、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物の組み合わせから構成されていることを特徴とするものである。
本発明の第5の手段は前記第1の手段において、前記電離性放射線が電子線あるいはガンマ線であることを特徴とするものである。
本発明の第6の手段は前記第1の手段において、前記光透過性プラスチック部材が例えばレンズなどの光学部材であることを特徴とするものである。
本発明の第7の手段は、光透過性プラスチック部材の着色方法において、その光透過性プラスチック部材に対して電離性放射線を照射することにより、短波長の光を吸収できる着色した光透過性プラスチック部材を得ることを特徴とするものである。
本発明の第8の手段は前記第7の手段において、前記短波長の光が波長480nm以下の光であることを特徴とするものである。
本発明の第9の手段は前記第7の手段において、前記プラスチック部材が、(チオ)ウレタン系樹脂の原料モノマーをベースとした樹脂組成物、アリル系のモノマーをベースとした樹脂組成物の少なくとも一つにより構成されていることを特徴とするものである。
本発明の第10の手段は前記第9の手段において、前記(チオ)ウレタン系樹脂の原料モノマーが、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物の組み合わせから構成されていることを特徴とするものである。
本発明の第11の手段は前記第7の手段において、前記電離性放射線が電子線あるいはガンマ線であることを特徴とするものである。
本発明の第12の手段は前記第7の手段において、前記電離性放射線の照射線量は、着色する色に合せて10kGy~300kGyの範囲から選択することを特徴とするものである。
本発明の第13の手段は前記第7の手段において、前記光透過性プラスチック部材が例えばレンズなどの光学部材であることを特徴とするものである。
本発明の第14の手段は前記第13の手段において、前記光学部材がレンズとメガネフレームを一体とした眼鏡の状態であって、その眼鏡の状態で前記レンズに前記電離性放射線の照射を行うことを特徴とするものである。
本発明の第15の手段は前記第14の手段において、前記メガネフレームが耐放射線性材料で構成されていることを特徴とするものである。
本発明の第16の手段は前記第7の手段において、前記光透過性プラスチック部材の表面に少なくともハードコートまたはハードマルチコート処理を施した後に、その光透過性プラスチック部材に対して前記電離性放射線の照射を行うことを特徴とするものである。
本発明は、電離性放射線の照射により、エネルギー量の大きい短波長の光を吸収し、その他の波長の光を透過する性質を有するようになることから、特別に遮光処理を施す必要はない。この遮光効果は、照射放射線線量が大きいほど顕著となる。また、眩しさの原因となる短波長の光を吸収することから、その他の波長の光の強弱が判別し易くなり、光透過性プラスチック部材の光のコントラストを高めることができる。
また、簡単な処理工程管理で所定の色に斑なく均一に着色し、更には、着色処理にまつわる廃水処理、エネルギー消費等の問題点が解消できる。
特許情報詳細や資料のダウンロード等については無料会員登録後に閲覧していただけます。
本研究に関するご質問や、話を聞いてみたいなどご興味をお持ちになりましたら、是非お気軽に以下のフォームにお問い合わせください。