プリンタブルエレクトロニクス;印刷で作る電子部品

2022.08.17 By 信州大学

機械工学

技術概要

有機半導体(有機EL、有機太陽電池など)を研究しています。印刷・塗布により半導体デバイスを作ります。製造技術からデバイスの構造、さらにカーボンナノファイバーとの複合による性能向上などの研究を行っています。

用途・応用

電子部品

背景

 基板表面にナノメーターからマイクロメーターオーダーの凹凸パターンを形成する代表的な方法としては、比較的スケールの大きな凹凸の形成には各種の印刷法が、比較的スケールの小さな凹凸の形成にはフォトリソグラフィや電子線を用いたパターニング方法が知られている。

 一方、上述したスケールの凹凸パターンの形成、特にナノメーターオーダーの凹凸パターンの形成をより簡便且つ低コストに実現できる次世代の微細加工技術として、近年、ナノインプリント技術が検討されている(例えば、非特許文献1、2等参照)。この技術は、主にナノスケールの凹凸パターンを形成したスタンパを樹脂薄膜が塗付された基板に押し当てて、樹脂薄膜に凹凸パターンを転写する成形加工技術である。ナノインプリント技術としては、大別すると、スタンパにより樹脂薄膜をプレスした際に加熱を行う熱ナノインプリント方式と、樹脂薄膜として光硬化性樹脂を用い、スタンパにより樹脂薄膜をプレスした状態で紫外線などの光を照射する光ナノインプリント方式とが挙げられる。

【先行技術文献】
【非特許文献】
【非特許文献1】S.Y.Chou,P.R.Krauss,P.J.Penstrom:Appl.Phys.Lett.,67,3114(1995)
【非特許文献2】L.J.Guo:Adv.Mater.,19,495(2007)

課題

 しかし、ナノインプリント技術を用いて凹凸パターンを形成した場合、基板表面に形成された互いに隣接する2つの凸部間に薄い膜が残ってしまう。このような薄い膜(残膜)が凸部間に存在すると、例えば、導電性を有する樹脂薄膜にスタンパを押し当てて凹凸パターンを形成した場合に、基板表面の互いに隣接する凸部間の電気的導通をもたらしてしまう。

 本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、薄膜にスタンパを押し当てて凹凸パターンを形成した場合に、基板表面の互いに隣接する凸部間に実質的に残膜が存在しない凹凸パターン形成方法を提供することを課題とする。

手段

 上記課題は以下の本発明により達成される。
 すなわち、本実施形態の凹凸パターン形成方法は、基板表面に形成され、 ポ リ イ ミ ド 樹脂 の 前 駆 体 お よ び 表 面 が カ ル ボ キ シ ル 基 で 修 飾 さ れ た カ ー ボ ン ナ ノ チ ュ ー ブ を主成分として含む薄膜に、支持体表面に弾性材料から構成される凹凸型が設けられたスタンパを押し当てた状態で、加熱および光照射から選択される少なくとも一方の外部刺激を付与することにより、前記基板表面に凹凸パターンを形成する凹凸パターン形成工程を少なくとも含み 、 下 式(1)を満た し 、 且 つ 、 前 記 凹 凸 パ タ ー ン の 凸 部 が 、 ポ リ イ ミ ド 樹 脂 お よ び 表 面が カ ル ボ キ シ ル 基 で 修 飾 さ れ た カ ー ボ ン ナ ノ チ ュ ー ブ を 主 成 分 と し て 含 む ことを特徴とする 。

・式(1) H(薄膜)<H(凹凸型)<H(凸部)〔式(1)中、H(薄膜)は、上記凹凸パターン形成工程実施前の上記薄膜の硬度、H(凹凸型)は上記凹凸型の硬度、H(凸部)は、上記凹凸パターン形成工程実施後の上記凹凸パターンを構成する凸部の硬度を表す。〕

 本実施形態の凹凸パターン形成方法の 一 実施態様は、前記凹凸型を構成する弾性材料が、ポリジメチルシロキサンであることが好ましい。

 本実施形態の凹凸パターン形成方法の他の実施態様は、前記凹凸パターンが、配線、電気回路、および、電子素子から選択される少なくともいずれかとして利用されることが好ましい。

効果

 本発明によれば、薄膜にスタンパを押し当てて凹凸パターンを形成した場合に、基板表面の隣接する凸部間に実質的に残膜が存在しない凹凸パターン形成方法を提供することができる。

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特許情報

特許5327743
特許5361011
特許5283177
ほか

JPB 005327743-000000