カメラを用いた連続体の多項式空間上のモデリングと制御及びこれを用いたスロッシング制御装置

2022.08.16 By 信州大学

機械工学

技術概要

従来は必要であった設計図や物理モデルを全く用いず、カメラを用いた実験データのみから、非一様梁・混相流界面など様々な連続体の全体形状の時間応答を再現できるモデルを構築して、シミュレーション・動吸振器設計・状態推定・振動制御を実施可能にする。

用途・応用

スロッシング

背景

 鋳造に用いる溶湯、タンクに収容されている油、水といった流体の揺動を防止する方法(スロッシング防止)として、制振装置を設けたり、油や水の表面を監視して制御したりする方法が考えられている。制振装置は容器自体の振動を抑えることにより容器に収容されている油や水等の揺動を防止しようとするものであるが、溶湯を搬送する場合のように容器そのものを動かして使用する場合は、容器の動きを制御することにより、油や水の揺動をできるだけ抑えて搬送することが可能である。このような制御は、いわば、移動体の動きを積極的に利用して油や水の揺動を抑えるものである。

 刻々変動する移動体の動作を制御するには、移動体の動作状態、すなわち移動体が現在どんな状態にあるかを検知し、移動体を目標とする動作状態に徐々に導いていく(安定化させる)ように制御する。たとえば、スロッシング防止方法には、容器に収容されている流体の重心の位置に着目し、容器内の流体の揺動とともに変動する重心を流体の静止状態における重心の位置に収束させるように制御する方法がある(特許文献1等)。このような制御方法は、移動体の動作状態を特定の特徴量(この例では重心位置)を抽出し、特徴量を特定の目標値に安定化させるという制御方法である。

 制御対象物である移動体の動作状態を検知する方法には、さまざまなセンシング方法がある。カメラで移動体を監視し、得られた移動体の画像情報から移動体の状態を検知する方法もその一つである。移動体を監視(視認)するかわりに、移動体(自動車、ロボット等)に設けたカメラからの画像情報をもとに移動体の動作状態(移動位置等)を検知することも可能である。これらの画像情報をもとに移動体の動作状態を解析して移動体を制御する従来手法は、画像情報から上述した重心位置のような特徴量を検出し、その特徴量に基づいて移動体を制御する方法である。

【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】特開平9-10924号公報
【特許文献2】特開2004-264925号公報
【特許文献3】特開平6-89103号公報

課題

 上述した移動体の動作状態を示す画像情報から特徴量を抽出して、その特徴量に基づいて移動体を制御する方法は、画像情報から得られる対象によって人為的に特徴量を定義する必要があり、画像情報に基づいて移動体を制御する方法として汎用的に適用することができないという問題があった。すなわち、特徴量を定義しやすい画像情報には適用できても、特徴量の定義が困難な画像情報には適用しにくいという問題、特徴量の定義が的確になされず効果的な制御ができないという問題があった。

 本発明は、移動体の状態を反映するデータとして得られる画像情報をもとに、特徴量を抽出するという手法を用いずに、移動体を的確に制御することを可能にする移動体の動作制御装置及びこの適用例としてスロッシング制御装置を提供することを目的とする。

手段

本発明に係る移動体の動作制御装置は、制御対象物である移動体と、移動体を駆動する駆動部と、前記移動体の動きにともなって変動する検知対象を視認する視認部と、前記視認部による前 記 検 知 対 象 の 画像情報に基づき、前記駆動部を介して 前 記 検 知 対 象 が 特 定 の目 標 状 態 に 整 定 さ れ る よ う に 前記移動体の動きを制御する制御部とを備え、 前 記 制 御 部 は、 サ ン プ リ ン グ 周 期 に し た が っ て 前 記 視 認 部 か ら 順 次 入 力 さ れ る 個 々 の 画 像 情 報 を 、 輝 度値 を 要 素 と す る 行 と 列 の 画 素 か ら な る 行 列 に 変 換 し 、 あ ら か じ め 規 定 し た 行 列 空 間 の 正 規直 交 基 底 と 前 記 行 列 と の 内 積 を 演 算 し て 、 個 々 の 画 像 情 報 の 行 列 の 前 記 正 規 直 交 基 底 の 各基 底 に 対 応 す る 成 分 を 求 め 、 安 定 化 制 御 方 法 に よ り 、 前 記 個 々 の 画 像 情 報 の 行 列 の 前 記 正規 直 交 基 底 の 各 基 底 に 対 応 す る 成 分 と 、 前 記 検 知 対 象 の 目 標 状 態 に お け る 目 標 画 像 の 行 列の 前 記 正 規 直 交 基 底 の 各 基 底 に 対 応 す る 成 分 と が 一 致 す る よ う に 、 前 記 移 動 体 を 制 御 す ることを特徴とする。
ヒ ルベルト空間には、数ベクトル空間、多項式空間、実行列空間等の種々の空間が定義される。数ベクトル空間による制御方法は、いわゆる特徴量を抽出して制御する方法に相当する。本発明は、画像情報を 、 行 列 空 間 の 1点と解釈して制御する方法であり、画像情報から特徴量を抽出することなく制御する方法である。
安 定 化 制 御 方 法 と は 、 移 動 体 を 所 望 の 状 態 に 整 定 さ せ る た め の 制 御 手 法 で あ り 、 LQG制御 方 法 、 H∞ 制 御 方 法 な ど が 利 用 で き る 。

効果

 本発明に係る移動体の移動制御装置は、画像情報を 行 と 列 の 画 素 か ら な る 行 列 と し て 捉え て 、 移動体を制御するから、画像情報から特徴量を抽出するという操作を経ずに制御することができ、さまざまな画像情報が取り込まれた場合でも汎用的に解析して移動体を制御することができ る 。

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特許情報

特許5988143

JPB 005988143-000000