高精度なナノスケール細孔を有する有機無機複合ナノシート

2022.11.07 By 大阪府立大学 大学院 工学研究科 准教授 牧浦 理恵

材料工学

技術の概要

私たちの研究室では、物質をナノメートルスケールにすることで発現する特異な性質に着目しています。同じ物質でも単にナノメートルサイズまで小さくするだけで、従来の大きなスケール(バルク)では見られなかった性質が現れることがあります。 また、複数の異なるナノ材料を組み合わせることで(ヘテロナノ構造)、さらに多様な機能の創出が期待できます。

ナノ構造を構築するための基本の構成要素として有機分子や無機物のナノ粒子やナノシートを準備し、 これらを積み木細工のように組み上げていくことで新しい材料を創製します。特に、水素や二酸化炭素を効率良く分離する膜、太陽光や熱などを用いた再生可能エネルギー作るための材料や、2次電池などエネルギー安全に貯蓄するための材料の研究に注力しています。

キーワード

・有機-無機複合材料

・ナノ材料 (ナノシート,ナノ粒子)

・エネルギー材料

・液相合成

・配位高分子(MOF)

・ナノサイズ効果

・薄膜電子デバイス

・界面/表面科学

適用分野

・ガス分離膜

・水処理膜

・太陽電池

・2次電池

・センサーデバイス

・サーモクロミック

論文・特許

  1. R. Makiura*, K. Tsuchiyama, E. Pohl, K. Prassides, O. Sakata, H. Tajiri, O. Konovalov, ACS Nano, 11, 10875-10882 (2017).
  2. Y. Kishimoto, R. Makiura*, A. Hayashi, K. Tadanaga, M. Tatsumisago, et al, Dalton Transactions, 44, 15279-15287 (2015).
  3. R. Makiura*, R. Usui, Y. Sakai, A. Nomoto, A. Ogawa, O. Sakata, A. Fujiwara, ChemPlusChem, 79, 1352-1360 (2014).
  4. R. Makiura*, O. Konovalov, Scientific Reports, 3, 2506 (2013).
  5. R. Makiura*, S. Motoyama, Y. Umemura, H. Yamanaka, O. Sakata, H. Kitagawa*, Nature Materials, 9, 565-571 (2010).
  6. R. Makiura*, T. Yonemura, T. Yamada, M. Yamauchi, R. Ikeda, H. Kitagawa*, K. Kato, M. Takata, Nature Materials, 8, 476-480 (2009).

[登録特許] “3次元構造体およびその製造方法”,日本特許5774756, 平成26年4月25日登録 他欧州、中国、米国にて登録

 

研究者からの一言

学生時代は錯体化学の研究室で、錯体の電気伝導性や磁性に関する基礎研究を行ってきました。その後、企業の研究所にて5年間、有機ELなどの薄膜電子デバイスの研究に携わってきました。アカデミックに戻ってきてから自身の研究室を立ち上げることになり、エネルギー問題に貢献する新しい複合ナノ材料の開発に取り組んでいます。プライベートでは、2児の母であり、女性や外国人の活躍に向けたダイバーシティ活動にも興味があります。お気軽にお声をお掛け下さい。

研究の内容

Project#1 ナノヘテロジャンクション有機太陽電池の創製

有機材料からなる太陽電池は軽量で曲げられるなどの特徴があり実用化が期待されていますが、効率の向上が課題です。電子受容性分子と電子供与性分子が交互に規則正しく並んだ相互介入型ヘテロジャンクション構造は有機太陽電池の理想構造のひとつです。有機分子が自己集合して配列する性質(自己組織化)を利用して、ヘテロジャンクション構造をナノスケールで構築します。

 

Project#2 有機無機複合ナノシートの創製

ナノメートルスケールの厚みを有する2次元物質(ナノシート)は、究極に薄い薄膜エレクトロニクスへの応用利用が期待されます。有機-無機複合材料のひとつである金属錯体は、金属が持つ電子状態の多様性と有機化合物のすぐれた設計性が相乗的に組み合わされることにより、新規な物性・機能創出が実現可能です。この金属錯体を基盤材料として電気的性質の異なるナノシート(金属、半導体)や、分離・透過膜として利用可能な多孔性ナノシートを創製します。

 

Project#3 電子状態が段階的・可逆的に制御可能なナノシートの創製

高い電気伝導性を有するグラフェンはナノシートの代表として盛んに研究されています。その電子状態を変化させるために部分的酸化や表面への分子吸着が試みられていますが、処理を施す位置の選択性が低いことが課題です。電荷の移動パスと規則細孔を有するナノシートを作製することができれば、その細孔中にゲスト分子を導入し、ナノシートの電子状態を制御することが可能です。このようなナノシートをボトムアップ手法により作製します。

 

Project#4 分子性フレーム材料を用いた2次電池の界面制御イオン伝導体の創製

我々の生活に欠かせない2次電池(充電池)は、正極、電解質、負極から構成されています。これら構成要素の接触状態を良好にすることが電池特性及び安定性の向上につながります。現在実用化が進んでいるリチウム2次電池の材料としては、主に正極には金属酸化物、電解質には電解液を含浸させた有機ポリマー、 負極にはカーボン材料が使用されています。一方で、電解質として液体が含まれるために電池パックの変形や液漏れといった問題が生じています。電解質を固体に全固体の電池とすることで、安定性、安全性が飛躍的に向上し、成形や加工も容易になるために製造面でもメリットがあります。しかしながら、固体で高いイオン伝導性を有する材料が少ないこと、そして固体と固体では界面接触面積が小さくなることが全固体電池の実現において大きな課題となっています。     本研究テーマにおいては材料のナノスケール化により高いイオン伝導性を有する固体を創製、 及び分子性の多孔質ナノ材料により正極活物質及び電解質の良好な界面を構築を目指します。

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