デュアルエレクトレットセンサ、硬度測定方法及びデュアルエレクトレットセンサの製造方法

2022.08.03 By 埼玉大学

材料工学

技術概要

 軟質材料の硬さによる音響の伝導率の変化を効率捉えることができ、被測定試料を損傷させることのないデュアルエレクトレットセンサを提供する。

用途・応用

エレクトレットの使用によって特徴づけられたもの

背景

 農作物の熟度を硬さの変化から判定する場合、或いは、ゴム,エラストマー、生体のような軟質材料の硬さの測定は、デュロメータに代表されるような圧子81の押し込み試験により測定されている。図27に示すように、バネ82と圧子81を用いて被測定試料2x に 圧 子 8 1 を 押 し 込 み 、 そ の と き の 一 定 時 間 経 過 後 ま で の 最 大 反 発 力 η 2か ら 硬 さ を 測定する。この測定法には(イ)圧子81で押しこむため押付時の圧力が高く被測定試料2xを損傷させる恐れがある。(ロ)1秒間程度加圧を続ける必要があり、測定時間が長い。(ハ)計測器の小型化が困難というような問題がある。

 又、デュロメータを応用した硬さ測定器として筋硬度計がある。これは原理はデュロメータと同じで筋肉の硬さを測定することで疲労や疾患を診断する目的に使用されている。一方、筋硬度は個人差が大きいため、診断に使用するためには同一被験者に対して繰り返し測定を行い、筋硬度の変動を調べることが有効である。しかし、デュロメータのような測定器は簡単に装着できるものではないため長期間の自動測定は不可能である。

 一方、植物の水ポテンシャル測定は灌水管理において有用な指標であり、水ポテンシャル測定を非破壊的かつ自動で行えるようになれば,灌水管理の指標として非常に有用である。水ポテンシャルの測定方法としてプレッシャーチャンバー法が広く用いられている。プレッシャーチャンバー法は葉を葉柄部で切断し、チャンバーにより葉を加圧する。そして、葉柄の切断面から水がにじみ出るときの加圧力から水ポテンシャルを測定する。この測定法には(イ)葉を切断するため,測定回数が限られる。(ロ)加圧が必要なため,測定時間が長い。(ハ)ボンベが必要など計測器の小型化が困難。(ニ)現在の水ポテンシャル測定法では長期間自動測定を行うことは不可能である、というような問題がある。

【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】WO2009/125773号パンフレット
【特許文献2】特開2007-298297号公報
【特許文献3】WO2013/157505号パンフレット
【非特許文献】
【 非 特 許 文 献 1 】 ゾ ン フ ー = シ ア (Zhongfu Xia)他 4 名 、 『 多 孔 質 ポ リ テ ト ラ フ ル オ ロ エチ レ ン 膜 の エ レ ク ト レ ッ ト の 電 荷 と 圧 電 気 の 安 定 性 に 対 す る 多 孔 性 の 影 響 (Influence ofporosity on the stability of charge and piezoelectricity for porous polytetrafluoroethylene film electrets)』 、 ジ ャ ー ナ ル ・ オ ブ ・ エ レ ク ト ロ ス タ チ ッ ク ス ( Journalof Electrostatics) 、 第 5 9 巻 、 2 0 0 3 年 、 p 5 7 - 5 9

課題

 上記問題を鑑み、本発明はデュロメータ硬さ(タイプA)100以下の軟質材料の硬さによる音響の伝達率の変化を効率よく捉えることができ、被測定試料を損傷させる恐れがないデュアルエレクトレットセンサ、このデュアルエレクトレットセンサを用いた硬度測定方法及びデュアルエレクトレットセンサの製造方法を提供することを目的とする。

手段

 上 記 目 的 を 達 成 す る た め に 、 本 発 明 の 態 様 は 、 (a)無 負 荷 時 に お い て 平 坦 な 振 動 面 を 有する第1振動電極、第1振動電極に対向して配置された第1背面電極、第1振動電極と第1背面電極との間に設けられた第1のマイクロギャップを含む誘電体領域とで第1のエレク ト レ ッ ト 構 造 体 を 構 成 し た 第 1 の フ ィ ル ム 状 エ レ ク ト レ ッ ト セ ン サ と 、 (b)無 負 荷 時 において平坦な振動面を有する第2振動電極、第2振動電極に対向して配置された第2背面電極、第2振動電極と第2背面電極との間に設けられた第2のマイクロギャップを含む誘電体領域とで第2のエレクトレット構造体を構成した第2のフィルム状エレクトレットセン サ と 、 (c)第 1 の フ ィ ル ム 状 エ レ ク ト レ ッ ト セ ン サ と 第 2 の フ ィ ル ム 状 エ レ ク ト レ ッ トセンサとの間に挿入され、第1のフィルム状エレクトレットセンサと第2のフィルム状エレクトレットセンサとを互いに接合する層間接着層とを備えるデュアルエレクトレットセンサであることを要旨とする。本発明の態様に係るデュアルエレクトレットセンサにおいて、第1及び第2のフィルム状エレクトレットセンサのそれぞれの全体の音響インピーダンスが、被測定試料の音響インピーダンスよりも小さくなるように、第1及び第2のマイクロギャップが調整されている。

 本 発 明 の 他 の 態 様 は 、 (a)無 負 荷 時 に お い て 平 坦 な 振 動 面 を 有 す る 第 1 振 動 電 極 、 第 1振動電極に対向して配置された第1背面電極、第1振動電極と第1背面電極との間に設けられた第1のマイクロギャップを含む誘電体領域とで第1のエレクトレット構造体を構成した第1のフィルム状エレクトレットセンサと、無負荷時において平坦な振動面を有する第2振動電極、第2振動電極に対向して配置された第2背面電極、第2振動電極と第2背面電極との間に設けられた第2のマイクロギャップを含む誘電体領域とで第2のエレクトレット構造体を構成した第2のフィルム状エレクトレットセンサと、第1のフィルム状エレクトレットセンサと第2のフィルム状エレクトレットセンサとの間に挿入され、第1のフィルム状エレクトレットセンサと第2のフィルム状エレクトレットセンサとを互いに接合する層間接着層とを備えるデュアルエレクトレットセンサを被測定試料に密着させるステ ッ プ と 、 (b)第 1 及 び 第 2 の フ ィ ル ム 状 エ レ ク ト レ ッ ト セ ン サ の い ず れ か 一 方 を 送 信 用素 子 と し 、 こ の 送 信 用 素 子 か ら 被 測 定 試 料 に 対 し 、 機 械 的 振 動 を 出 射 す る ス テ ッ プ と 、 (c)第 1 及 び 第 2 の フ ィ ル ム 状 エ レ ク ト レ ッ ト セ ン サ の い ず れ か 他 方 を 受 信 用 素 子 と し 、 この 受 信 用 素 子 が 被 測 定 試 料 か ら 機 械 的 振 動 を 受 信 す る ス テ ッ プ と 、 (d)送 信 波 形 及 び 受 信波形のそれぞれのピーク強度と重心周波数を用いて被測定試料の硬さを測定するステップとを含む硬度測定方法であることを要旨とする。本発明の他の態様に係る硬度測定方法においては、第1及び第2のフィルム状エレクトレットセンサのそれぞれの全体の音響インピーダンスが、被測定試料の音響インピーダンスよりも小さくなるように、第1及び第2のマイクロギャップが調整されている。

 本 発 明 の 更 に 他 の 態 様 は 、 (a)無 負 荷 時 に お い て 平 坦 な 振 動 面 を 有 す る 第 1 振 動 電 極 、第1振動電極に対向して配置された第1背面電極、第1振動電極と第1背面電極との間に設けられた第1のマイクロギャップを含む誘電体領域とで第1のエレクトレット構造体を構 成 し た 第 1 の フ ィ ル ム 状 エ レ ク ト レ ッ ト セ ン サ を 構 成 す る 工 程 と 、 (b)無 負 荷 時 に お いて平坦な振動面を有する第2振動電極、第2振動電極に対向して配置された第2背面電極、第2振動電極と第2背面電極との間に設けられた第2のマイクロギャップを含む誘電体領域とで第2のエレクトレット構造体を構成した第2のフィルム状エレクトレットセンサを 構 成 す る 工 程 と 、 (c)第 1 の フ ィ ル ム 状 エ レ ク ト レ ッ ト セ ン サ と 第 2 の フ ィ ル ム 状 エ レクトレットセンサとの間に層間接着層を挿入して、第1のフィルム状エレクトレットセンサと第2のフィルム状エレクトレットセンサとを互いに接合する工程とを含むデュアルエレクトレットセンサの製造方法であることを要旨とする。本発明の更に他の態様に係るデュアルエレクトレットセンサの製造方法においては、第1及び第2のフィルム状エレクトレットセンサのそれぞれの全体の音響インピーダンスが、被測定試料の音響インピーダンスよりも小さくなるように、第1及び第2のマイクロギャップを調整する。

効果

 本発明によれば、デュロメータ硬さ100以下の軟質材料の硬さによる音響の伝達率の変化を効率よく捉えることができ、被測定試料を損傷させる恐れがないデュアルエレクトレットセンサ、このデュアルエレクトレットセンサを用いた硬度測定方法及びデュアルエレクトレットセンサの製造方法を提供できる。

問い合わせ・詳細資料閲覧

特許情報詳細や資料のダウンロード等については無料会員登録後に閲覧していただけます。

本研究に関するご質問や、話を聞いてみたいなどご興味をお持ちになりましたら、是非お気軽に以下のフォームにお問い合わせください。

MktoForms2.loadForm(“//mk.as-1.co.jp”, “118-QIN-675”, 1351);

特許情報

特許第6422300

JPB 006422300-000000