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管理栄養士の栄 養太郎です
気づけば9月に入り、1年も残り3ヶ月とちょっととなりました。
1月に立てた目標の達成具合はどうでしょうか?私は、目標を立て忘れたため、何も達成できていない状況です。
さて、8月末から少々話題の「サルモネラ属菌」による食中毒。
「サルモネラ」という言葉は、食中毒の種類としては聞くことがありますが、どのような感染経路があるのか、どのような症状があるのか、予防の方法はあるのか、について理解を深めてもらいたく、コラムを書いてみたいと思います。
CONTENTS
サルモネラは、腸内細菌科に属するグラム陰性桿菌です。通性嫌気性で、鞭毛による運動性を持ちます(写真を参考)。ウシ、ブタ、ニワトリなどの家畜・家禽の腸管に常在するほか、カメやヘビといった爬虫類、河川や下水などの環境にも広く分布しています。

少し詳しく書くと、サルモネラには Salmonella enterica と Salmonella bongori の2菌種があり、ヒトの感染症を起こすサルモネラの多くは Salmonella entericaに属していて、その中でも亜種entericaに属するものが中心とされています。
サルモネラ属菌による感染症には、腸チフス・パラチフスのような「チフス性」と、食中毒の原因となる「非チフス性」があります。日常の中で食中毒として問題になるのは非チフス性のほうで、単に「サルモネラ」と書かれている場合はこちらを指すことが多いです。
なお、食品衛生法などでは「サルモネラ属菌」と表記し、「サルモネラ菌」は正式な呼び方ではありません。
厚生労働省の食中毒統計調査によると、令和7年(2025年)の食中毒は全体で1,172件・24,727人でした。このうちサルモネラ属菌によるものは25件・662人で、事件数では全体の約2%にとどまります。
一方、1件あたりの患者数を計算すると約26人となり、食中毒全体の平均(約21人)を上回ります。サルモネラ食中毒は、1事件あたりの患者数が比較的多く、大規模な集団発生につながることがあります。
長期的にみると発生は減っているようです。1990年代半ばには年間1万人を超える患者が発生していましたが、その後は減少傾向となっています(食品衛生法施行規則の改正によって鶏卵の取り扱い基準が設けられたことなどが要因と考えられている)。
ただし、減ったから心配がなくなったわけではありません。過去10年間(平成28年~令和7年)では、サルモネラ属菌による食中毒患者6,754人、死者2人が報告されています。記憶に新しいところだと、令和5年(2023年)には、和歌山県で仕出し弁当を原因とする患者117名・死者1名の事例が発生しています。
<最近の発生状況>

潜伏期間はおおむね1日前後です。情報源によって異なる場合がありますが、おおむね8~48時間と考えておけば良さそうです(国立健康危機管理研究機構では1~3日と記載)。
主な症状は下痢、腹痛、発熱、悪心・嘔吐です。国内の臨床報告では、下痢はほぼ全例、腹痛は約78%、発熱は60%程度、嘔吐は約26%、血便は7.6~22%とされています。発熱がある場合は38℃以上の高熱になることが多いとされています。
症状は数日で改善することが多いですが、1週間以上続くこともあります。
まれですが、菌血症(2~4%)がみられ、腹腔内膿瘍、心内膜炎、骨髄炎、関節炎といった腸管外の病変を起こすことがあります。また、症状が治まった後も便への排菌が続き、無症候性の保菌者となる場合があるので、症状がなくなってからも家族やトイレを共有する人が周りにいる場合には注意が必要です。

小児、高齢者、基礎疾患のある方(糖尿病、悪性腫瘍、HIV感染など)、免疫抑制薬を使用中の方では、重症化しやすいことが知られています。乳児、特に生後3か月未満では、菌血症や髄膜炎、骨髄炎といった侵襲性の感染を起こしやすいとされています。
治療は、輸液や電解質の補正といった対症療法が基本です。抗菌薬は、排菌期間を延ばすことがあるため、症状の軽い成人には原則として使われません。
使用するかどうかは、年齢や基礎疾患をふまえた医師の判断になります。
下痢や発熱が続くとき、高齢者や小さなお子さんの体調が心配なときは、自己判断せずに必ず医療機関へ相談してください。
第一は加熱です。食肉と卵は中心部まで十分に火を通し、目安として75℃以上で1分以上加熱します。「新鮮だから生でも大丈夫」とは言えません。食肉では、と畜場での解体処理の過程で菌が付着することがあり、鮮度と細菌汚染の有無は別の問題です。
卵では、割り置きをしないことが重要です。前日に卵を割って液卵を作り置きし、加熱が不十分なまま提供したことが原因と推定された食中毒事例が報告されています。また、細菌は種類によって異なりますが、一般に10~60℃程度では増殖しやすいものが多いため、調理中の食品を室温などに長時間放置しないようにします。低温保存は増殖を抑えますが、菌を死滅させるわけではありません。
二次汚染の防止も欠かせません。生の肉や卵を扱った手指、まな板、包丁、容器は、洗浄してから他の食品に使います。犬や猫、カメなどの動物もサルモネラを保菌していることがあり、特に爬虫類や両生類との接触後には手洗いが重要です。食品そのものではなく、氷や冷却容器の管理不良が感染源と推定された集団発生も報告されています。
夏祭りが終わり、これから秋祭りや食に関するイベントが増える時期です。
露店などで食品を販売するには、保健所への営業許可の申請や届出が必要になる場合があります。また、保健所による指導も行われています。ただし、実際の食品の取り扱いや衛生管理の状況には、店舗によって差があります。
消費者側でも、購入前の確認が大切です。調理する場所の状況、食品の扱い方、食品の状態などです。少しでも衛生面に不安を感じたら、購入を控える。これも食中毒予防につながります。
サルモネラに汚染されていても、食品の見た目やにおい、味でわか
また、サルモネラ食中毒は、発生件数こそ多くありませんが、集団
家庭以外でも食中毒のリスクはあります。外食や中食を利用する際には、食品の取り扱いや衛生管理の状況にも目を向け、消費者自身もできる範囲で食中毒を予防していきましょう。
参考資料
厚生労働省:食中毒統計資料
政府統計の総合窓口(e-Stat):令和7年食中毒統計調査 第2表 食中毒事件・患者・死者数、病因物質・都道府県-保健所設置市及び特別区(再掲)別
食品安全委員会:第1028回食品安全委員会 資料1-2 令和7年食中毒発生状況の概要
食品安全委員会:サルモネラ属菌による食中毒について
国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト:サルモネラ感染症
厚生労働省:お肉はよく焼いて食べよう
参考文献