入浴剤で自由研究 飛ばせ!入浴剤ロケット

2023.08.21

お風呂に入る時、いつもと違う気分を味わいたい! という時や、疲れが溜まっているなと感じた時に使用するものがありますよね。そうです。入浴剤です。お家のお風呂に入れるだけで、まるで温泉に行ったような気分になれる優れもの。入浴剤を入れると、たちまち色が変わり、良い香りがしてきて、何やらぶくぶく泡がでてきます。

そういえば、この泡の正体とは一体何なのでしょうか?

 

今回は、入浴剤の泡の正体をつきとめて、それを利用した入浴剤ロケットを作りたいと思います!

 

 

入浴剤の泡の正体を突き止める

さて、どうして入浴剤をお湯に入れると泡が発生するのでしょうか。まずは発生する泡の正体を確かめてみましょう。

準備するもの

  • 入浴剤のかけら(ハンマーなどで砕いたもの)
  • コップ
  • フリーザーバッグ
  • 石灰水

 

①コップに水を入れ、入浴剤のかけらを入れましょう。入浴剤はハンマーなどで砕いて、小さなかけらにしたものを使用します。入浴剤は非常に固いので、ハンマーで砕く時には十分注意しましょう。また、砕いた入浴剤のかけらは、炭酸ロケットの燃料になるので、ここで全部は使わないでください。



水に入浴剤のかけらを入れただけで、すぐに泡がたくさん出てきてきました。一体、入浴剤からは何が発生しているのでしょうか? この泡の正体を確かめていきます。



②今回、泡の正体を確かめるために使用するのは石灰水です。フリーザーバックに石灰水を予め入れておき、入浴剤と水を入れたコップを傾け、袋の中に発生した気体を注ぎ込みましょう。



発生した気体は目に見えませんので、ちゃんと袋に入っていっているか分からないかもしれませんが、安心してください。気体はちゃんと袋の中に入っていきます。また、この時、石灰水の入れた袋に入浴剤を溶かした水が入らないよう注意しましょう。入浴剤の水が入ってしまうと、色がついてしまい、石灰水の色の変化が見にくくなってしまいます。数秒コップを傾け、気体を注ぎこんだら、袋のチャックを閉めて振ってみましょう。



振るとすぐに石灰水が白く濁りました。つまり、入浴剤から発生した気体は二酸化炭素であることがわかります。石灰水とは、水酸化カルシウムを水に溶かした水溶液です。水酸化カルシウムは二酸化炭素と反応し、炭酸カルシウムが生成するため、白く濁るのです。

 

 

どうして入浴剤から二酸化炭素が発生したの?

入浴剤の成分は主に炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウムやフマル酸、香料に着色料などです。

では、『どうして入浴剤をお風呂に入れると、二酸化炭素が発生するのでしょうか?』

それは、入浴剤をお湯に入れると、主成分である炭酸水素ナトリウムや炭酸ナトリウムがフマル酸と反応し、二酸化炭素が発生するからです。お湯に入れる前のカチカチに固められた状態では、これらが反応することはありませんが、水に溶けることによって、お互いに衝突し、反応するということです。

では、なぜ入浴剤は二酸化炭素が発生するように作られているのでしょうか。これには理由があります。発生した二酸化炭素はお湯に溶け、二酸化炭素は入浴している人の皮膚から体内に吸収されることになります。普段、私たちは酸素を吸って二酸化炭素を吐いているので、なんだか二酸化炭素が体の中に入ってくることは悪いことなのでは? と感じる方がいるかもしれません。しかし、そんなことはありません。

体内に吸収された二酸化炭素は、血管の中の二酸化炭素濃度を高めることになります。すると、体は酸素や栄養が足りてない!もっと酸素や栄養を運ばないと!と勘違いしてしまうのです。血管の二酸化炭素濃度が上昇すれば、血管が広がり、血行が良くなります。つまり、普通にお湯につかるよりも、入浴剤を入れることによって、二酸化炭素を体内に取り込めば、血行が良くなって体がポカポカしてくるということなんですね。

また、他の成分である硫酸マグネシウムや硫酸ナトリウムにもきちんと役割があります。これらは体から熱が放散していくのを防ぐ働きがあります。これは、皮膚の表面のタンパク質に、これらの塩類が結合するためです。入浴剤にはこのようにいろいろな効力があるのです。

 

 

入浴剤ロケットを作ろう!

では、いよいよ入浴剤を燃料にしたロケットを作っていきましょう。入浴剤を水に入れると、二酸化炭素がたくさん発生することを利用し、ロケットを発射させます。自由研究にもピッタリですので、ぜひ皆様も挑戦してみてください。

 

準備するもの

  • フィルムケース
  • メラミンスポンジ(サイズ:3 cm×3 cm×3 cm)
  • デコパネ 紙貼り
  • 両面テープ
  • セロハンテープ
  • ビニールテープ
  • はさみ
  • カッター
  • カッターマット
  • ものさし

※フィルムケースは液漏れ防止としっかりと記載されているモノを購入してください。

 

①フィルムケースの蓋と反対側の方にメラミンスポンジをビニールテープでしっかりと固定します。だいたいビニールテープは二周くらいしておきましょう。



このままでは格好悪いので、メラミンスポンジをはさみでカッコ良く整えましょう。メラミンスポンジの部分がロケットの頭の部分になりますので、写真のように三角にカットしていきます。

 

②次はデコパネをカッターでカットし、翼を2枚作りましょう。(横 3 cm、縦 5 cm)

カッターを使用する場合は危ないので軍手をしましょう。

 

 

③両面テープをフィルムケースに貼り付け、翼を取り付けましょう。この時、蓋に両面テープが被らないように注意します。



反対側も同じように取り付けていきます。



また、両面テープの粘着の部分がうまく隠れるように、セロハンテープでさらにしっかりと翼を固定しておきましょう。

せっかくなのでサインや絵を描いてみてオリジナルロケットにしてみましょう



これでロケットは完成です!早速ロケットを飛ばしてみましょう。

 

 

入浴剤ロケットを飛ばそう!

準備するもの

  • 入浴剤ロケット
  • ビーカー(or計量カップ)
  • 入浴剤のかけら
  • バット

 

①ロケットの蓋を外し、入浴剤のかけらを数個入れましょう。細かい粉を入れてしまうと、蓋を閉めた瞬間に蓋が飛んでしまう可能性があり、危険ですので、小さめのかけらを数個程度にしてください。

 

②ビーカーで水をビニールテープの少し上くらいまで入れます。



水を入れると、すぐにシュワシュワしてきますが、焦らなくて大丈夫ですので、慎重に手順を進めていきましょう。

 

③水を入れたら、カチッというまでしっかりとロケットの蓋を閉めましょう。この時、しっかりと蓋が閉まっていないとロケットは飛びませんので、手でしっかりと抑え込み、蓋を閉めてください。

 

④蓋がしっかりと閉まっていることを確認したら、バットの中心にロケットをセットしましょう。



セットしたら少し離れます。この時、絶対にロケットをのぞき込んだりしないでください。また、少しロケットから水が漏れてしまっていても、中に水が残っていれば飛ぶ可能性はありますので、離れて少しまちましょう。しかし、中の水が全部漏れてしまっていたら、顔を近づけないように大人の方が回収して蓋を開けて、やり直してください。

 

こんな感じで勢い良くロケットが飛びます!入浴剤から二酸化炭素がたくさん出てきて、フィルムケースの蓋がその圧力に耐えきれなくなり、蓋が飛んでしまうことで、ロケットは飛んでいくのです。
入浴剤ロケットがどれだけ飛んだかを計測してまとめたり、入浴剤のかけらの大きさを大きいものにしてみたり、水の量を変えてみたり、いろいろと試してみてください。

 

 

理科の先生へ

入浴剤ロケットは入浴剤のかけらの大きさや、フィルムケースの個体差などで、がなかなか飛ばない場合があります。その時にのぞき込んでしまう子供もいるので、のぞき込まないように注意してください。また、何度かやり直しても水が漏れてしまう場合は、別のフィルムケースで作り直した方が良いです。

 

【著者紹介】くもM

サイエンスコミュニケータ―。「身近な科学・学びを遊びに」をテーマに、サイエンスショーや実験教室、講演など科学を通じて学びを楽しくしていく活動を続けている。YoutubeやTikTokなど実験動画配信も人気。

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