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物理基礎の授業で勉強する「仕事」。
仕事というと、スーツ着て会社に出勤して……といった光景を思い浮かべるかもしれませんが、物理でいう「仕事」は私たちが日常生活でいう仕事とは異なります。
この記事では、物理用語の「仕事」・「仕事率」の意味や公式、求め方を解説します!
苦手とする人が多い範囲ですが、ゆっくり丁寧に理解していきましょう。
CONTENTS
まずは物理の「仕事」という用語の定義を確認していきましょう。
物理でいう「仕事」は、「物体に力を加え、物体をその力の向きに動かすこと」を意味します。
たとえば、Aさんが床に置いていた教科書を本棚に戻そうと持ち上げたら、Aさんは教科書に上向きの力を加えて、教科書は上に動きますよね。
この場合、「仕事をした」と言えます。
物体を動かすとき、加える力が大きかったり、動かす距離が長かったりするほど、仕事量は大きくなります。
先ほどのAさんが教科書を持ち上げて本棚に戻そうとする例で説明するなら、教科書ではなく重たい辞書だったり、本棚の低い棚ではなく一番高いところに置こうとしたりすると、より大変なのが想像できると思います。
仕事Wは、物体に加えた力の向きと移動方向が一致する場合、物体に加えた力の大きさFと物体の移動距離sの積で表します。
公式は、以下のようになります。
仕事[J]=力[N]×移動距離[m]
仕事W=Fs
このとき、力の単位はN(ニュートン)で、移動距離の単位はm(メートル)です。
そして、仕事の単位はJと書いて「ジュール」と読みます。
ただ、物体に加えた力の向きと移動方向が一致しない場合、もう一工夫必要です。
以下のように、移動方向sに対して、力Fがθの角度ではたらいている場合を考えてみましょう。
こういった場合は、Fにcosθをかけて、移動方向sと同じ向きにはたらいている力Fのみを考えます。
したがって、力と移動方向が一致しない場合の公式は、
仕事W=Fscosθ
となります。
では、先ほどまでの仕事の内容を踏まえて、「仕事率」について学習していきましょう!
仕事率Pは、その名の通り仕事の能率を表します。
1秒あたりにする仕事量と定義されており、単位にはW(ワット)を用います。
仕事を仕事にかかった時間で割ることで求めることができます。
仕事率[W]=仕事[J]÷仕事にかかった時間[s]
仕事率P=W÷t
ここで、仕事Wは力Fと移動距離sの積だったことを思い出してください。
W=Fsを、仕事率Pの公式に当てはめてみましょう!
わかりやすく÷を/と表記してみますね。
P=W/t
P=Fs/t
s/tのところに注目してみてください。
s/tは、移動距離を時間で割る、ということを表していますね。
移動距離を時間で割ると出てくるのは……そう、速度v[m/s]です!
P=Fs/t
P=Fv
まとめると、仕事率Pの公式は、
P=W/t=Fv
となります。
仕事率Pは、仕事Wを時間t[s]で割るか、力F[N]に速度v[m/s]をかけることで求めることができます。
これまでの内容を踏まえて、以下の2つの練習問題にチャレンジしてみましょう!
公式は覚えにくく感じるかもしれませんが、問題を解いて繰り返し使用することによって、少しずつ身についていきます。
公式を用いる際の単位や、公式の意味にも注意しながら、問題演習に挑戦してみてくださいね。
体重60kgの高校一年生のAさんは、先輩に会いに行こうと自分のクラスのある校舎の1階から三年生のクラスのある3階まで階段を上りました。学校の1階から3階までの高さは9mで、3階まで上るのに1分半かかりました。このとき、Aさん自身を持ち上げる仕事率はいくらか求めなさい。ただし、質量100gの物質にはたらく重力を1Nとする。
仕事率を求める問題なので、問題文中に出てきた数字を、仕事率の公式に当てはめると良さそうですね。
仕事率P=W/t
まずは仕事Wがいくらになるか計算しましょう。
仕事W=Fs
FはAさん自身の体重にはたらく重力と同じです。
60kg=60000g
よって、F=600N
移動距離sは9mなので、仕事Wは
W=600[N]×9[m]
=5400[J]
となります。
仕事率を求めるのに必要な仕事にかかった時間tは、1分半ですね。単位は秒なので、1分半を90秒に直して、あとは仕事率の公式に数字を当てはめましょう。
仕事率P=W/t
=5400[J]/90[s]
=60[W]
以上により、Aさん自身を持ち上げる仕事率は60Wです。
なめらかな面に置かれた物体を、進行方向から斜め60°に20Nの力Fで引っ張ると、10m動かすのに20秒かかりました。このとき、力Fの仕事率はいくらですか。
今回も仕事率を求める問題です。
移動距離と移動するのにかかった時間がわかっているので、速さvを用いて求めると良さそうですね。
また、力Fは進行方向に対して斜め60°にはたらいていることに注意しましょう。
仕事率P=Fvcosθ
の公式に数字が当てはめられるように、考えていきます。
速度v[m/s]は、
v=10[m]/20[s]
=0.5[m/s]
となります。
仕事率P=Fvcosθに数字を当てはめると、
P=20[N]×0.5[m/s]×cos60°
=20×0.5×(1/2)
=5[W]
以上により、力Fの仕事率は5Wです。
物理の仕事・仕事率は難しいと感じる人が多いです。
ですが、実はエネルギーの定義が「ある物体が他の物体に仕事をする能力」と表されることが示すように、仕事・仕事率は日常生活に深いかかわりのある分野でもあります。
たとえばドライヤーは、電気エネルギーを熱エネルギーに変換することによって、髪を乾かしてくれます。
仕事・仕事率は難解ですがとても面白くもある分野なので、ぜひ楽しんで学びを深めてくださいね!
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