バイオミメティクスを知りたいときに読む本・5選!

2023.07.19

少しずつ「バイオミメティクス」という言葉の知名度があがってきたと感じる今日この頃。

 

今回は、バイオミメティクスを「知りたい」、「調べてみたい」、「触れてみたい」といった場合に役立つ本を、個人的な評価とともに紹介する。

 

専門書から漫画まで、いろんな媒体でバイオミメティクスは取り上げられている。それだけ生物が持つ技や能力は、人間にとって「面白い!」と感じるものが多いのだろう。今回は、技術や開発などの仕事からは少し離れ、紹介する本を読んで純粋にバイオミメティクスを楽しんでほしい。

王道!『生物の形や能力を利用する学問 バイオミメティクス』

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【専門性】5☆☆☆☆☆
【読みやすさ】3☆☆☆――
【写真・イラストの多さ】3☆☆☆――

推しポイント

まず、個人的にバイオミメティクスのバイブルであるこの本。学問として扱っているので内容自体は少々専門的だが、バイオミメティクス全般をわかりやすい言葉でとても丁寧に紹介している。参考文献など出典も記載されているため、研究や開発など実用的な場面でも役立つ。

多くの生物写真や顕微鏡写真が載っており、眺めるだけでもとても面白い。特に、複数の生物の同じ体部分の比較(ex.鱗、魚の鰭、昆虫の脚先)は論文では表現しにくいので、この本自体が貴重な参考資料である。

 

計算したくなる!『物理の眼で見る生き物の世界ーバイオミメティクス皆伝ー』

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【専門性】4☆☆☆☆―
【読みやすさ】2☆☆―――
【写真・イラストの多さ】2☆☆―――

【推しポイント】

こちらの本では、数式を用いて生物の動きなどを理解できるようになっている。技術専門書と読み物の中間くらいの印象。

運動方程式や流体力学等の少し専門的な数式がでてくるが、扱っているテーマは「魚のぬるぬるな表面が泳ぎに与える効果」や「渡り鳥の省エネな飛行方法」などとても身近でとっつきやすい。なにより、数式でそんなことが表現できるのか!と驚くことが多く、生物を工学的に考えるきっかけとして最適な教本である。

 

イメージしやすい!『ニュートン別冊 こんなにすごい! ふしぎな動物超図鑑』

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【専門性】2☆☆―――
【読みやすさ】5☆☆☆☆☆
【写真・イラストの多さ】5☆☆☆☆☆

【推しポイント】

科学が好きなら一度は手に取ったことがあるだろうNewtonシリーズ。こちらの本は最近出版された本であり、生物の能力に着目しているので「買うしかない!!」と思って即購入した。

「図鑑」とあるようにイラストや写真がとても多く、生態に関する説明も丁寧である。バイオミメティクスになりそうな生物を勉強したいならうってつけだ。どのようなところに生物の凄い技があるのか、の視点を養うことができる。

個人的には、「カメレオンが高速で下を打ち出すしくみ」で性質の異なる複数の筋肉と骨が組み合わさっていることを初めて知り、興味深かった。大人も子供も楽しめる本である。

 

子供用にぜひ!『すごい!ミミックメーカー 生き物をヒントに世界を変えた発明家たち』

 

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【専門性】2☆☆―――
【読みやすさ】5☆☆☆☆☆
【写真・イラストの多さ】5☆☆☆☆☆

【推しポイント】

サイエンス作家である竹内薫さん監修の新刊。バイオミメティクス関係の発明を、絵本チックに紹介している。小学校の図書館にあれば、子供がとても喜びそうな本である。

「ミミックメーカー(バイオミメティクスの発明家)」10人を紹介しており、生物の仕組みをヒントにすることで人間の暮らしが便利になっているのがよくわかる。

新幹線とカワセミの話といった有名な例だけでなく、砂漠にすむ昆虫(おそらくキリアツメゴミムシダマシ)から開発された「デューバンク・ボトル(露収集容器)」など少しマニアックなものも載っており、僕も勉強になった。

 

生物は強い!漫画「アラクニド」 シリーズ

https://magazine.jp.square-enix.com/joker/series/arachnid/
https://magazine.jp.square-enix.com/joker/series/blattodea/

※グロ注意

【専門性】2☆☆―――
【読みやすさ】4☆☆☆☆―
【写真・イラストの多さ】5☆☆☆☆☆

【推しポイント】

村田真哉原作の生物サスペンス・ハードアクション、「アラクニド」シリーズ。

蜘蛛(クモ)の能力をもった女の子が物語を始まる『アラクニド』、芋蟲(イモムシ)の能力をもった人間が主人公の外伝『キャタピラー』、蜚蠊(ゴキブリ)と蟻(アリ)の能力をもった二人が主人公となる続編『ブラトデア』の3作品がある。何らかの生物の能力をもっている敵と戦うアクション漫画である。

各シーンでリアルな生物の解説もあり、生物の能力や特徴が結構細かく表現されているので、(内容は結構重く過激表現もあるが...)生物の能力を楽しむことができる。

 

バイオミメティクスに関する本の探し方

バイオミメティクス関連の本は、大きく4つ、①バイオミメティクスの活用例(ケーススタディ集)、②ある生物に着目したもの(バイオミメティクスの生物アイデア)、③バイオミメティクス全般(解説書)、④生物の解析方法(専門書)、がある。読み物として読みたい場合や、初心者には①②、研究や開発に使うなら③④を探すことをオススメする。

ケーススタディ集については「バイオミメティクス」や「バイオミミクリー」で検索すれば見つかるだろうが、まだバイオミメティクスに使われていない生物の能力に関しては、バイオミメティクスと書かれていないことも当然多い。その場合は「○○の不思議」や「○○の謎」といった、生物の生態に着目した本が近い内容となる。

 

さいごに

いざ書き出してみると、オススメしたい本がありすぎる...!後日、流体力学のバイオミメティクスや昆虫のバイオミメティクスなど、各分野ごとの本も紹介したいと思う。

お気に入りの本を見つけてバイオミメティクスを知り、より深く楽しんでほしい。

【著者紹介】橘 悟(たちばな さとる)

京都大学大学院 地球環境学堂 研究員
バイオミメティクスワーククリエイト 代表   

X(Twitter)では記事公開や研究成果の報告などバイオミメティクス関連情報を呟きます。
パナソニック株式会社にて社会人経験を積んだのち、バイオミメティクスの研究を行うために退社し再びアカデミアの道に進む。企業への技術指導など、バイオミメティクスのアウトリーチ活動も積極的に実施。
※参考「学びコーディネーターによる出前授業」
研究知のシェアリングサービスA-Co-Laboにてパートナー研究者としても活動中。バイオミメティクスの紹介や生物提案など相談可能。

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参考文献

国立科学博物館叢書⑯『生物の形や能力を利用する学問 バイオミメティクス』、篠原現人・野村周平 編著、2016、東海大学出版部

『物理の眼で見る生き物の世界ーバイオミメティクス皆伝ー』、望月修、2016、コロナ社

『Newton別冊 こんなにすごい! ふしぎな動物超図鑑』、2023、NEWTON PRESS

『すごい!ミミックメーカー 生き物をヒントに世界を変えた発明家たち』、クリステン・ノードストロム 文/ポール・ボストン 絵/竹内 薫 監修/今井悟朗 訳、2023、西村書店。西村書店HP

『アラクニド』 原作:村田真哉 作画:いふじシンセン
『キャタピラー』 原作:村田真哉 作画: 匣咲いすか・速水時貞
『ブラトデア』 原作:村田真哉 作画: 速水時貞

版元ドットコム(書影)