【細菌学クイズ2】細菌ってどうやって見分けるの?① 4つのクイズに答えて楽しく細菌について学ぼう!

2023.07.20

こんにちは!細菌が好きすぎて気がついたら博士号をとっていたさいぼうです!そんなわたしがつくる、楽しく学べる細菌学クイズ!今日は第二弾!細菌の鑑別法についてお話しします。

細菌学では、異なる種類の細菌を正確に識別するためにさまざまな手法が用いられます。その中でも、グラム染色、球菌と桿菌の分類、そして好気性・通性・嫌気性の特徴は重要なポイント!

4つのクイズに挑戦して、細菌学の世界を楽しみましょう!

クイズ1: グラム染色について

問題: グラム染色は、細菌の鑑別に広く使用される手法です。以下の選択肢から正しい記述を選んでください。

a) グラム染色は、細菌の形状を観察するための手法。

b) グラム染色は、細菌の運動性を判定するための手法。

c) グラム染色は、細菌の細胞壁の特性を判定するための手法。

d) グラム染色は、細菌の酸素要求量を測定するための手法。

  • 正解: c) グラム染色は、細菌の細胞壁の特性を判定するための手法。

 

~解説~

グラム染色では、細胞壁の構造が細菌のグラム陽性(青紫色)またはグラム陰性(赤)の染色反応を示すことを利用しています。この特性に基づいて、細菌の鑑別が行われるのです!

(左:グラム陰性菌、右:グラム陰性菌)

 

なぜグラム染色によって細菌を色分けできるのか?それは細胞膜の構造が違うから!それぞれの膜構造の違いを見ていきましょう。

グラム陽性菌: 
例えば、肺炎レンサ球菌がグラム陽性菌に含まれます!

菌グラム陽性菌の細胞は、厚いペプチドグリカン層(Peptidoglycan)と細胞膜(Plasma membrane)から構成されています。グラム染色の過程では、クリスタルバイオレットとヨウ素が細胞質内に取り込まれます。その後、アルコールやアセトンなどの脱色剤によってクリスタルバイオレットとヨウ素の脱色を試みます。しかしグラム陽性菌はペプチドグリカン層が厚いため、色素がペプチドグリカン層内に保持されます。クリスタルバイオレットとヨウ素が細胞質内に保持されるため、紫色に染まるのです!

グラム陰性菌: 
大腸菌は、グラム陰性菌の代表的な細菌!

グラム陰性菌の細胞は、薄いペプチドグリカン層(Peptidoglycan)、細胞膜(Plasma membrane)、そして外膜(Outer membrane)から構成されています。外膜はリポ多糖Lipopolysaccharide)から成り、細胞膜を包んでいます。グラム陰性菌はペプチドグリカン層が薄いため、アルコールやアセトンなどの脱色剤によってクリスタルバイオレットとヨウ素がしっかりと脱色されます。そのためグラム陰性菌は脱色後に追加される赤色のフクシン染色液に染まるのです!

クイズ2: 抗酸菌について

問題: 抗酸菌とはどんな特徴を持つ細菌のことでしょう?

a) 高温で生育する細菌のこと

b) 高塩濃度下で生育する細菌のこと

c) 酸性条件下で生育する細菌のこと

d) 抗生物質に耐性を持つ細菌のこと

  • 正解:c) 酸性条件下で生育する細菌のこと

 

解説

抗酸菌は、通常の細菌が生育困難な酸性条件下でも成長できる特殊な能力を持つ細菌のことを指します。これには、マイコバクテリウム属の細菌が含まれます。

マイコバクテリウム属には、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)という病原性細菌が含まれます。結核菌は、映画「風立ちぬ」でヒロインの菜穂子が患っていた重篤な呼吸器疾患を引き起こす細菌です。

結核菌は、空気中の飛沫によって感染し、主に肺に感染して結核を引き起こします。結核菌は通常、グラム染色の結果が安定せず、グラム不定と診断されます。

このため、特殊な染色法である抗酸菌染色(Ziehl-Neelsen染色や酸ファスチン染色など)を使う必要があります。

ピンク:結核菌 青:ヒトの細胞

 

マイコバクテリウム属の細菌は、特殊な脂質であるミコール酸を細胞壁に持っており、これによって特徴的な細胞壁構造を形成しています。この細胞壁構造により、マイコバクテリウム属の細菌は一般的な細菌よりも酸や乾燥、抗生物質などに対して耐性を持つことができるといわれています。

クイズ3: 球菌と桿菌の特徴

問題: 球菌と桿菌の違いは何ですか?

a) 形状
b) 運動性
c) グラム染色の結果
d) 好気性・嫌気性の特性

  • 正解:a) 形状

解説

球菌は球状の形状を持ち、桿菌は棒状の形状を持つことが特徴です。この形状の違いも、細菌の鑑別にとても役立ちます。

黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は、球菌の一種であり、さまざまな病気を引き起こすことで知られています。黄色ブドウ球菌は、皮膚感染症や創傷感染症、食品中毒などさまざまな感染症を引き起こす可能性があります。また、黄色ブドウ球菌は多くの抗生物質に対して耐性を持つことが報告されており、医療現場での感染管理において重要な課題となっています。

黄色ブドウ球菌(イメージ)

 

一方、コレラ菌(Vibrio cholerae)は、桿菌の一種であり、コレラと呼ばれる急性の腸管感染症を引き起こします。コレラは、汚染された水や食品の摂取によって広まることがあり、主に腹痛、嘔吐、水様性下痢などの症状が現れます。

コレラ菌(イメージ)

 

クイズ4: 好気性・通性・嫌気性について

問題: 好気性・通性・嫌気性は、細菌がどのような条件下で生育するかを表す言葉です。以下の選択肢から正しい組み合わせを選んでください。

a) 好気性: 酸性条件下で生育、通性: pHに関係なく生育、嫌気性: 塩基性条件下で生育
b) 好気性: 高塩濃度下で生育、通性: 塩濃度に関係なく生育、嫌気性: 低塩濃度下で生育
c) 好気性: 高温下で生育、通性: 温度に関係なく生育、嫌気性: 低温下で生育
d) 好気性: 酸素の存在下でのみ生育、通性: 酸素の存在に関係なく生育、嫌気性: 酸素非存在下でのみ生育

  • 正解:d) 好気性: 酸素の存在下でのみ生育、通性: 酸素の存在に関係なく生育、嫌気性: 酸素非存在下でのみ生育

解説

好気性細菌は酸素の存在下でのみ生育し、通性細菌は広範な条件下で生育できます。一方、嫌気性細菌は酸素の存在を嫌い、酸素のない環境下で生育します。

好気性細菌: レジオネラ(Legionella pneumophila
レジオネラは、好気性細菌の一種であり、レジオネラ症と呼ばれる肺炎を引き起こすことが知られています。レジオネラは自然環境や人工的な水の供給システムで生育し、特に温かく湿った環境が好まれます。温泉や銭湯で「レジオネラ陰性」の証明書を見た事がある人も多いのではないでしょうか?

Legionella pneumophila (イメージ)

 

通性細菌: 大腸菌(Escherichia coli
大腸菌は通性細菌の代表的な例であり、腸内に存在する正常な細菌叢の一部です。しかし、特定の株の大腸菌(O157など)は人間に感染を引き起こします。食品や水の汚染による感染が最も一般的です。大腸菌感染症の症状には下痢、腹痛、嘔吐などがあります。

Escherichia coli(イメージ)

 

嫌気性細菌: クロストリジウム(Clostridium difficile
クロストリジウムは、嫌気性細菌の一群であり、土壌や腸内などの酸素のない環境で生育します。クロストリジウムにはさまざまな種類があり、一部は人間に病気を引き起こすことがあります。クロストリジウム・ディフィシルは、抗生物質の使用による腸内細菌叢の乱れが原因で発症する潰瘍性大腸炎や偽膜性大腸炎を引き起こすことがあります。

Clostridium difficile(イメージ)

 

  • 今日は

    グラム染色の原理と細菌の膜構造
    マイコバクテリウム属細菌の特徴と結核菌
    球菌と桿菌の代表的な病原菌とそれらが引き起こす病気
    好気性細菌・通性細菌・嫌気性細菌が引き起こす病気

    について学びましたね!

    これらのクイズを通して、細菌学の面白さに気づいていただければ幸いです。

    次回のクイズもお楽しみに~!

【著者紹介】さいぼう

北里大学卒業。獣医学博士。現アメリカメンサ会員。専門は微生物学。博士取得後アメリカ・マサチューセッツ州で博士研究員として働く。趣味は書籍の執筆。最近は実験のかたわら、大学院を目指す方に向けたエッセイ小説を書いている。Twitter space「日曜夜だからってしょげないでよ大学院生!」のメインキャスト。日曜夜7:30から絶賛ライブ配信中!

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