フリクションで実験! 消える?出てくる?ふしぎなコップ作り!

2023.03.02

フリクションボールペンとは、株式会社パイロットコーポレーションが販売している、ボールペンなのに消すことができるペンです。様々な場面で気軽に使用することができるので、誰しも一度は使用したことがあるのではないでしょうか? 今回はそんなフリクションボールペンを使った実験を紹介します。うまく使えば「ものの温まり方」についての理解が深まると思いますので、ご活用ください。

 

文字が消えるか試してみよう

準備するもの

  • フリクションボールペン

 

①まずはフリクションで文字を書いてみましょう。

 

②書いた文字をフリクションの上部に付いているラバー(専用の消しゴム)で擦ります。

 

③すると、みるみるうちに文字が消えていきました。消しゴムのように消しカスがでることはありません。

 

このようにフリクションボールペンは、ボールペンなのに書いた文字を消すことができるので、間違えた場合でもすぐに修正することができます。ただ、消えてしまうので重要な書類には向いていませんね。

 

では、一体どうして書いた文字が消えるのでしょうか?

 

どうして文字が消えるの?

それは、フリクションボールペンのインキに秘密があります。インキの中には単体では色がでないけれど、色の素となる発色剤、その色の素に合体して色を出させる顕色剤、そして、温度が高くなると、その2つの合体を邪魔する変色温度調整剤の3つの成分が入っています。通常、温度が低い状態では発色剤と顕色剤が合体して色が出ています。しかし、ラバーで擦ることで、摩擦熱により温度が高くなる(60℃以上)と、変色温度調整剤が発色剤と顕色剤の結合を邪魔するようになります。変色温度調整剤は顕色剤と合体するようになり、色の素である発色剤が色を出せなくなってしまいます。その結果、文字が消える…という仕組みです。

もっと詳しくしりたい方はこちらPILOT HP 開発者に聞く、インキの仕組み)をご覧ください。

 

 

消える?消えない?コップを作ってみよう

さて、ではその仕組みを利用して、温度によって描いた絵が消えたり出てきたりするコップを作ってみましょう!

準備するもの

  • 紙コップ
  • フリクションボールペン
  • ボールペン
  • 沸かしたてのお湯(orドライヤー)

 

①好きな模様を紙コップに描いていきましょう。この時、フリクションボールペンと普通のボールペンの2種類を使うことで、消える模様と消えない模様をつけることができます。強く書いてしまうと綺麗に消えないので、優しく書くことをおすすめします。

 

②模様がかけたら、コップにお湯を注いでみましょう。

 

フリクションで描いた部分だけがすっと消えていきます。

 

満タンにお湯を注げば、フリクションで描いたところを全て消すことができました。生い茂っていた緑の葉っぱが消えてしまい、枯れた木になってしまいましたね。

 

ドライヤーを使うこともできますが、お湯の方がきれいに消えます。
※お湯は熱いので、火傷には十分注意してください。

 

 

元に戻せるか実験してみよう

準備するもの

  • 冷凍庫
  • 先ほどの実験で作られた、色の消えたコップ

 

①色の消えたコップを冷凍庫にいれます。冷蔵庫ではできませんので、注意しましょう。

 

②1晩冷凍庫の中に入れておくと、このように綺麗に元の状態に戻すことができました。

 

残念ながら1時間や2時間では薄くしか戻らず、色によっても戻るスピードも異なります。フリクションボールペンは-10℃付近で色が戻り始め、-20℃付近で色が元に戻るように設定されているので、冷凍庫に長い時間入れておくことで、お湯を入れる前の状態に戻すことができるのです。

 

 

別の方法でも戻せるか試してみよう

準備するもの

  • エタノール
  • ドライアイス
  • 軍手
  • お湯で色を消した紙コップ
  • 耐寒性の容器

 

※ドライアイスは-79℃の極低温ですので、素手で触ると火傷してしまします。必ず軍手をはめて取り扱うようにしましょう。また、ドライアイスは二酸化炭素が個体になったものです。常温で気化して体積がとても大きくなります。ペットボトルなどの密閉した容器には入れないで下さい。

 

①ドライアイスを細かく砕きましょう。

 

②細かく砕いたドライアイスを耐寒性の容器に入れてから、ゆっくりとエタノールを注いでいきましょう。この時、エタノールにドライアイスを入れるのではなく、ドライアイスを先に入れるようにしないと、エタノールが吹きこぼれてしまうので注意しましょう。

 

③二酸化炭素が発生し、ブクブクするのが落ち着いたら、いよいよ紙コップに注いでいきます。ドライアイスも一緒に入れましょう。

 

④このまま30秒ほど放置します。まだ、この状態では色は戻ってきません。

 

⑤30秒ほど経ったら、紙コップに入っているドライアイスとエタノールを耐寒性の容器に戻しましょう。

 

⑥すると、みるみるうちに色が元の色の状態に戻ってくるのがわかります。

 

数秒で元の状態に戻ります。

 

どうしてエタノールを入れた状態では元に戻らないのか?

エタノールにドライアイスを入れたものの温度は約-72℃にもなり、ご家庭の冷凍庫よりもはるかに低い温度になります。先ほども記したように「フリクションボールペンは-10℃付近で色が戻り始め、-20℃付近で色が元に戻るように設定されている」ので、冷たすぎても元には戻らないと考えられます。エタノールとドライアイスをコップから出して、しばらく時間が経つと温度が適温まで上がり、色が元に戻るのでしょう。

消えた状態のフリクションボールペンで書いた文字にドライアイスを数秒間直接当ててみても、離した瞬間は薄いままであり、しばらくすると元の状態に戻すことができました。また、直接当てるよりも、擦るような形でドライアイスを当てた方がすぐに元の状態に戻すことができたので、温度が低ければ低いほど良いというわけではないことがわかります。

 

自分の書いた絵や文字をすぐに消したり、戻したりできるので、子供たちは楽しみながら学ぶことができると思います。お湯やドライアイスの扱いには注意し、皆様もぜひ、挑戦してみてください。

 

理科の先生へ

特に難しい操作も無く、実験することができますが、ドライアイスやお湯の扱いには十分注意してください。私が実験教室で行うときは、低学年の子供たちには、お湯やドライアイス+エタノールは先生が入れて、色が消えたり、戻ったらすぐに回収するようにしています。また、エタノールは高価ですので、お家に持って帰って冷凍庫でどうなるか実験してみようという流れにもっていくのも良いと思います。

 

【著者紹介】くもM

サイエンスコミュニケータ―。「身近な科学・学びを遊びに」をテーマに、サイエンスショーや実験教室、講演など科学を通じて学びを楽しくしていく活動を続けている。YoutubeやTikTokなど実験動画配信も人気。

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