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昨年、ダニの唾液内の19成分を抗原としてワクチンを作成すると、ダニに刺される頻度が減り、ダニも早期にその動物から退散するという論文を紹介した(https://aasj.jp/news/watch/18346)。
さらについ先日、ニキビダニがホスト自然免疫システムにより生息場所を制限されていることを示した研究(https://aasj.jp/news/watch/20615)も紹介した。このように、体外にいて内部免疫系の影響を受けないと思われる害虫でも、様々な形で免疫系と相互作用しているのは面白い。
一般にダニに刺されると、かゆみを伴う炎症が起こることから、免疫を高める効果があると思うが、今日紹介するウィーン大学からの論文は、ダニの唾液が局所や全身の免疫を抑えて、スピロヘータの感染を助けることを示した研究で、9月27日 The Journal of Clinical Investigation にオンライン掲載された。
タイトルは「Tick feeding modulates the human skin immune landscape to facilitate tick-borne pathogen transmission(ダニ刺されは人間の皮膚の免疫状態を変化させダニの媒介する病原菌の感染を高める)」だ。
このような虫刺されと免疫システムの相互作用の研究は、皮膚組織を調べる必要からなかなか人間では研究できないのだが、この研究の最大の特徴は、全ての実験を人間のバイオプシーサンプルを用いて行った点で、このような研究に応じる人を集めたことだけでも驚く研究だ。
人間の組織を採取するとは言え、4mmのバイオプシーなので、やれることは限られている。
また、本当に再現性があるのかなど、懸念も多いが、重要な点をまとめると以下のようになる。
以上が結果で、全てを人間でやりきった点が最も大きな特徴だが、この話が正しいとすると、わざわざダニがスピロヘータを助けることになり、人間、ダニ、スピロヘータの複雑な三角関係が何故出来たのか、最終的に納得感の低い論文だった。