研究者・技術者の『知りたい』がここにある
メニュー
世界中で珊瑚礁が危機に瀕していることが明らかになっている。以前紹介したように、その主要な原因は地球温暖化により、サンゴ(刺胞動物)と共生する藻類の温度感受性が高く、温暖化でその数が急速に低下しているため、サンゴも生存できなくなっていることがわかってきた(https://aas
PI3Kはインシュリンシグナルを始め様々な生命シグナルに関わっており、また分子構成やその組織発現は極めて多様で、個人的には全く苦手なシグナルの一つだ。現役の頃から、真面目に勉強することはやめて、わからないことはプロの竹縄さんに聞けばいいと思っていた。 とはいえ、細胞の生
何度も紹介したが、膵臓ガンの大きな特徴は間質細胞の増殖が著しく、おそらくこれがガン細胞の悪性化を誘導している点だ。また、ガンに対する免疫細胞の侵入を阻むことで、ガンを守っていることも知られている。 このため Single cell RNA seq が可能になってから、膵
みなさんこんにちは!サイエンス妖精の彩恵りりだよ! 今回のお話は、ヘキサジンの初合成に関するお話だよ! 窒素はエネルギー密度の高い物質としての応用が期待されている元素だけど、そのためには様々な課題をクリアしないといけないよ。
この論文を読むまで、蚊が私たちによってくるのはもっぱら炭酸ガスのせいだと思っていた。ところが、ネッタイシマカ( Aedes aegypti )は他の動物には目もくれず人間を狙うらしい。 とすると、炭酸ガスだけが蚊を引き寄せるというのは間違いで、人間特有の臭いを手がかりに
キラーT細胞の細胞障害性にパーフォリンとグランザイムBが関わることは、広く知られているが、グランザイムがアポトーシスを誘導する一方、パーフォリンは細胞膜に穴を開けることで細胞を殺すことが、明らかになっている。 つい先日紹介したように、私自身はグランザイムBも、細胞膜に穴
SLE 患者さんの7割に皮膚の発疹が見られる。Lupus と呼ばれるように、発疹は両側だが局所的に見られる、特徴的なのは蝶形紅斑とよばれる顔の紅斑だろう。これを見たとき、紅斑部と正常部に皮膚を分けて、病変が紅斑部に限局していると考えてしまう。 今日紹介するミシガン大学か
ヒトES細胞から分化細胞を誘導できるようになった後、その機能を確かめるために、マウスに移植して細胞機能を調べる実験が数多く行われた。免疫不全マウスを使うのは当然だが、さらに NK 細胞などの機能を抑制する必要があり、これに適したマウスが開発された。 ただ、ヒト細胞とマウ
薬剤を用いる病気の治療と比べると、代謝障害などの特殊なケースを除くと、食や栄養管理で病気に対抗する科学的方法の開発は遅れている。 一方、憶測や限られた経験をベースに病気に効くと称している方法は、例えば本屋に溢れているから、もし科学的エビデンスが示されたら、その方法は普及
自分の分野ではなかったが、現役時代パラダイムシフトを感じた一つが動脈硬化だった。一種の老化かななどと済ませていた変化を、動脈硬化は炎症であると新しいパラダイムを示したのが Peter Libby だった。 初めて聞いたときはなるほどと納得しただけだが、これがきっかけにな
歯周炎が全身の炎症に影響することはよく知られた事実で、動物実験レベルでは驚くことに、歯周炎とリウマチが相互に関係し合うことが報告されている。 今日紹介するペンシルバニア大学とドレスデン大学からの共同論文は、両方の炎症性疾患を、炎症にプライムされた骨髄幹細胞が仲立ちすると
多能性やリプログラムに興味があって、ES細胞やiPS細胞、さらには山中4因子(Oct2, Sox2, Klf4, Myc)については学んでいても、Nanogについて知っているという学生さんは少ないのではと思う。 ただ、現役の後半、この分野の研究に注目してきた私にとっては