小児が散剤を服用しやすくするための剤形の工夫

2023.02.13 By 昭和大学 臨床薬学講座 臨床研究開発学部門 准教授  肥田 典子

薬学

研究者情報

臨床薬学講座 臨床研究開発学部門 准教授
肥田 典子

関連キーワード

ミニタブレット、院内製剤、生物学的同等性、アドヒアランス、小児臨床薬理

シーズ内容や、それに関する特許などの情報について

製薬企業から供給される医薬品は含量や剤型が一定の規格であり、患者の多様化したニーズに対応することができない。小児科領域では、小児に適した剤形がなく、錠剤をつぶしたり、カプセルを外すなどの加工が頻繁に行われている。また、小児特有の問題点として「服薬拒否」がある。薬の不快な味、ざらつき、量の多さなどが原因としてあげられる。服薬拒否の影響は、保護者や看護者が対応に難渋するだけでなく、医師の治療効果の評価にも影響を及ぼす。医療機関では、薬剤師が患者さんの病状にあわせて剤形を変更したり、医薬品原料から薬剤を調整して、院内製剤を調整している。当研究室では、昭和大学薬学部基礎医療薬学講座薬剤部門と連携し、散剤からミニタブレット(直径 2 ~ 3mm)への剤形変更に取り組んでいる。ミニタブレットは小児が内服しやすく、味のマスキングが可能という利点がある。一例としてアスピリンミニタブレットを紹介する。アスピリンは、川崎病の小児に血栓形成予防目的で長期間服用が必要な薬である。よく処方されるが、味とざらつきが原因と考えられる服薬拒否の事例がある。我々の研究チームでは、アスピリンミニタブレットの臨床応用を目指し、基礎的検討から臨床研究まで実施してきた。製剤に関する基礎的検討はミニタブレットの品質の担保するほか、健康成人を対象とした生物学的同等性に関する評価の臨床研究の結果は実臨床での使用に向けての基礎的資料となる。我々の研究チームでは、6 か月~ 8 歳の小児にミニタブレット(プラセボ)が受容可能であることを臨床研究で確認している(Pharmaceutics. 2022 Jan 15;14(1):198.、Journal of Drug Delivery Science andTechnology 70 (2022) 103154)。
当部門に併設の昭和大学臨床薬理研究所では、比較とした臨床試験を実施できるフィールドがあり、それを活かした研究活動を行っている。

想定される産業への応用

〇ミニタブレットへの剤形変更は他の治療薬にも応用が可能であり、特に散剤を服用できない小児の薬物治療が各段にスムーズになることが期待されている。
〇ミニタブレットは口腔内で容易に崩壊せず、原薬の味をマスキング可能な上、発達の段階に応じて投与量調整が可能である。上述のアスピリンミニタブレットの臨床応用は 2022 年 7 月以降に開始する予定である。
〇本研究は患者の治療選択肢を増すだけでなく、服薬アドヒアランスの向上も期待されることから、今後の小児医療に大きく貢献すると確信している。

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