ペプチド薬剤の効率的標識合成法の開発と診断・治療への展開

2022.10.06 By 群馬大学

薬学

技術概要

この技術は、PET等の、核医学的診断法や治療法に利用することができるペプチド化合物の合成方法であり、具体的にはケイ素と放射性ハロゲンとの交換反応を利用することにより、特定の構造をペプチド鎖内部に含んだ新規なペプチド化合物を合成することが可能となる

用途・応用

・画像診断薬
・薬物動態試験
・RI内用療法

背景

 臨床現場における非侵襲的画像診断は、腫瘍や脳疾患などの早期治療や治療効果の判定において重要である。核医学的診断法の1つにポジトロン断層撮像法(PET)がある。現在,臨床現場では短半減期の核種、例えば 1 1 C(半減期20.4分)や 1 8 F(半減期109.8分)が用いられているが、より半減期の長いPET核種を利用できれば患者に注射した後のRI薬剤ががん組織に十分集積した後の撮像が可能になり、診断精度が向上するなどの利点がある。
7 6 Brは、半減期16.2時間のポジトロン放出核種であり、その核的性質からPETにおける利用が期待されている。 7 6 Brは、 1 1 C や 1 8 Fと比較して標識合成時の放射能減衰が少なく、検査時においても時間的制約を受けずに動態解析を行えるという利点を有する。また、標識後に輸送すればサイクロトロンを持たない遠隔地の医療施設における核医学検査が可能になり、さらに治療と診断を両立するセラノスティクスプローブの開発も期待できる。

 PET薬剤の母骨格となる分子は、低分子化合物から抗体などの生体関連化合物まで多様性に富んでいる。そのうちペプチドは、抗体に匹敵する受容体親和性を持ちつつ比較的安価に製造できるため、腫瘍検出用PET薬剤の母骨格として有用であるが、意外にも 76 Br標識ペプチドは、過去に数例報告されているのが現状である。

 アミノ酸やペプチドに放射性ハロゲンを導入する方法としては、スズと放射性ハロゲンとの交換反応を利用する合成法が提案されている。例えば、非特許文献2には、トリアルキルスタンニル基(-SnR 3 )を導入したα-メチルフェニルアラニンを前駆体とし、トリアルキルスタンニル基と 7 6 Brや 7 7 Brを交換して標識体を合成したことが報告されている。

 

課題

 本発明は、核医学的診断法や治療法に利用することができるペプチド化合物を提供することを目的とする。

手段

 本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ケイ素と放射性ハロゲンとの交換反応を利用することにより、特定の構造をペプチド鎖内部に含んだ新規なペプチド化合物を合成することが可能であり、さらにこれらが核医学的診断法や治療法に有用な化合物であることを見出し、本発明を完成させた。

 即ち、本発明は以下の通りである。(以下、式は詳細資料に記載)
< 1 > 下 記 式 ( B ) で 表 さ れ る 構 造 を 含 む ペ プ チ ド 化 合 物 を 準 備 す る 準 備 工 程 、 及 び酸化剤の存在下、前記ペプチド化合物と臭素76( 7 6 B r 2 )、臭素77( 7 7 B r2 )、ヨウ素124( 1 2 4 I 2 )、又はヨウ素125( 1 2 5 I 2 )とを反応させて下記式(A)で表される構造を含むペプチド化合物を生成する標識化工程を含むペプチド化合物の製造方法。

(式(A)及び(B)中、"Xは臭素76原子( 7 6 Br)、臭素77原子( 7 7 Br)、ヨウ素124原子( 1 2 4 I)、又はヨウ素125原子( 1 2 5 I)を、R 1 は水素原子又は炭素数1~10の炭化水素基を、R 2 は炭素数1~3の2価の炭化水素基を、R 3は水素原子又は炭素数1~10の炭化水素基を、R 4 はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10の炭化水素基、又は炭素数1~10のアルコキシ基を表す。)< 2 > 前 記 準 備 工 程 が 、 ロ ジ ウ ム 錯 体 の 存 在 下 、 下 記 式 ( E ) で 表 さ れ る ア ミ ノ 酸 誘 導体とヒドロシラン化合物とを反応させて式(D')で表されるアミノ酸誘導体を生成することを含む、<1>に記載のペプチド化合物の製造方法。

(式(D')及び(E)中、Xはハロゲン原子を、R 1 は水素原子又は炭素数1~10の炭化水素基を、R 2 は炭素数1~3の2価の炭化水素基を、R 3 はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1~10の炭化水素基、又はアミノ基の保護基を、R 4 はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10の炭化水素基、又は炭素数1~10のアルコキシ基を、R 5 は炭素数1~10のアルコキシ基を表す。但し、R 3 の少なくとも1つはアミノ基の保護基である。)
< 3 > 下 記 式 ( D ' ) で 表 さ れ る ア ミ ノ 酸 誘 導 体 を 準 備 す る 準 備 工 程 、 及 び酸化剤の存在下、前記アミノ酸誘導体と臭素76( 7 6 B r 2 )、臭素77( 7 7 B r2 )、ヨウ素124( 1 2 4 I 2 )、又はヨウ素125( 1 2 5 I 2 )とを反応させて下記式(C)で表されるアミノ酸誘導体を生成する標識化工程を含むアミノ酸誘導体の製造方法。

(式(C)及び(D')中、"Xは臭素76原子( 7 6 Br)、臭素77原子( 7 7 B r)、ヨウ素124原子( 1 2 4I)、又はヨウ素125原子( 1 2 5 I)を、R 1 は水素原子又は炭素数1~10の炭化水素基を、R 2 は炭素数1~3の2価の炭化水素基を、R3 はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1~10の炭化水素基、又はアミノ基の保護基を、 R 4 はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10の炭化水素基、又は炭素数1~10のアルコキシ基を、R 5 は炭素数1~10のアルコキシ基を表す。但し、R3 の少なくとも1つはアミノ基の保護基である。)
< 4 > 下 記 式 ( B ) で 表 さ れ る 構 造 を 含 む ペ プ チ ド 化 合 物 。

(式(B)中、R 1 は水素原子又は炭素数1~10の炭化水素基を、R 2 は炭素数1~3の2価の炭化水素基を、R 3 は水素原子又は炭素数1~10の炭化水素基を、R 4 はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10の炭化水素基、又は炭素数1~10のアルコキシ基を表す。)
< 5 > 下 記 式 ( D ) で 表 さ れ る ア ミ ノ 酸 化 合 物 又 は ア ミ ノ 酸 誘 導 体 。

(式(D)中、R 1 は水素原子又は炭素数1~10の炭化水素基を、R 2 は炭素数1~3の2価の炭化水素基を、R 3 はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1~10の炭化水素基、又はアミノ基の保護基を、R 4 はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10の炭化水素基、又は炭素数1~10のアルコキシ基を、R 5 はヒドロキシル基、炭素数1~10のアルコキシ基、ハロゲン原子、又は炭素数1~10の炭化水素基を表す。)< 6 > 下 記 式 ( A ) で 表 さ れ る 構 造 を ペ プ チ ド 鎖 内 部 に 含 む ペ プ チ ド 化 合 物 。

(式(A)中、"Xは臭素76原子( 7 6 Br)、臭素77原子( 7 7 Br)、ヨウ素124原子( 1 2 4 I)、又はヨウ素125原子( 1 2 5 I)を、R 1 は水素原子又は炭素
数1~10の炭化水素基を、R 2 は炭素数1~3の2価の炭化水素基を、R 3 は水素原子又は炭素数1~10の炭化水素基を表す。)
< 7 > 前 記 " X が 、 臭 素 7 6 原 子 (7 6 Br)又はヨウ素124原子( 1 2 4 I)である、<6>に記載のペプチド化合物。
< 8 > < 7 > に 記 載 の ペ プ チ ド 化 合 物 を 含 む ポ ジ ト ロ ン 断 層 撮 像 用 の 標 識 組 成 物 。

効果

 本発明によれば、核医学的診断法や治療法に有用なペプチド化合物を提供することができる。

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特許情報

特開2016-166151

JPA 2016166151-000000