組織形成や研究開発の系譜について

2022.09.05 By 横浜国立大学 ダイバーシティ戦略推進本部 山中 千尋

教育・社会・商経・文学

研究概要

科学の社会史、という文理融合の研究です。筆者は、日本近代における学術研究体制の形成、とくに学術研究助成について関心があります。いま現在の研究環境はどのようにつくられ、どこへ向かうのでしょうか。何のために、科学者は研究をしているのでしょうか。学術研究の推進とは、何をどうすることなのでしょうか。こうした問いを念頭に、個別の事象について、研究支援現場の経験を活かし、史的=縦軸と、世界との相対化=横軸で紐解いています。こうしたアプローチによって、自然科学の社会的な発達の文脈が再認識されるとともに、人文社会系学問の今日的な意義にもつながるでしょう。

最近では、1930年代に始まった軍産学官による特殊鋼に関する研究について、一次資料をもとに史実を紡ぎました。今後、戦争と科学との不可分の関係性や、今後の学術研究のあり方について、考察を深めていきます。

アドバンテージ

科学そのものではなく、科学の営みの歴史を描いています。歴史は経験であり、先人たちの試行錯誤の蓄積です。しかし、近年の科学振興策と、近代のそれとは、目指していることが本質的にほぼ同一です。昨今の科学技術政策では、エビデンスベースが重視されていますが、意思決定においては、定量的な分析のほか、歴史を踏まえるという定性的な分析も必要です。

歴史研究は地道な作業で、成果がでるまでに年月がかかりますが、その分、深みと味わいのある世界です。とくに企業史や技術開発史をご存知の方と、それぞれの強みを活かして協働できたらと思います。

これまで、大学等において、全ての分野に関わる様々な企画運営や研究支援に携わってきました。現在は、「多様性は創造の源泉である(Diversity creates innovation.)」という発想のもと、産学官連携によるダイバーシティ推進を行っています。研究推進を理論と実践の両面から追求し、現代そして将来の学術基盤をプロデュースしていきます。

事例紹介

1932(昭和7)年に設立された財団法人日本学術振興会の組織形成と事業展開について、設立の中心人物であり、初代理事長を務めた櫻井錠二の関与とともに明らかにしました。また、1926(大正15)年に開催された日本初の大規模な国際会議である第3回汎太平洋学術会議の舞台裏と科学外交の意図とを論じました。いずれも第一級史料を用いており、翻刻も行っています。近代の学術体制の形成について、講演も行っています。

相談に応じられるテーマ

組織形成や研究開発の系譜について

史資料の発見や保存、社史編纂に関して

戦前の軍産学官連携について

近代の理工系人材育成について

主な所属学会

日本科学史学会、化学史学会、日本教育学会

主な論文

・「日本学術振興会の設立:組織形成と事業展開」『科学史研究』60(298), 2021年

・「櫻井錠二と日本近代における学術振興の展開」『科学史研究』51(263), 2012年

・「Frank Parsonsの’Vocational Guidance’の成立過程に関する考察 : Choosing a Vocation(1909)の解読を通して」『科学教育研究』34(2), 2010年

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