着衣の温熱的快適性・着衣の身体・動作適合性

2022.07.20 By 横浜国立大学 教育学部 学校教員養成課程 家政教育講座 薩本 弥生

教育・社会・商経・文学

研究概要

本研究室の主な研究テーマは被服の快適性で、中でも運動機能性の問題と温熱的な快適性の問題の2つを柱としています。 着衣(スポーツウェア、 靴、 オムツ、 肌着等)の熱水分移動と快適感、暑熱時の体温調節反応と被服による熱中症予防への貢献、 ブラジャー(中高年用、 授乳用、 就寝用等)の運動機能性(ズレや防振性)と着心地等の研究テーマに取り組んでいます。

研究手法として予防医学的な見地から脳波や心拍変動等の感性評価手法についての研究にも取り組んでいます。

また、 きもの文化の伝承と海外発信に関わる教育プログラム開発を目指した授業研究にも取り組んでいます。

アドバンテージ

着衣の温熱的快適性に関しては環境の温熱刺激に着衣の素材や構成要因を踏まえて人体への刺激を定量化すると共に人体の生理・心理反応を把握し、その因果関係から現象を明らかにしようとするアプローチの仕方がユニークな点と考えます。

事例紹介

科研費基盤研究B 「靴の熱・水分伝達性能への靴の材料特性や形態特性の影響と温熱的快適性」において歩行時の靴内気候を評価し、つま先部が特に蒸れること、密閉度が高い靴ほど、ふいご作用による換気が生じやすいことを明らかにしました。 そこで、ふいご換気システムを増幅する換気中敷きを試作し、これを履くと靴内湿度の低下が起きることを明らかにしました。二層式の換気中敷きを試作し、特許出願しました(特願2006-354871 Fig.1参照)。

 科研費基盤研究A 「無線通信による熱中症予防支援システムの構築と被服環境デザインの最適化」および基盤研究B 「着衣と人体生理を考慮した無線通信による熱中症予防支援システムの構築」において温熱環境の人-着衣-環境に関わる温熱環境物理量を計測、これらのデータを無線で集積し、 同期して人の温熱的快適性の指標となる温熱生理計測を行って、 被験者の装着負荷が少なくモニタリング可能な無線機能付きのウェアラブルシステムを開発し(Fig.2)、 着装時の環境状態計測評価を試みてきました。 発汗サーマルマネキン (Fig.3) とトレーサガス法による換気計測 (Fig.4) で着衣の換気と熱水分移動性能について検討しました。 スポーツ時の熱中症予防に向けた研究も進めてきました (Fig.5)。

現在、基盤研究C「熱中症予防支援システム構築のための人-着衣-環境系の評価」において引き続き研究を実施しています。

図版

Fig.1  換気中敷きの機構

Fig.2  ウェアラブルBANシステム

Fig.3  発汗サーマルマネキン  文化学園大学の設備を利用

Fig.4  トレーサガス法換気計測装置

Fig.5  人工日射環境下での被験者実験 大阪産業技術研究所の設備を利用

相談に応じられるテーマ

・着衣の温熱的快適性・着衣の身体・動作適合性

・着衣のふいご作用を応用した放熱促進の工夫

・被服教育の教材研究

主な所属学会

日本家政学会 , 日本繊維製品消費科学会 , 日本家庭科教育学会

主な論文

『年齢・身体特性・ブラの種類が動作時の胸部動態・着装感に及ぼす影響』  「繊維製品消費科学会58(1)80-89 2017.1

Effects of Shoe Fit and Moisture Permeability of a Leather Shoe on Shoe Microclimate and Air Exchange  J. of Ergonomics, 6:4 Yayoi Satsumoto, Shanhua Piao and Masaaki Takeuchi, 2016

『ゆかたの着装体験を含む教育プログラム開発をめざした中学校技術・家庭科での授業実践』「日本家庭科教育学会, 56(1) 2013

主な特許

特願2006-354871  「靴の中敷および靴」

主な著書

「医療者のための熱中症対策」三宅康史編著,薩本弥生分担執筆,日本医事新報社,2019

「衣生活の科学-テキスタイルから流通マーケットヘ―」間瀬清美・薩本弥生編著,アイ・ケイ コーポレーション 2015.3

「快適ライフを科学する」薩本弥生編著,丸善株式会社,2003.5

主な研究機器・設備

換気計測装置、動作解析・重心動揺計、生体情報モニタ装置(脳波・筋電・心電)

主な地域活動

附属学校や公立中学校等での家庭科授業の指導・助言

外国人対象の着物文化発信ワークショップ 実施

産学研究団体依頼の講演、 公開講座実施

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特許情報

特願2006-354871

JPA 2008161478-000000