流水式超音波口腔洗浄装置、及び流水式超音波口腔洗浄方法

2023.02.13 By 昭和大学 山本 松男

医学

背景

 従来、歯科治療において、口腔内を高水圧のジェット水流で洗浄する口腔内洗浄装置が
実用化されている。この口腔内洗浄装置を用いる場合、洗浄液が大量に必要となる。また、歯科治療時には、洗浄後の洗浄液を口腔内から排出する必要があるが、排液量が多くなると、歯科ユニットに備わっている排水装置の処理能力を高める必要があり、患者様の負担もおおきくなってしまう。

歯科治療においては、超音波振動を利用して歯垢等を除去する超音波スケーラや超音波歯ブラシなどの口腔清掃装置が実用化されている。また、歯科治療の装置としての開示はないが、超音波振動を利用して異物を除去する超音波異物除去装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の超音波異物除去装置では、超音波振動子からの超音波振動がホーンに伝達され、ホーンの先端部によって異物除去が行われる。この装置には、異物を洗い流す洗浄液を供給する供給手段と、洗浄液とともに異物を吸引するための吸引手段が設けられている。この超音波異物除去装置を利用して口腔洗浄を行うことは可能である。

上述した超音波スケーラ、超音波歯ブラシ、超音波異物除去装置などの清掃装置を用いて口腔洗浄を行う場合、個人が歯ブラシで清掃する以上に効率よく除去率の高い清掃がが可能となる。

【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】特開平11-318917号公報

課題

 ところで、超音波振動を利用した従来の口腔清掃装置では、振動部材(チップ、ブラシ
の毛先、ホーンなど)を歯に直接当てて、超音波振動によって歯垢を破壊し除去している
。このような口腔清掃装置を使用者が使いこなすには、相当な技量(操作熟練度)が必要
となる。すなわち、歯垢のある部位に確実に振動部材を当接させないと歯垢を除去するこ
とができないため、歯垢の除去に時間がかかることに加え、歯垢の取り残し等の問題が生
じてしまう。このため、使用者の技量にかかわらず口腔洗浄を効率よく確実に行える洗浄
装置が望まれている。

 因みに、歯科治療以外の分野では、流水式超音波洗浄機が実用化されている。この流水
式超音波洗浄機では、ケース内に超音波振動子を備えており、ケース内に供給された洗浄
液に超音波振動子から超音波を伝搬させる。そして、その超音波を伝搬させた洗浄液の流
水を放水ノズルから出力することで、半導体基板などの被洗浄物の洗浄が行われる。この
流水式超音波洗浄機では、比較的高い周波数(数MHz程度)の超音波が利用されており
、半導体基板などに付着した微細な汚れを除去するようにしている。ところが、この洗浄
機で用いられている高周波の超音波は指向性が鋭く、放射ノズルの出口付近において超音
波が比較的狭い範囲で強く収束している。従って、熱に弱い被洗浄物(アクリル板など)
をノズル近傍(焦点付近)に配置すると、被洗浄物が発熱して溶けてしまうことがある。
特に、口腔内を洗浄する場合では歯茎等が低温やけどになる可能性がある。このため、従
来では歯科治療の分野において流水式超音波洗浄機の使用は検討されていなかった。

 特許文献1の超音波異物除去装置では、ホーンの先端を振動させるために比較的低周波
(30kHz~50kHz)の超音波が用いられている。このような低周波の超音波を流
水式超音波洗浄機に用いる場合、超音波の指向性が鈍くなるため、超音波の焦点がぼやけ
、歯垢等を除去するための十分な音圧を得ることができない。また、低周波の超音波を用
いる場合、使用する超音波振動子の直径を大きくすれば、超音波をある程度収束させるこ
とは可能であるが、洗浄装置が大型化する。このため、歯科治療用の超音波洗浄装置とし
て実用化することが困難となる。

 本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、口腔内を効率よく確実
に洗浄することができる流水式超音波口腔洗浄装置及び流水式超音波口腔洗浄方法を提供
することにある。 

手段

 上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、超音波を伝搬させた洗浄液を流
水として注ぎながら口腔内を超音波洗浄する流水式超音波口腔洗浄装置であって、前記洗
浄液に超音波を伝搬させる超音波振動子と、一端側に設けられ前記超音波振動子を装着す
るための振動子装着部と、前記超音波振動子の振動面に洗浄液を供給する供給口と、前記
振動子装着部と対向する他端側に行くに従って先細りした形状の先端部に設けられ、前記
洗浄液を流水として出力する流出口とを有するケースと、前記ケースの供給口に接続され
、前記ケース内に洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、前記口腔内を超音波洗浄した使用
済みの洗浄液を排水する洗浄液排水手段と 、 前 記 ケ ー ス の 中 心 軸 に 対 し て 5 ° 以
上 9 0 °以 下 の 角 度 で 曲 げ ら れ た 状 態 で 前 記 ケ ー ス の 流 出 口 に 設 置 さ れ 、
前 記 流 水 の 方 向 を 変 更 可能 な 曲 げ ノ ズ ル と を備え、前記超音波振動子を駆動す
る発振周波数は100kHz以上3MHz以下であり、前記超音波振動子の直径は50m
m以下であり、前記超音波振動子への供給電力は100W以下であることを特徴とする流
水式超音波口腔洗浄装置をその要旨とする。

効果

以上詳述したように、請求項1乃至 1 1 に記載の発明によると、口腔内を効率よく確
実に洗浄することができる。

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特許情報

5786166

JPB 005786166-000000