消化器癌における術中リアルタイムがん診断自動解析 システムの新規開発

2023.01.05 By 昭和大学 外科学講座消化器・一般外科学部門 教授  青木 武士

医学

研究者情報

外科学講座消化器・一般外科学部門 教授
青木 武士

関連キーワード

術中リアルタイムがん診断法、 共焦点レーザー内視鏡、ガン自動診断解析システム

シーズ内容や、それに関する特許などの情報について

研究の背景
 術前がん診断は医療技術の進歩により診断精度の向上を認める一方、手術前に良悪性の診断がつかない場合や手術中に切除断端診断を補助する場合は術中迅速病理診断が推奨され、この診断に基づき臓器切除範囲が決定される。迅速病理診断は時間的制約や凍結処理の二次的変化による診断の困難性・切片の限定的検索範囲から,迅速診断の結果が最終病理診断と異なることがあり、根治性を保つ手術施行に克服すべき課題となる。本研究は、消化器がんにおいて細胞レベルでの観察が可能である共焦点レーザー内視鏡を用いた術中リアルタイムがん診断法を構築し、さらに細胞・ 組織形態情報を基盤としたがん自動診断解析システムの開発を目標とする。

研究の概要
 共焦点レーザー内視鏡(Confocallaserendomicroscopy;pCLE)は、リアルタイムで顕微鏡レベルの拡大観察が可能である。術中に pCLE を使用することで、術中迅速病理診断の質的向上が期待されている。本研究では、消化器癌においてpCLE を用いた術中リアルタイムがん診断法の確立とがん自動診断解析システムの開発を目的とする。手術摘出標本の観察と術中リアルタイム臓器観察を実施し、生体組織イメージングの有用性や安全性の評価を行なった。pCLE にて観察した癌部の粘膜上皮細胞が不規則な構造を持ち、H-E 所見と類似していることが確認され、pCLE を用いた術中リアルタイム診断は迅速病理診断を補完する可能性が示唆された。次に、その pCLE 画像を人工知能 (Artificial intelligence: AI) を組み合わせ、術中リアルタイムがん診断の可能性を検討した。AI 開発ツールの Maximo Visual Inspection(IBM 社 ) を導入し、正常・悪性診断予測モデルを構築した。テストデータを用いて正常・悪性診断を行った結果、悪性所見の正答率は 81.3%、正常所見の正答率は 92.0% であった。

 

 

想定される産業への応用

〇わが国では病理医不足が深刻なため、手術中の良悪性診断や切除断端診断に必要な術中迅速診断ができないことがあり、患者の生命予後・術後 QOL を低下させる危険性がある。病理医が常駐する施設でも病理診断結果を待つ必要があるため、患者と執刀医の負担となっており、さらに依然として術中迅速病理診断が最終病理診断と乖離していることが問題になっている。本研究により、術中リアルタイムがん診断法が確立するとともに、細胞・組織形態情報を基盤としたがん自動診断解析システムが構築されることで、病理医不足の問題や迅速組織診の難解さを和らげることが可能となり、がん治療の根治性に寄与すると考える。さらには、術中リアルタイム診断による、より正確な診断により根治性を担保しつつ必要最小限の医療を提供することにより、従来は切除していた臓器の温存など手術侵襲が低減され、患者 QOL の向上へと繋がる。また、医療を必要最低限とすることによって合併症の低減などの効果をもたらし、医療費の削減などにも寄与できるものと考える。

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