人体局所で放射線を計測するウエアラブルデバイスの開発

2022.10.06 By 群馬大学

医学

技術概要

近年注目が集まる人体局所への放射線被ばく、特に水晶体への被ばくを効果的に測定する技術として、積算型線量計材料の構造体を用いてウエアラブルな線量計を実現した。透明な材料内部に蛍光中心となる元素の分布を形成することで、水晶体に入射する放射線の量を発光量として評価可能な体系を実現した。

用途・応用

・医療、工業利用放射線曝露環境下での放射線業務従事者の保護
・原子力施設における緊急事故等の対応時の局所被ばくの管理
・放射線曝露環境下に置かれた公衆の局所被爆の管理

背景

 近年、低侵襲医療行為とし、画像下治療(Interventional Radiology: インターヴェンショナルラジオロジー、IVR)が普及しつつある。この画下治療のうち、X線等の放射線発生装置を用いる医療行為で、介助者が必要 となる条件下では、主に医療従事者である介助者の断続的かつ長期間の放射線被曝が問題になる。
 
 
般に放射線を用いた医療装置で用いられる放射線は、通常の環境中で常 態的に人体が被曝する放射線に比べて高密度である。放射線を用いた医療装 置はの高密度な放射線量(線量)により、患者の患部に対して高い療 効果与えることが可能にな。しかしながら、患の患部に対する適正な 線量を超えた放射線の過剰照射患部以外の非療部位に対する放射線の 照射は回避しなければならない。このような放射線による負の影響を最小限 に抑えるたに、患者の患部以外の非治療位における線量管理は重要である。
 
 
特に、経皮的冠動脈インターベンション (Percutaneous Coronary Interve ntion: PCI)等のIVRを実施する医療従事者は、治療行において継続 的かつ長期間の放射線被曝に曝される。すると、医療従事者の水晶体等を始 めとする人体の局所箇所に、高い線量の放射線が不均に照射される能性がある。これら人体の局所箇所には、特に放射線の感受性のも存するため、危険である。最悪の場合、白内障等の確定的影響の恐れのあるリスクに

 放
線同位体元素を扱う施設(以下「放射性同位体元素取扱施設」と称す る)や放射線発生装置、あるいは原子力施等におて過酷事故 (severe accident:シビアアクシント)が発生すると、事故現場近傍の作業従事者が不 均等被(男性の胸部、女性の腹部よりも多く被爆しると思しき部位が にある状態)を被る可能性ある。したがって、シビアアクシデントが発 生していない通常の状態において、放射性同位体元素取施設、放射線発生 置、原子力施設等において、様々な放射線の発生や作業従事者に対する被 曝を想定した放射線計測管理切な管理下で継続的に履行される必要がある。

 従来
大型の加速器施設から発生する重粒子線、陽子線等のイオンビームや中性子線、Y線やX線等の医療用放射線におい、近年では歯科レントゲン X発生装に代表されるように小型化や汎用化が進んでいる。この様な汎用化が更に進むことで、より多様な不均等被曝が医療業務従事者、者、者介助者、またこれ以外に当該医療為時に周辺に存在する介在者に生る可能性が高まっている。

 現
在、各個人レベルの外部被曝線量の計測及び管理には個人被曝線量計が用いられている。個人用被曝線にはラジオフォトルミネセンス(Rad io-photoluminescence; RPL)蛍光ガラス線量計、熱ルミネッセンス線量 計(Thermo-Luminescence Dosimeter; TLD)や輝尽発光(Optically Stim ulated Luminescence: OSL)線量フィルバッジ等の積算型線量計がり、箱式線量計及び電子式線計といった半リアルタイムの個人用被曝線量計と合わせて利用されている。これら被曝線量計の運用については法 令に基づいた管理がなされている。日本国内では国際放射線防護委員会(Int ernational Commission on Radiological Protection: I CRP)による1990年勧告を取り入れた放射線障害防止に関する法令が2001年4月1日より施行されており、放射線務従事者の線量限度のうち、個別部位が対象 の等価線量限度として目の水晶体は、年間150mSvという線量基準に従って管理されている。 

 しかしながら、近年、水晶体のしきい線が過小評価されているという見 から、水晶体被曝関する閾値の見直しが進んでる。具体的には、5yから0.5Gyと、従来の1/10の値にすべきである、と議論されてい る。ICRPの2011年勧告において、放射線作業者の水晶体の等線量 限度を年間150mSvから年平均20mSv(単年度では1年間50mS v、5年間では100mSv)への大幅な引き下針が示れた(非特許 文献3、4参照)。今後各国で批准が予定されており、例えば欧州では20 18年に批准が予定されている。このため、日本国内においても水晶体の被 曝管理が極めて厳格に適応される可能性が高まっている。しかしながら現在 様々な現場で使用されている個人被曝線量計は眼部を覆うことが難しく、水 晶体被曝に相当する線を推定する度にとどまっている。このため、現状 の個人用被曝線量計は不均等被曝環境下での利用が推奨されていない。 [0009] 本発明の技術分野に近い先行技術文献を特許文献1、2、3及び非特許文 献1~5にす。 特許文献1には、電磁シールド機能の向上、小型化・軽量化・低コスト 化と、をともに実現するような線量計に関する技術が開示されている。 特許文献2には、医療スタッフの吸収線量を精密管理するための吸収線 量管理装置に関する技術開示されている。 特許3には、眼部水晶体への放射線照量を低減するための眼鏡型構 造体装置に関する技術が開示されている。 特許文献1及び非特許文献2には、防護眼鏡の下で利用が想定される 各種線量計が開示されている。 非特許文献3及非特許文献4には、放射線作業者の水晶体の等価線量限に関する指針が開示されている。 非特許文5には、先行技術に係る放射線量計において、方向依存性に題があるとの報告が記載されている。 特許文献6には、診断用X線に対し、人体を防護す防護衣、防護眼鏡 などの防護具に関する技術情報が記載されている。 

先行技術文献 許文献 

許文献1:特開2005-221463号公報 

特許文献2:特許第5072662号公報 

特許文献3:開2015-152548号公報 

特許文献 
 非特許文献1:Physica Medica: European Journal of Medical Physics , Vo 1.44 ; 2017, pp. 232 – 235非特許文献2 : Scientific Reports Vol. 7, Article number: 569(2017) 特許文献3 : ICRP Statement on Tissue Reactions, April 2011、2018 年4月9日閲覧<http://www.icrp.org/page.asp?id=123> 非特許文献4 : ICRP Statement on Tissue Reactions / Early and Late Effe cts of Radiation in Normal Tissues and Organs – Threshold Doses for issue Reactions in a Radiation Protection Context. ICRP Publication 1 18. Ann. ICRP 41(1/2) (2012).、2018年4月9日覧<http://www.icr p.org/publication, asp?id=ICRP+Publication+118> 非特許文献5: IRSN The eye lens dosimeter DOSIRIS、2018年4月11 日閲覧<http://dosimetre.irsn.fr/en-us/Documents/Product%20files/DOSI RIS%20EN%20WEB.pdf> 

特許文献6 :日本工業格JIS T61331-3 : 2016診断用X線に対する防護用具 第 3 部:防護衣,防護眼鏡及び患者用防護具Protective devices against diagnostic medical X-radiation-Part 3: Protective clothing, eyewear a nd protective patient shields

課題

 ICRPの2011年勧告でなされた水晶体被曝線量限度下限の変更に対し、個人向けの水晶体被曝線量評価手法は完全に確立しておらず、社会的な 課題となっている。人体眼部水晶体の防護においては、JIS T 61331-3に挙げ られる防護衣,防護眼鏡及び患者用防護』の要件に掛かる構造において 主にIVR手技の有無にかかわらず,放曝露環境にいる操作者が装着 しその眼を防護することを目的に、くつかのX線防護眼鏡が開発されている 。鉛による光子減弱を用いて鉛当量を記載した機器以外に特許文献3挙げ られるような構造体をもって線量減弱を謳った機器が存在するが、これらの 機器を通じてどの程度の線量が実際に付与されているかについては計測がな されておらず、特に水晶体での局所の線計測が必要となっいる。 

 このうち国内企業の1社である(株)千代テクノルでは、フランス放射 線防護原子力安全研究所(IRSN)が開発したTLD型線量計DOSIR IS(登録商標)の展開を開始しており、国内の医療現場での治験が開始さ れている(非特許文献2参照)。しかしながら、1点の計測点を利用するD OSIRIS(登録商標)では方向依存性課題があり、患者人体など医療 事者の下部からの線量を正確に評価できていないといった報告もあり(非 特許文献5参照)、水晶体被曝線量を計測するための放射線測定機器としての運に未だ解決できていな問題点が残ると想定される。 

 他方で、歯科診断等におけるハンドヘルドレント装置の実用化など、 レントゲン等の従来技術に用いられる装置の小型化覚しく、これらの実 用化により推定される患者の部以外の被曝リスクも拡大している。医療業 務従事者以外の放射線被曝量管理等は、現状議論も限定的で未整備である。 これは言い換えれば、放射線業務従事者でない患者について、その個人の負 担を小限にしながらかつ線量計測を行き潜在需要が存在することを意 味する。しかしながら、これらに適応可能な、簡便かつ効果的に水晶体への 放射線照射線量を求める効果的な測定方法に必要となる、検出体積ならびに 放射に対して有効な面積が大型でかつ量評価が可能な測定方法を提供できていなという問題があった。 

 医療放射線分野以外にも、水晶体被線量限度は適用されるため、広く原 子力施設で利可能な線計の開発が重要である。しかしながら、多様な場、特にB線やa線を想定計測対象として含めるべき多様な環境では、 防護眼鏡の下で利用が想定されるDOSIRIS先行の各種線( 特許文献1、2参照)で、十分にその線量が評価できず、不均等被曝の量を過小評価する恐れがある。このため、より広範囲の水晶体被曝線量評価に活用能な、眼部水晶体を広範囲でカバーしながら、かつ放射線源と線量計、水晶体間でB線入射についても想定できる造を備えた被爆線量計測の整備が必要である

 つまり
晶体の被曝線量の限度の下限値が従来の5Gyから1/10である0.5Gyと、大幅に引き下げられることが確実な情勢になっている。 この様な状況において、易で迅速かつ正確に被験者の水晶体等の被曝量測できる手段は、現時点では存在していない。 
 
 本
発明は係る状況に鑑みてなされたものであり、簡素な構造で比較的安価実現でき、者の水晶体等の被曝量を迅速かつ正確に計測することが可 能になる、放射線計測体及び放射線被曝量計測装置を提供することを的とする。 

手段

 上記課題解決するために、本発明の射線計測体は、少なくとも一部にを透過可能なドシメータが形成された可視光透過部材と光透過部材を装着者の少なくとも一方の水晶体の近傍に配置する置器具と、過部材と配置器との間に介在して、可視光透過部材を配置器具に固定る可視光透過部材固定具とを具備する。 

効果

 本発明によれば、簡素な構造で比較的安価に実現でき、被験者の水晶体等の被を迅速かつ正確に計測するこが可能にな、放射線計測体及び放 射線被曝量計測装置を提供することができる。 

 上記した以外の課題、構成及び効、以下の実施形態の説により明らかにされる。 

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特許情報

PCT/JP2019/032227

WOA1020036232-000000