熱中症の予防、軽減及び/又は治療のための組成物

2022.09.27 By 東洋大学

医学

技術概要

・熱中症の予防、軽減、治療するための機能成分として特許登録済
・カンキツ系の植物由来の機能成分のため、ゼリー・サプリメント・飲料・アイス等様々な食品に添加可能

用途・応用

医薬品、ヘルスケア産業

背景

 熱中症は、日光や気温等により体の体温・体液調節機能が障害を受け、体の中の熱が放出できなくなる状態を指す。熱中症は、軽度から重度まで3段階に分かれており、軽度の症状として、めまいや失神、筋肉の硬直等による熱けいれんが起こる。中等度では、頭痛や嘔吐、下痢等の症状が重なり合って起こり、従来の熱疲労と云われている。重度では、意識障害や過呼吸、運動障害等と中等度の症状が重なり合って起こる症状であり、従来の熱射病と云われている。原因としては、環境的・身体的な要因が考えられるが、熱中症が重度化した際には、再発しやすくなることも報告されている。しかしながら、温暖化などによる気候変動のために、また一部には熱中症に対する有効な予防・治療薬がないために、熱中症患者は増加傾向にあり、深刻な社会問題となっている。また、熱中症について、夏場だけではなく年間を通して緊急搬送される患者がおり、特に高齢者や乳幼児が多くなっている。

 熱中症の原因の一つに暑熱ストレスによる影響が提案されている。暑熱ストレスは、体内の体温が上昇することにより生体に様々な機能障害を及ぼすストレスのことである。生体内で暑熱ストレスを受けることによって、体温調節、体液バランス、血液循環調整などの身体恒常性が破綻する結果、血管に障害を与え、血管内皮細胞が暑熱ストレスを受け、細胞内で代謝障害が起きると考えられている。このことが原因となって組織や細胞が酸欠状態及び栄養不足に陥り、機能障害のために重篤の熱中症を引き起こすと云われている。
そのため、熱中症に対する従来の予防法である水分補給や塩類(ナトリウム、マグネシウムなど)と糖類の補給に加えて、新たな予防・治療薬の開発、対処療法などの対策が希求されている。

 これまで報告された熱中症の予防・治療剤として、例えば、α-リノレン酸を含む油脂組成物を含有する熱中症予防剤、トレハロースを有効成分として含有する家畜の暑熱ストレス軽減剤、酒粕と米麹を少なくとも含有する暑熱ストレス軽減組成物)、アスタキサンチンと乳カゼイン加水分解物を併用する暑熱ス ト レ ス (h e a t s t r e s s )症 状 の 予 防 ・ 治 療 法  な ど が 開 示 さ れ て
いる。 

課題

 上記のとおり熱中症発症の要因の一つとして、暑熱ストレスに曝された血管に障害が生じることにより発生する、組織や細胞における酸欠・栄養不足に伴う組織・細胞機能障害が考えられるため、新たな予防・治療薬、対処療法等が求められている。

 そこで本発明は、暑熱ストレスによる血管内皮細胞等の細胞の代謝障害や機能障害などの細胞障害を予防、軽減及び/又は治療することを含む、新たな熱中症の予防及び/又は治療方法を提供することを目的とする。

手段

 本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、オーラプテン、タンゲレチン及び中鎖脂肪酸からなる群から選択される少なくとも1つの物質を暑熱ストレスの条件下にある培養血管内皮細胞や培養血液細胞(例、リンパ球、白血球、等)に添加することによって、暑熱ストレスが血管内皮細胞等の細胞に及ぼす代謝障害、機能障害、細胞死などの細胞障害、並びに、暑熱ストレスの負荷による血液細胞からの発熱誘発炎症性サイトカインの産生及び放出を低減することができることを見出し、オーラプテン、タンゲレチン及び中鎖脂肪酸からなる群から選択される少なくとも1つの物質が暑熱ストレスによる上記細胞障害を抑制し、及び/又は暑熱ストレスの負荷による血液細胞からの発熱誘発炎症性サイトカインの産生及び放出を減少させることによって熱中症を予防、軽減及び/又は治療できることが判明し、本発明を完成させるに至った。

 すなわち、本発明は、以下の特徴を有する。
[1]オーラプテン、タンゲレチン及び中鎖脂肪酸からなる群から選択される少なくとも1つの物質を有効成分として含む、被験体において熱中症を予防、軽減及び/又は治療するための組成物。
[ 2 ] 熱 中 症 が 、 暑 熱 ス ト レ ス の 負 荷 に よ る 血 管 内 皮 細 胞 の 細 胞 障 害 を 含 む 、 [1 ]に 記 載の組成物。
[3 ]熱 中 症 が 、 暑 熱 ス ト レ ス の 負 荷 に よ る 血 液 細 胞 か ら の 発 熱 誘 発 炎 症 性 サ イ ト カ イ ン の産 生 及 び 放 出 に 伴 う 異 常 を 含 む 、 [1 ]又 は [2 ]に 記 載 の 組 成 物 。
[4 ]暑 熱 ス ト レ ス の 負 荷 に よ る 血 管 内 皮 細 胞 の 細 胞 障 害 を 抑 制 す る 作 用 、 脂 質 代 謝 を 増 加させる作用、並びに、暑熱ストレスの負荷による血液細胞からの発熱誘発炎症性サイトカ
インの産生及び放出を減少させる作用からなる群から選択される少なくとも1つの作用を
有 す る 、 [1 ]~ [3 ]の い ず れ か に 記 載 の 組 成 物 。
[5]被験体が、恒温動物である、[1]~[4]のいずれかに記載の組成物。
[6]恒温動物が、ヒト、家畜動物又はペット動物である、[5]に記載の組成物。
[7]オーラプテン及び/又はタンゲレチンが、合成物であるか又は、カンキツ類の植物
原料の抽出物に由来する、[1]~[6]のいずれかに記載の組成物。
[8]植物原料が、果実である、[7]に記載の組成物。
[9]オーラプテンが、合成物であるか又は、ナツミカン、ハッサク、グレープフルーツ
、ユズ、カボス、及びブンタンから選択される少なくとも1種のカンキツ類の果実抽出物
に由来する、[7]又は[8]に記載の組成物。
[10]タンゲレチンが、合成物であるか又は、ポンカン及びシイクワシャーから選択さ
れる少なくとも1種のカンキツ類の果実抽出物に由来する、[7]又は[8]に記載の組
成物。
[1 1 ]中 鎖 脂 肪 酸 が 、 中 鎖 脂 肪 酸 油 ( M C T ) で あ る 、 [ 1 ] ~ [ 8 ] の い ず れ か に 記 載の組成物。
[12]飲食品又は医薬品である、[1]~[11]のいずれかに記載の組成物。
[13]動物飼料又は飼料添加物である、[1]~[11]のいずれかに記載の組成物。
[14]被験体に[1]~[13]のいずれかに記載の組成物を投与する又は給与することを含む、被験体において熱中症、或いは暑熱ストレスの負荷による血管内皮細胞の細胞障害及び/又は暑熱ストレスの負荷による血液細胞からの発熱誘発炎症性サイトカインの産生及び放出に伴う異常、を予防、軽減及び/又は治療するための方法。

 本明細書は本願の優先権の基礎となる日本国特許出願第2017-184343号の開
示内容を包含する。 

効果

 本発明によれば、被験体に対しオーラプテン、タンゲレチン及び中鎖脂肪酸からなる群から選択される少なくとも1つの物質を投与又は給与することにより暑熱ストレスによる血管内皮細胞等の細胞の細胞障害を抑制すること、及び/又は、暑熱ストレスの負荷による血液細胞からの発熱誘発炎症性サイトカインの産生及び放出を減少させることができるため、新しいタイプの熱中症対策を可能にする。

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特許情報

特許第6557893号

JPB 006557893-000000