超高感度バイオマーカーの合成・分析技術

2022.08.03 By 上智大学

医学

技術概要

弾性線維エラスチンの分解を伴う疾患において、エラスチン分解ペプチドやアミノ酸は疾患のバイオマーカーとして期待されている。当研究室では、LC-MS/MSを用いた高感度なバイオマーカー分子デスモシンの定量分析が可能である。また、有機合成化学を基盤としたChichibabinピリジン合成により、効率的なデスモシン類の合成を達成した。併せて、セルロース溶解性イオン液体を抽出溶媒とすることで、従来法よりも植物葉に含まれる生物活性天然有機化合物の効率的な抽出・単離技術も開発した。

用途・応用

植物葉に含まれる天然有機化合物の高効率的獲得、COPDバイオマーカーによる新規診断、アフリカ睡眠病等の治療薬の開発

背景

 慢 性 閉 塞 性 肺 疾 患 ( Chronic Obstructive Pulmonary Disease: C O P D ) は 、 気 管 支炎 や 肺 気 腫 な ど の 病 気 の 総 称 で あ る 。 世 界 保 健 機 関 ( W orld Health Organization: W HO)によると、現在死亡原因の第4位を占めており、2020年までに第3位に浮上すると警告している。COPDについては、そもそもの病態が極めて複雑で未知の部分が多く、根本的治療薬すら存在しない。今世紀、発展途上国での喫煙者の増加や産業発展による大気汚染により、世界規模でのCOPD患者の急増が危惧されているため、迅速かつ簡便な検査法の確立が至上命題となっている。

 COPD患者の痰・血液・尿を加水分解処理し、高速液体クロマトグラフ-質量分析計( Liquid Chromatography‑M ass Spectrometry: L C - M S ) で 分 析 す る と 、 肺 胞 の 伸 縮を司る弾性繊維エラスチンの架橋アミノ酸であり下記式(ダウンロード資料に記載)に示されるデスモシン(化合物1)およびその異性体であり下記式に示されるイソデスモシン(化合物2)が観測される。健常者と比べて、COPD患者におけるそれらの存在量が異なることから、デスモシン類はCOPDのバイオマーカーとして有望視されている。

【先行技術文献】
【非特許文献】
【 非 特 許 文 献 1 】 Toyonobu Usuki他 7 名 、 「 Total synthesis of COPD biomarker desmosine that crosslinks elastin」 、 Chem. Commun.、 2 0 1 2 年 、 4 8 号 、 3 2 3 3 - 3 235ページ
【 非 特 許 文 献 2 】 Hiroto Yanuma他 1 名 、 「 Total synthesis of the COPD biomarker desmosine via Sonogashira and Negishi cross‑coupling reactions」 、 Tetrahedron Lett.、2012年、53号、5920-5922ページ

課題

 しかし、生体内に含まれるデスモシン類の絶対量が微量であるため、LC-MS/MS( Liquid Chromatography- tandem M ass Spectrometry) 等 に よ る 厳 密 な 定 量 分 析 の た めには、内部標準物質の添加が必要となっている。このため、デスモシン類の標準物質として用いられる化合物が容易に合成できるとよい。デスモシンの全合成に関する技術として、非特許文献1および2に記載のものがある。

 本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、新規なデスモシン類似体を提供するものである。

手段

本発明によれば、
 下記一般式(I・ダウンロード資料に記載)に示される化合物が提供される。

(上記一般式(I・ダウンロード資料に記載)中、R 1は、炭素数2以上6以下のアルキレン基であり、R 2は炭素数1以上4以下のアルキレン基であり、R 3は、炭素数2以上6以下のアルキレン基である。ここで、R 1がトリメチレン基であり、R 2がジメチレン基であり、かつ、R 3がテトラメチレン基であることはない。)

効果

 本発明によれば、新規なデスモシン類似体を提供することができる。

問い合わせ・詳細資料閲覧

特許情報詳細や資料のダウンロード等については無料会員登録後に閲覧していただけます。

本研究に関するご質問や、話を聞いてみたいなどご興味をお持ちになりましたら、是非お気軽に以下のフォームにお問い合わせください。

この記事は会員専用です。
会員登録すると続きをお読みいただけます。

(残り 56文字)

パスワードを忘れた場合はこちら