インプラント周囲炎を治療する口腔清掃器の開発

2023.02.13 By 昭和大学歯周病学講座 教授 山本 松男

機械工学

研究者情報

歯周病学講座 教授
山本 松男

関連キーワード

超音波、粒子加速度、バイオフィルム 、インプラント、歯科治療

シーズ内容や、それに関する特許などの情報について

1.微細な凹凸部に入り込んだ歯垢の除去
 流水式超音波洗浄装置の原理は、流水に付与した超音波エネルギーにより水分子が加速され(粒
子加速度)、物質表面から汚れを剥離させることである。周波数が高いほど効果があり、付着力の弱い微細な汚れの剥離に有効である。加速度は周波数の倍数の 2 乗に比例して大きくなり、波長も小さくなり、より微細な汚れに対して有効になる。また、本技術は「特許登録番号第 2521730 号」「超音波洗浄装置」において権利化している技術である。この原理をもとに生体硬組織表面の汚れ、すなわち微生物除去に最適な装置の開発をすすめてきた。

2.薬物を使用しない
 競合製品となる歯面清掃器は、重炭酸ナトリウムやグリシンのパウダーを必要とするが、本装置は水道水もしくは生理的食塩水のみを使用するという点で、生体や環境にも負荷が小さく、かつ運用コストが極めて低い。

3.除去面や表面を傷つけない
 超音波スケーラーのような金属や樹脂チップを接触させて歯垢を除去する装置は、チップにより除去面を傷つけてしまう。傷痕には歯垢が付着しやすく、結果としてインプラント周囲炎を再発しやすくしてしまう。本装置は流水による接触のため、インプラント表面を傷つけることなくバイオフィルムのみを除去できる。
 【発明の名称】流水式超音波口腔洗浄装置、及び流水式超音波口腔洗浄方法「特許第 5786166号 WO2013012021A1」で特許を取得している。

想定される産業への応用

〇 インプラント植立手術は、国内 30 歳以上の成人において 50 人に 1 ~ 2 人が受けているほど一般的な歯科治療に成長し、インプラント関連製品の市場規模はこの10年間にも順調な推移を示している。一方で、インプラント埋入患者が増加する中、インプラントの機能後 5 年でインプラント周囲炎が 28%、5 ~ 10 年で 28~ 54%も発症していると報告がある。インプラント周囲炎はインプラント体表面に歯垢細菌が付着感染し、生じた炎症により周囲骨組織が破壊される疾患である。治療では、超音波スケーラーで歯垢除去をするが、インプラント体表面は数十μ m オーダーの小孔で形成されているため,微細レベルの効率的除去は困難で国内外で喫緊の課題である。そこで本製品化の目的としては、国内外問わず、インプラント周囲炎の予防および治療を可能とする歯科用医療機器の開発を行い、インプラントメインテナンス機器のスタンダード製品として定着させることである。薬事申請としては、「歯科用多目的超音波治療器(クラスⅡ)」の改良医療機器が対象と考えられる。

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