浮遊する移動体、この移動体を備えた撹拌装置

2022.10.20 By 東京電機大学

機械工学

技術概要

本技術は、搭載する駆動系・電力系・通信系・制御系モジュールを完全密閉の外殻内に搭載し、外殻の運動によって推進力を得るとともに、外殻内に雰囲気と比べて比重の低い気体を封入することで浮力を得て、流体(液体・気体)中を浮遊移動するロボットである。

用途・応用

・空中・海中・宇宙探査用移動体
・自律式内視鏡カプセル

背景

 液体中または気体中を浮遊し、かつ移動する移動体は、広汎な利用が想定されることから、様々な技術が提案されている。例えば、潜水艦・深海探査機や気球・飛行船に係る浮遊かつ移動技術が該当する。これらの移動体において移動するための動力を得るには、外側に設けられたプロペラ等の可動部分を備えることが一般的である。この構成では、可動部分と接触する軸受やシール等の静止部分との間に摩擦・摩耗が生じ、この摩擦・摩耗によって、シーリングの劣化や、摩耗粉の発生のおそれがあった。そして、シーリングの劣化は移動体に対して外的環境の影響を及ぼし、摩耗粉の発生は逆に外的環境に対して影響を及ぼす可能性があった。

 移動体の外環境の影響を受けない、もしくは外環境に影響を与えない、という特徴を有することは浮遊移動体の利用範囲をさらに広げる可能性がある。例えば、異物の混入を防止することが要求される医薬・バイオ・ファインケミカルなどの製造における撹拌・混合において、この特徴を活かした浮遊移動体を撹拌機とすることで高品質の製造が可能となる。

 一方、狭い場所で作業を行なうロボットや、安全性や気密性の要求が高いクリーンルーム内や水中内での作業を行なうロボット、家庭内で人と共存できる機動性の高いパーソナルロボットなどの走行装置として、密閉した外殻を有した移動体の技術が提案されている。

【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】特開2007-020387
【特許文献2】特開平07-285475
【特許文献3】実用新案登録第3116275号

課題

 し か し な が ら 、 特 許 文 献 1に て 開 示 さ れ た 非 接 触 撹 拌 装 置 の 技 術 は 、 撹 拌 槽 の 外 部 に 動
力源を配し、バルク超伝導体にて槽内の撹拌翼を磁気浮上させるとともに回転させるものであり、期待される作用効果を奏するものの、材料・設備等が複雑になる可能性があった。

 また、特許文献2,3にて開示された密閉した外殻を有した移動体の技術は、密閉容器の内部に、外殻とは独立した運動体を備えることで、移動体自身の重心移動、揺動を利用して推進力を得るものであり、液体中・気体中における浮遊移動に対して効率的とはいえなかった。

 本発明は、前記背景におけるこれらの実情に鑑みてなされたものであり、液体中もしくは気体中を浮遊する移動体、さらにはこの移動体を備えた撹拌装置を提供することをその目的とする。

手段

 本発明は、液体中もしくは気体中に浮遊して移動する移動体である。本発明の一態様は、液体中にあっては水密もしくは気体中であっては気密の円筒形または球形の回転殻と、該回転殻内に格納される回動制御装置と、を備え、該回動制御装置が、前記円筒の軸方向もしくは前記球の中心を通る軸方向に延在する前記回転殻の回転軸と、該回転軸を回転させる駆動部と、を有し、前記回転殻と前記回動制御装置とが前記回転軸によって軸架されている構成としている。

 前記構成は、回りにくさの指標となる慣性モーメントに注目して創出された。例えば、一つのスクリューを備えたモーターボートを考えると、スクリューと比べて船体の慣性モーメントは極めて大きい。そして、船体を回転させるためには水の抵抗も負荷されることから、船体の回りにくさはさらに増加する。そのため、スクリューを回転させても、船体は回転せず、スクリューの翼が水をかくことで推進力を得ている。

 本構成は、この考え方を応用し、水密・気密容器となる回転殻とこの回転殻と回転軸のみで連結された回動制御装置とし、両者の慣性モーメント(回りにくさ)、角運動エネルギの差によって、回転殻(外殻)が回動制御装置(中身)よりも絶対座標において高回転となるようにしている。

 このような構成とすることで、浮遊移動体は外環境に対して露出する部分が回転殻(外殻)のみとなり、外殻の材料選択だけで容易に耐環境性を備えることができる。そして、回転殻の回転によって、外環境となる液体もしくは気体との摩擦を生じ、推進力や撹拌力を発生させることができる。

効果

 本発明は、液体中もしくは気体中を浮遊する移動体、さらにはこの移動体を備えた撹拌装置を提供することができる。

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特許情報

特願2019-088728

JPA 2020182914-000000