衝撃吸収材および撃吸収材の製造方法

2022.10.06 By 明治大学

機械工学

技術概要

衝撃吸収性能を向上させつつ、一端側から変形しやすい衝撃吸収材を提供する

用途・応用

自動車等の衝撃吸収

背景

 従来から、自動車等の車両において衝突時の衝撃を吸収するための衝撃吸収材として、クラッシュボックスと呼ばれる部材が強度部材であるサイドメンバーと、外装部材であるバンパー等の間に設置されている。クラッシュボックスは、外装部材が他の車両や電柱やガードレール等の構造物に接触した場合に、サイドメンバーよりも先に座屈して変形することで、サイドメンバーへの衝撃の伝達を抑制するものである。このようなクラッシュボックスに使用可能な衝撃吸収部材に関して、下記の特許文献1,2に記載の技術が公知である。

 特許文献1(特開2006-123887号公報)には、クラッシュボックスにおいて、断面形状が矩形(四角形)ではなく、八角形の断面において、八角形の互いに平行な一対の第1辺の長さaと、第1辺に直交する一対の第2辺の長さbと、第1辺どうしの距離(間隔)Bと、第2辺どうしの距離Aと、について、0.4≦a/A≦0.8、且つ0.2≦b/B≦0.7とすることが記載されている。また、クラッシュボックスの長手方向に対して、所定の間隔をあけて外側から内側に凹んだビード形状も形成されている。

 特許文献2(特開2002-104107号公報)には、蛇腹部(23)を有するクラッシュボックス(20)を製造する際に、まず、八角筒状のパイプ(45)内部に加圧液体を封入した状態で上型(41)と下型(42)を外側から押し付けて蛇腹部(23)の外形形状を予備成形する。予備成形の後に、加圧液体の圧力を本成形圧(Ps2)させて、パイプ(45)を内側から膨らませる形で型(41,42)にパイプ(45)を
押し付ける本成形を行って、クラッシュボックス(20)を製造することが記載されている 。

【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】特開2006-123887号公報(請求項1、請求項2、「0023」-「0037」、図1、図2、図5、図6)
【特許文献2】特開2002-104107号公報(「0019」-「0021」、図4) 

課題

(従来技術の問題点)
 クラッシュボックスは、車両の衝突時等に変形してサイドメンバー(本体のフレーム)の変形を抑制するためのものであるが、衝突が軽度であれば、外装とクラッシュボックス部分だけを交換すれば修理が容易になるため好ましい。クラッシュボックスをサイドメンバーから取り外す場合に、クラッシュボックスの先端側(外装側)が変形していれば取り外し作業は容易であるが、根元側(サイドメンバー側)が変形していると取り外し作業は難しくなる。したがって、クラッシュボックスは、変形する場合は先端側から変形していくことが好ましく、根元側から変形するとクラッシュボックスが変形しきる前にサイドメンバーが変形する恐れもある。

 特許文献1に記載の技術では、矩形の四つ角が面取りがされた形状に相当し、四角形状よりもエネルギー吸収効率が向上しているが、八角筒状であり、ビード形状が形成されている部分のどこから変形していくのかが現実には予測しにくい問題がある。すなわち、クラッシュボックスの根元側から変形し始める恐れもある。

 特許文献2に記載の技術のように、複数段の凹凸が繰り返される蛇腹状の形状の場合、衝撃を吸収する際に、複数の凹凸の中のどの部分から変形していくのかその都度異なる可能性が高く、クラッシュボックスが先端側から変形するかどうかは不確実である。特に、複数段の凹凸が軸方向に均等に変形すれば問題ないが、現実には斜め方向からの衝突もあって均等な変形は難しく、軸方向に斜め、すなわち、クラッシュボックスの長手方向に対して倒れるように折れ曲がるような状態になる恐れもある。この時、根元側と先端側で倒れる方向が異なることもあり、その場合、クラッシュボックスが想定していた衝撃吸収性能を発揮できない問題もある。

 本発明は、従来の衝撃吸収材に比べて、衝撃吸収性能を向上させつつ、一端側から変形しやすい衝撃吸収材を提供することを技術的課題とする。

手段

 前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明の衝撃吸収材は、一端から他端に向けて延びる筒状の本体部であって、一端側から他端側に行くにつれて断面積が大きくなる前記本体部を有する衝撃吸収材であって、前記一端側から他端側に向かう軸線に対して垂直な前記本体部の断面において、矩形(矩形断面)と前記矩形(矩形断面)に内接する楕円に対し、矩形(矩形断面)の中央を中心として予め定められた角度をあけて矩形(矩形断面)の縁に向けて延びる複数の仮想線分に沿って、前記楕円の縁から前記矩形(矩形断面)の縁よりも内側の区間に設定された点どうしを結ぶ断面形状を有する、ことを特徴とする。

 請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の衝撃吸収材において、前記一端から他端に沿って予め定められた間隔をあけて、段部が形成された、ことを特徴とする。

 前記技術的課題を解決するために、請求項3に記載の発明の衝撃吸収材の製造方法は、一端から他端に向けて延びる断面が矩形状の筒状の本体部に対し、前記一端側から他端側に向かう軸線に対して垂直な前記本体部の断面において、矩形(矩形断面)と前記矩形(矩形断面)に内接する楕円に対し、矩形(矩形断面)の中央を中心として予め定められた角度をあけて矩形(矩形断面)の縁に向けて延びる複数の仮想線分に沿って、前記楕円の縁から前記矩形(矩形断面)の縁よりも内側の区間に設定された点どうしを結ぶ断面形状となるように、前記本体部を外方から圧縮して変形させる加工を行って衝撃吸収材を製造することを特徴とする。

 請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の衝撃吸収材の製造方法において、一端から他端に向けて延びる断面が矩形状の筒体の両端部を保持し、中空の前記筒体の内部に液体を充填させた状態で、前記本体部の外形に対応する内面形状を有する型を前記筒体の外表面に押し当てて、前記筒体から前記衝撃吸収材を製造することを特徴とする。

効果

 請求項1,3に記載の発明によれば、従来の衝撃吸収材に比べて、衝撃吸収性能を向上させつつ、一端側から変形しやすい衝撃吸収材を提供することができる。
 請求項2に記載の発明によれば、段部を中心として応力集中が発生する際に、先端側の段部から順に変形しやすい。
 請求項4に記載の発明によれば、内部に液体を充填させない場合に比べて、外形形状を精度よく形成することができる。

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特許情報

特願2019-214428

JPA 2021085462-000000