探査用又は生活支援用等のロボットに搭載する減速装置

2022.10.06 By 明治大学

機械工学

技術概要

簡易な構造であるため、振動や衝撃に対する耐性が高く、長期間の使用による破損・変形にも強い。減速機構の大きさについても、必要な寸法への設計が容易である。

用途・応用

ロボット、製造装置

背景

 従来、火山性ガス等の化学物質が充満する地帯や惑星での探査及び作業には、走行環境や路面の状況に応じて車両型、クローラ型、脚移動型等のロボットが活用されている。このようなロボットには、仕様に適合したマニピュレータ、駆動機構、センサ等が搭載されている。

 特に探査用又は生活支援用等の低速による確実な動作を要するロボットには、仕様に適合する減速比を持つ減速装置が搭載されている。このような減速装置の一つに、不思議遊星歯車機構がある。不思議遊星歯車機構は、入力軸に取り付けられた太陽歯車と、該太陽歯車に噛み合う遊星歯車と、該遊星歯車に噛み合い、且つ互いに歯数の異なる固定内歯車と可動内歯車と、を備えた差動歯車機構である。入力軸を回転させると、太陽歯車を介して遊星歯車が公転し、可動内歯車及び可動内歯車に取り付けた出力軸が減速して回転する。

 例えば、特許文献1には、固定内歯車と、可動内歯車と、前記固定内歯車に噛み合う第1遊星歯車と前記可動内歯車に噛み合う第2遊星歯車とを同軸として固着させた結合歯車と、を備えた減速装置が開示されている。
 この減速装置では、固定内歯車の回転は、外装体に対して固定されている。固定内歯車と可動内歯車との歯数差は1とされ、第1遊星歯車と第2遊星歯車の歯数は同一とされている。第1遊星歯車の歯形の位置に対する第2遊星歯車の歯形の位置関係は相違している。また、第1遊星歯車は固定内歯車だけではなく太陽歯車に噛み合う。太陽歯車と固定内歯車の歯数は、各歯車の噛み合い条件に適合する歯数とされている。そして、第2遊星歯車は太陽歯車と噛み合っていないので、前記噛み合い条件に拘泥する必要がない。第2遊星歯車の歯の位置は可動内歯車の歯に噛み合う位置で第1遊星歯車に固着されている。
 従って、第1遊星歯車が公転すると、可動内歯車が可動内歯車と固定内歯車との歯数差分に相当する角度だけ回転し、この可動内歯車の回転が減速装置の出力となる。

【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】特開2005-16695号公報

課題

 しかしながら、上記特許文献1に記載の減速装置では、径方向の中心に太陽歯車が配備される構成上、軸線方向の厚み寸法が大きくなってしまう。従来の産業用ロボット等の用途では、前記軸線方向の厚み寸法が大きいことは問題視されていなかった。

 本発明者らは、屋外で探索や作業等を行うロボット(以下、屋外ロボットと記載する)等の移動性能を高め、屋外ロボットによって確実な動作を実行させるためには、関節部分の設計自由度を確保することが重要であることを見出した。そして、本発明者らは、軸線方向の厚み寸法の大きい不思議遊星歯車機構等の従来の減速装置では充分な設計自由度が得られず、従来の減速装置が屋外ロボット等の用途には適さないことを新たに見出し、本発明を完成させるに至った。即ち、本発明は軸線方向の厚み寸法を低減可能な減速装置を提供する。

手段

 本発明の減速装置は、外装体に固定されている第一歯車と、前記第一歯車と噛み合い、前記第一歯車の径方向の中心軸と同軸を中心に公転する第一遊星歯車と、前記第一遊星歯車と連動可能に設けられた入力軸と、前記第一遊星歯車と同期して公転する第二遊星歯車と、前記第二遊星歯車に噛み合い、前記第二遊星歯車の公転によって前記第二遊星歯車の公転の軸と同軸を中心に自転すると共 に 前 記第一歯車と異なる歯数を有する第二歯車と、前記第二歯車に接続されている出力軸と、 前 記 入 力 軸 に 設 け ら れ 、 前 記 第 一 遊 星 歯 車 及 び前 記 第 二 遊 星 歯 車 に 噛 み 合 う 補 助 歯 車 と 、 を備えていることを特徴とする。

 上記の「同期して公転する」とは、一方の歯車が他方の歯車と互いに相対関係を有して公転することを示し、その相対関係は特に制限されない。

 上記の「同期して公転する」形態としては、例えば第一歯車の径方向の中心軸と、第一遊星歯車の径方向の中心軸と、第二遊星歯車の径方向の中心軸とが互いに同一平面上に配置された形態が挙げられる。また、例えば第一歯車の径方向の中心軸と第一遊星歯車の径方向の中心軸とが通る平面と、第一歯車の径方向の中心軸と第二遊星歯車の径方向の中心軸とが通る平面が所定の角度をなし、該角度が保持されている形態が挙げられる。

 本 発明の減速装置において、前記入力軸には該入力軸の軸線方向に貫通する貫通孔が形成されていてもよい。
 また、本発明の減速装置は 、 駆動部を備え、該駆動部が前記貫通孔に配置されていてもよい。

効果

 上記減速装置において、入力軸を回転させると、第一遊星歯車が第一歯車の径方向の中心軸と同軸を中心に公転する。続いて、第一遊星歯車の公転に同期して第二遊星歯車が第二歯車の径方向の中心軸と同軸を中心に公転し、それによって第二歯車が回転する。第二歯車の歯数は第一歯車の歯数と異なるため、第二歯車の回転が出力軸に伝達されて取り出された際に、入力軸の回転に対する減速比が得られる。本減速装置は従来の不思議遊星歯車機構の必須構成要素である太陽歯車を有しておらず、各構成部材が外装体に固定又は支持されている。そのため、従来は第一遊星歯車の公転中心に配置されていた太陽歯車や支持部材等が不要となり、軸線方向における減速装置の厚み寸法が縮小される。
 従って、本発明によれば、軸線方向の厚み寸法を低減可能な減速装置が得られる。

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特許情報

特許第6418689号

JPB 006418689-000000