任意形状の曲面をロボットで表現するために

2022.08.17 By 信州大学

機械工学

技術概要

数学におけるCircle Packing Mesh理論と細胞の力学に関する知見を取り入れた、曲面を表現可能なロボットを提案する。本ロボットは、表面と裏面で独立に半径可変な円錐台型のアクチュエータを多数連結することで構成され、本アクチュエータの表面と裏面の半径差により本ロボットの形状を制御する。

用途・応用

曲面を表現可能なロボット

背景

 複数の小型ロボットが移動する、または互いに接続・分離を行うことで集合体の形態が変化する、いわゆるモジュラーロボットが古くから提案されている。その一方で自然界での形態変化として生物の発生に伴う変化を研究し将来ロボットに応用する研究も進められている。例えば、多くの生物が球殻(胞胚)の状態から恣意的な外界の力を必要とせず複雑で多種多様な形態を形成する点について、興味を持っている研究者は少なくない。

 また、カブトムシの角のような一層の上皮シートの複雑な折り畳みからなる形態形成があり、この原理を明らかにするため実験およびシミュレーション両面から研究が行われている(非特許文献1)。特に、近年の上皮シートの三次元モデルを用いた研究結果によって、細胞アピカル面の収縮、細胞の伸長と移動、基底面の弾性と粘性等が重要であることがわかっている(非特許文献2)。

 また、数学分野の離散微分幾何では三角メッシュを基本とした円形メッシュの構成法としてSchiftnerらの提案したCircle Packing Mesh(CPM)理論(非特許文献4)が知られている。

 一方、モジュラー型ロボットとしては、例えば、個々の小型ロボットが回転型のアクチュエータと連結機構を有し、複数の小型ロボットが互いに連結して任意の形状と動きを実現させた例がある(特許文献1、特許文献2)。また、正三角形の3辺すべてに回転型アクチュエータを設けた小型ロボットを折り紙のように繋いで任意の曲面形状を近似的に形成できるモジュラー型ロボットも提案されている(非特許文献3)。

【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】特開2003-103063号公報
【特許文献2】米国特許US6568869
【非特許文献】
【非特許文献1】M. Imai et al. "Three-dimensional morphogenesis of MDCK cells induced bycellular contractile forces on a viscous substrate", Scientific Reports, 2015.
【非特許文献2】S. Okuda et al., "Apical contractility in growing epithelium supports robust maintenance of smooth curvatures against cell-division-induced mechanical disturbance", J. Biomech., 2013.
【非特許文献3】C. H. Belke and J. Paik, "Mori: A Modular Origami Robot", Trans. Mechatronics, 2017.
【非特許文献4】A. Schiftner et al., "Packing circles and spheres on surfaces", Proc. of ACM SIGGRAPH, 2009.

課題

 しかしながら、上記特許文献1、2の技術では、個々の小型ロボットのアクチュエータ動作が一軸回動に限られ、しかもアクチュエータを介して小型ロボットは一次元方向にしか拡張できないため、実現可能なモジュラー型ロボットとしては、いわゆる蛇型か、複数の蛇型の組み合わせにならざるを得なかった。

 また、非特許文献3の技術は、二次元的な拡張性はあっても、三角形の辺の長さがすべて固定されているため、実現可能な形状が制限される。もし、各辺が任意に変えられた場合、三角形はFEM解析に見られるように任意の曲面を構成することができる。しかし、このような三辺独立に長さが変えられる三角形ロボットは、実現出来たとしても、構造が非常に複雑になることは避けられない。

 さらに医療用、例えば手術時に内臓の形状に合わせて形状が変化するような圧排器具への応用を考えたとき、三角形メッシュでは頂点の角によって臓器を損傷させる可能性が高い、といった実用上の課題が生じる。そこで、本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行い、新たな知見を見出すに至った。

手段

 本発明に係る小型ロボットは、概円盤形状を有し、前記概円盤形状の径を変化させる膨張収縮型アクチュエータと、前記膨張収縮型アクチュエータの外周に設けられ、前記径の変化に応じて 全 周 が 伸 縮 し、しかも均等にまたは均一に結合部材が設けられた概円環状の伸縮型結合部を含む。

 前記概円盤形状は、軸対称形または8角以上の回転対称形であってもよい。

 前記膨張収縮型アクチュエータは空気圧により前記概円盤形状の径を変化させてもよい。

 前記伸縮型結合部における前記結合部材は回動可能に設けられた永久磁石であってもよい 。

 前記伸縮型結合部は前記複数の結合部材が弾性体により連結されてなるものであってもよい。

 本発明に係る小型ロボットは、それぞれ概円盤形状を有し、前記概円盤形状の径を変化させる膨張収縮型アクチュエータと、前記膨張収縮型アクチュエータの外周に設けられ、前記径の変化に応じて 全 周 が 伸 縮 し、しかも均等にまたは均一に結合部材が設けられた概円環状の伸縮型結合部を含む、複数の小型ロボットユニットが、各々の中心部において固定されて成る。

 本発明に係るメッシュ型ロボットは、前記小型ロボットが複数集合してなるメッシュ型ロボットであって、前記各小型ロボットは他の小型ロボットと各々の伸縮型結合部を介して結合している。

効果

 本発明によれば、極めてシンプルな構造で実現でき、さらに集合することで内部に空洞を保ちつつ曲面を構成するロボットを実現することができる。

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特許情報

特許7017234 (特願2018-059705)

JPB 007017234-000000