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磁気力を利用して浮上対象物を非接触支持する磁気浮上装置に関し、横ずれ方向の振動の制振機能を有し、小型、且つ、低コストで構成できる磁気浮上装置と、その制御方法を提供する。
磁気浮上
磁気浮上系は、非接触で物体を支持することが可能であり、機械的摩擦がないため振動や騒音が少なく、また、潤滑を必要としないため、潤滑油の蒸発を嫌う真空中やクリーンルームなどの特殊環境下でも使用できる。
磁気浮上の方式には、磁石同士の反発力を利用する反発型や、磁石と強磁性体の吸引力を利用する吸引型などがある。
図17(a)は、一対の電磁石10の間に在る強磁性体11が、上下の電磁石10の磁力により吸引され、電磁石間に非接触支持されている様子を示している。この強磁性体11の上下方向の位置は、上下の電磁石10に印加する電流を制御し、それらの電磁石10から発生する磁力を調整することにより安定的に保つことができる。
この強磁性体11に対し、図17(b)に示すように、一対の電磁石10の配列方向と直交する方向の外力が加わると、非接触支持されている強磁性体11は、押された方向に移動(横ずれ)する。このとき、電磁石10から外れた強磁性体11の端部には、図18に示すように、吸引力Bの成分とともに、横ずれを元に戻そうとする復元力Aの成分を含む力が働く。これは"端効果"として知られている。
復元力Aを受けた強磁性体11は横ずれ方向の反対側に横ずれし、再び端効果による復元力を受ける。その結果、強磁性体11は横ずれ方向への振動を繰り返す。
この横ずれ方向の振動は、下記特許文献1に記載されているように、非接触支持された強磁性体11に減衰作用が働かないため、収束し難い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】特開2001-268981号公報
こうした横ずれ方向の振動は、図19に示すように、強磁性体11の上下方向だけでなく、前後・左右方向にも電磁石12の対を配置して、上下の電磁石10と同様に、対を成す電磁石12への印加電流を制御し、電磁石12から発生する磁力を調整すれば、抑えることができる。
しかし、このように構成した場合、電磁石やそれに電流を供給する増幅器等の台数が増加し、装置の大型化や高コスト化が避けられない。
本発明は、こうした事情を考慮して創案したものであり、横ずれ方向の振動の制振機能を有し、小型、且つ、低コストで構成できる磁気浮上装置と、その制御方法を提供することを目的としている。
本発明は、磁気力を利用して浮上対象物を非接触支持する磁気浮上装置であって、浮上対象物の非接触支持のための磁力を発生する一対の磁石と、一対の磁石の配列方向と直交する横ずれ方向への浮上対象物の変位を検出する変位検出手段と、浮上対象物の横ずれ方向の振動を抑制する制御手段と、を備え、制御手段が、振動の中心から離れる方向に変位する浮上対象物に対し、振動の中心に戻る方向に変位するときよりも強い磁力が作用するように一対の磁石を制御する、ことを特徴とする。
このように、浮上対象物が振動の中心から離れる際の磁気力の剛性を強め、浮上対象物が振動の中心に戻る際の磁気力の剛性を弱めることにより、浮上対象物の振動は急速に減衰する。
本発明により、浮上対象物の安定的な非接触支持が可能な磁気浮上装置を、小型に、且つ、低コストで構成することができる。
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