コミュニケーション支援ロボットシステム

2022.08.03 By 埼玉大学

機械工学

技術概要

 認知症高齢者とそれを介護する近親者とのコミュニケーションの支援を図り、ロボットを使って近親者の負担を軽くし、単身の高齢者に対し、いつも近親者に繋がっていると言う安心感を与えるコミュニケーション支援ロボットシステムを提供する。

用途・応用

ロボットを使ってのコミュニケーション
音声認識

背景

 近年、高齢化社会が進む中で一人暮らしや単身で施設に入居する高齢者が増えており、また、認知症高齢者の数が急速に増加している。

 認知症の予防や認知症の進行の抑制・改善には、認知活動を積極的に行うことが重要である。コミュニケーションは、このような認知活動として有効なものであることが知られている。

 こうした観点から、認知症者のコミュニケーションを支援するシステムが幾つも提案されている。

課題

 独居老人や単身で施設に入居した高齢者は、コミュニケーションの機会が少ない。こうした人達が、社会から孤立した存在ではなく、気に掛けてくれる人が居ることを確認して、精神的な安らぎを持てるようにするため、近親者とのコミュニケーションの機会をできるだけ多く作ることが望ましい。高齢者は、いつでも近親者と繋がっていることを確認したい。

 しかし、近親者の方はいつも対応できるとは限らない。また、認知症高齢者の場合、短期的な記憶に問題が生じることが多く、言ったことを直ぐ忘れてしまい、同じことを何度も繰り返して、対話の時間が長くなる傾向がある。そのため、近親者が対応できる場合でも、認知症高齢者との対話に負担を感じて避けることが少なくない。

 また、病院等に入っても、通常の時間は、手が回らずにほって置かれることが多い。

 また、独居の場合は、人に接する機会がなかなか得られない。

 こうして、コミュニケーションの機会や、社会的な行為への参加が減ることは、認知症を更に悪化させる原因となる。

 認知症者は、孤立感が高まり、状況判断が次第に出来なくなる。周りの人の多くは、認知症者とのコミュニケーションの機会があっても、「どうせ分からないから」とか、「同じことを何時までも言うから」との理由で面倒がる。あるいは、誤魔化し、いい加減に対処し、適当な嘘をつくような態度を取る。

 認知症者は、このような相手の行為によって、ますます状況把握ができなくなり、心が不安定になり、ストレスで自暴自棄になっていく。

 誤魔化しの無い、気持ちのこもったコミュニケーションの機会を多く持つようにすることが認知症の進行を食い止めるためには重要である。

 しかし、これを行うことは近親者に大きな負担を強いることになる。

 本発明は、こうした事情を考慮して創案したものであり、ロボットを使って近親者の負担を軽くしながら、単身の高齢者に対し、いつも近親者に繋がっていると言う安心感を与えることができるコミュニケーション支援ロボットシステムを提供することを目的としている。

 なお、以下では、認知症高齢者や認知症の虞がある高齢者の親族及び介護に携わる者を「近親者」と言い、近親者と離れて生活する認知症高齢者や認知症の虞がある高齢者を「高齢者」と言うことにする。

手段

 本発明は、ロボットを使って高齢者と近親者とのコミュニケーションを支援するシステムであって、高齢者の側は、ロボットと、高齢者を撮影する1または複数の撮影手段と、高齢者の音声を集音するマイクと、ネットワークを通じて送られてくる近親者の音声、または、ロボットの発話として編集された合成音声を出力する1または複数のスピーカと、ネットワークを通じて送られてくる近親者の画像、または、予め蓄積された画像を表示するディスプレイと、それらを制御する制御手段と、を備えている。

 この制御手段は、撮影手段が撮影した画像の画像信号及びマイクが集音した音声の音声信号のネットワークへの送信、並びに、ネットワークを通じて送られてくる画像信号及び音声信号の受信を制御する送受信制御手段と、音声を認識する音声認識手段と、高齢者の発話から認識した音声認識結果を基に発話の話題を認識する話題認識手段と、高齢者の発話から認識された話題とその発話に対して返答した近親者の発話データ(発話のテキストデータまたは録音された発話の音声データ)とを対応付けて会話知識データベースを作成し、メモリに蓄積する会話知識データベース作成手段と、合成音声を編集する音声編集手段と、ロボットの動作を制御するロボット制御手段と、を備えている。

 そして、音声編集手段は、高齢者の発話に対して近親者からの返答が所定時間無いとき、会話知識データベースを参照して、その発話から認識された話題に対応する近親者の発話データを取得し、その発話データを用いて、近親者の発話を伝達する形式の前記合成音声を編集する。

 このシステムでは、近親者がテレビ電話を通じて高齢者と直接対話を始めた場合でも、途中で、その対話をロボットに代わって貰うことができる。近親者に代わったロボットは、 「 (近 親 者 )が ・ ・ ・ と 言 っ て い た よ 」 と 言 う よ う な 伝 達 形 式 の 発 話 で 高 齢 者 と 対 話 し 、高齢者と近親者とのコミュニケーションを取り持つ共通の友人として振舞う。ロボットが近親者に成り代わって対応した場合は、ロボットの発話内容に間違いがあると、高齢者は誤魔化しに気付き、コミュニケーションへの興味を失い、近親者に不信感を抱く場合がある。しかし、伝達形式の発話内容に間違いがあってもロボットのミスとして許容される。近親者は、高齢者との対話に長時間拘束されないため、気軽に直接対応が始められる。 

効果

 本発明のコミュニケーション支援ロボットシステムでは、近親者が、高齢者の感情を損ねずに高齢者との直接対応から抜け出ることができ、近親者の負担が軽くなる。そのため、近親者は、気軽に高齢者との直接対応を始めることができ、高齢者とのコミュニケーションの機会が増加する。それにより、単身の高齢者は、いつも近親者に繋がっていると言う安心感を抱くことができる。

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特許情報

特許第6291303

JPB 006291303-000000