ヘテロダインビートプローブSTM

2022.09.09 By 筑波大学

数理科学

技術概要

ALMA電波望遠鏡の受信機の検出原理から着想を得たもの。増幅できない周波数THzの信号を周波数GHzまでヘテロダイン変換でビートダウンし既存のマイクロ波技術によって増幅可能とする技術。ラーモア歳差運動や分子の回転や振動モード原子分解能でイメージングできる。

用途・応用

走査トンネル顕微鏡

背景

 今までに、電子スピン検知を目的として、スピン偏極トンネル電子顕微鏡(SP-STM)や近接場光顕微鏡(SNOM)などが開発されてきている。

 特許文献1には、磁場を試料に印加する工程と、パルス状もしくは連続波状の電磁波を前記試料に照射する工程、試料の核磁気共鳴を検出する工程からなり、前記試料での特定部分の結合の変化を前記試料の核磁気共鳴信号の変化より観測することを特徴とする複合分光方法が記載されている。

 特許文献2には、(a)光強度が制御できる光源と、(b)該光源のドライバーと、(c)サンプルからの干渉画像を撮像装置面上に結像する結像干渉光学系と、(d)参照光の位相変調器と、(e)該位相変調器のドライバーと、(f)前記撮像装置のコントローラと、(g)画像処理とシステム全体の制御を行うコンピュータとを備え、(h)画素上でのヘテロダインビート信号に含まれる高次高調波をも考慮するとともに、信号光強度Is を位相揺らぎ成分σに依存しないで求め、ランダムな位相揺らぎが存在しても、安定にヘテロダインビート画像を測定することを特徴とするヘテロダインビート画像同期測定装置が記載されている。

 特許文献3には、2つの発光素子の発光周波数の差分の周波数を持つ電気信号(ビート信号)を得ることが記載されている。

 特許文献4には、走査型プローブ顕微鏡の探針と試料間に超短パルス高電圧を印加すべく、パルス電源側より直流又は交流の超短パルス高電圧を同軸ケーブルに加え、探針又は試料の何れか一方の側に前記同軸ケーブルの終端を接続するとともに、他方の側をほぼ接地電位とした超短パルス高電圧印加方法であって、前記同軸ケーブルの終端がほぼ開放端と見なせるように、該同軸ケーブルの外導体を終端で切断し且つ芯線を可及的に短く突出させ、該芯線を探針又は試料の何れか一方の側に接続して、同軸開放端での電力反射により電圧がほぼ2倍になった超短パルス高電圧を、その波形を歪ませることなく短針と試料間に印加してなることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡における超短パルス高電圧印加方法が記載されている。

【特許文献1】特開2005-156345号公報
【特許文献2】特開2002-214128号公報
【特許文献3】特開平10-173602号公報
【特許文献4】特開平9-178759号公報 

課題

 電子スピン検出を目的として、スピン偏極トンネル電子顕微鏡(SP-STM)や近接場光顕微鏡(SNOM)などが開発されてきたが、SP-STMではGaAs系半導体を探針に用いてスピン偏極キャリアを生成しているため、磁性体の磁化方向判別程度の分解能しかなく、また光学的なSNOMでは、磁場印加による電子軌道のゼーマン分裂や、遷移軌道間のスピン選択則とその偏光方向などからスピン情報を得ているが、プローブに尖鋭化した光ファイバーを使用するため、原子レベルの空間分解能が得られない。そこで、RF信号解析技術を空間分解能に優れたSTM装置に組み込んだ電子スピン共鳴実験(ESR-STM)が、イスラエルのマナセンらにより試行されたが、微小信号検出の難しさから未だに広がりを見せていない。しかしながら、その重要性に変わりは無く、最近の通信技術の発展で利用しやすくなった10GHz帯のマイクロ波計測技術と、レーザ光と光コムによる可変波長テラヘルツ波発生技術を高度に融合させた、精度の高い安定したRF-STM信号解析技術の確立は、極めて有意義である。

 本発明は、かかる点に鑑み微小な信号、例えば微小なRF信号検出を容易にかつ確実に行うことのできるヘテロダインビートプローブ走査プローブトンネル顕微鏡、更にはこの走査プローブトンネル顕微鏡によるトンネル電流に重畳された微小電流を計測可能にすることを目的とする。

手段

 本発明は、プローブとなる尖鋭な探針を備え、試料表面の原子・分子の電子状態に対向する前記探針と試料との間に流れるトンネル電流が引き出される走査プローブトンネル顕微鏡であって、未知の高周波信号もしくは電磁波信号が前記走査プローブトンネル顕微鏡にセットされた試料および前記探針の間に付与されて量子振動を励起させる未知の高周波信号もしくは電磁波信号付与手段、および意図的に変動された既知の外部重畳参照高周波信号もしくは外部重畳参照電磁波信号が該試料および前記探針の間に付与されるようにした既知の外部重畳参照高周波信号もしくは外部重畳電磁波信号付与手段を備え、付与された既知の外部重畳参照高周波信号もしくは外部重畳参照電磁波信号を、未知の高周波信号もしくは電磁波信号に重畳して量子干渉させる走査トンネル顕微鏡分析部を備え、外部重畳参照高周波信号もしくは外部重畳参照電磁波信号 を 、 未知の高周波信号もしくは電磁波信号 に 漸 近 させ 、 周 波 数 掃 引 さ せ て 量 子 干 渉 さ せ 、 該 量子干渉に基づいて、ヘテロダインビート信号を生起することによる変調されたトンネル電流を発生させ 、 未 知 の 高 周 波 信 号 も し く は 電 磁波 信 号 を 検 出 す る こ とを特徴とするヘテロダインビートプローブ走査プローブトンネル顕微鏡を提供する。

効果

 本発明によれば、既知の外部重畳高周波信号もしくは外部重畳電磁波を使用するために、微小な信号、例えば微小なRF信号検出を容易かつ確実に行うことの出来るヘテロダインビートプローブトンネル走査プローブ顕微鏡、更にはこの顕微鏡を用いてヘテロダインビート信号を特定することによって微小信号を計測する方法を提供することができる。

問い合わせ・詳細資料閲覧

特許情報詳細や資料のダウンロード等については無料会員登録後に閲覧していただけます。

本研究に関するご質問や、話を聞いてみたいなどご興味をお持ちになりましたら、是非お気軽に以下のフォームにお問い合わせください。

特許情報

特許5298264 号

JPB 005298264-000000