超音波マイクロバブルを利用する金属ナノ粒子合成技術

2022.11.07 By 大阪府立大学 大学院 人間社会システム科学研究科 教授 興津 健二

材料工学

技術の概要

超音波を溶液に照射して生成する高温高圧のマイクロバブルは、数千度以上・数百気圧以上の極限状態の化学反応場として利用できる。

超音波マイクロバブルを利用すると、従来の化学反応場とは異なる新しい化学反応場を発生させることができ、サイズや形状の制御された貴金属ナノ粒子を合成することが可能であり、様々な分野への応用が期待される。

技術の特徴

貴金属ナノ粒子はバルク物質とは異なる特性/機能を有し、様々な分野での応用が期待されている、ナノテクのキーマテリアルである。
超音波合成法では、室温で、且つ、シンプルな系(例えば、反応性の高い還元剤が不要な系)で貴金属ナノ粒子合成できる特徴がある。

適用分野

【想定される用途】

触媒、センサー、ドラッグデリバリーシステム、光温熱療法、近赤外線プローブ、

光学フィルター、高密度光記録材料、 など

 

【希望する連携企業】

超音波装置製造業、微粒子製造業、触媒関連会社、貴金属販売会社、

試薬製造業、電子記録材料製造業、電子機器製造業、など

技術の内容

【顧客・市場に提案する価値】

例)金ナノ粒子の従来法と超音波法の特徴の比較

従来法の特徴(クエン酸還元法) 超音波法の特徴
1.試薬 還元試薬(クエン酸)が必要 特別な還元試薬を加えなくても良い

(シンプル、グリーン)

 

2.反応制御

 

・反応を途中で止めることは困難

・一般に加熱合成

 

・反応開始/停止はスイッチのオン/オフで容易(反応制御容易)

・室温合成(省エネ)

 

3.反応場

 

・均一反応場

・激しく混合してもマクロな反応場

 

・多くのバブルからなる不均一反応場

・ミクロなバブルが誘起する反応場

(熱移動と物質移動をミクロ領域[数μmから数十μm]で制御。再現性に優れる。)

 

4.粒径制御

 

制御因子

:出発原料と還元剤の種類や濃度、コロイド安定化剤の種類や濃度、反応温度

 

従来法に加えて、新たな制御因子

:超音波の強度や周波数、雰囲気ガスの種類、照射方法、微量添加有機物の分解

 

5.その他

 

ワンポット合成金属シード合成に応用可能

 

【実装化への要望】

精密な形状制御合成のためには、ナノ粒子生成メカニズムの解明や微小気泡反応場の物理化学特性の更なる解明が課題である。

スケールアップする際には、超音波合成条件の最適化が必要であり、超音波装置製造業や微粒子製造業との連携が重要と考えている。

 

関連論文

“Sonochemical Preparation and Catalytic Behavior of Highly Dispersed Palladium Nanoparticles on Alumina(パラジウムナノ粒子高分散担持アルミナの超音波化学合成と触媒作用)”, K. Okitsu, A. Yue, S. Tanabe, H. Matsumoto, Chem. Mater.,12, 3006-3011 (2000).

“One-pot synthesis of gold nanorods via autocatalytic growth of sonochemically formed gold seeds: the effect of irradiation time on the formation of seeds and nanorods (超音波化学的に生成された金シードの自動触媒成長作用を利用する金ナノロッドのワンポット合成)”, K. Okitsu, Y. Nunota, Ultrason. Sonochem., 21, 1928-1932 (2014).

“Sonochemistry of aqueous NaAuCl4 solutions with C3–C6 alcohols under a noble gas atmosphere (希ガス雰囲気下でのC3-C6アルコールをも散るNaAuCl4水溶液のソノケミストリー)”, K. Okitsu, I. Kurisaka, B. Nanzai, N. Takenaka, H. Bandow, Ultrason. Sonochem., 41, 397-403 (2018).

研究者からの一言

超音波マイクロバブルを利用する貴金属ナノ粒子合成技術に関する基礎研究を進めてきたので

今後、各種業界のニーズとマッチする研究開発をしたい

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